誰かにプレゼンしたり、あるいは商品の説明をしたり。人前で話す機会は仕事をしていれば誰しもあるものですが、つい緊張してしまって苦手意識を持つ人も多いのではないでしょうか。心理学的に効果のある、緊張を解きほぐす簡単な方法があります。
それは、「人前で緊張せずに話すには、二人称で自分を励ます」ということ。ミシガン州立大学、ミシガン大学、カリフォルニア大学の研究者らが執筆した2014年の論文において、下記のような実験を行いました。
被験者に人前でスピーチをさせる前、5分の準備時間のあいだに以下の行動を取ってもらいました。
- グループ1:一人称でひとりごとを言いながらスピーチの準備をする。
「俺はなんでこんなに緊張してるんだ?」、「俺はゆっくり話すぞ」など。 - グループ2:二人称でひとりごとを言いながらスピーチの準備をする。
「君はなんでこんなに緊張してるんだ?」、「君はゆっくり話すんだ」など。
この実験の結果は、グループ2の圧勝でした。二人称を使ったほうがスピーチの出来もよかったし、スピーチが終わったあとも恥ずかしさに襲われたり、しくじったポイントを後悔することもなかったそうです。
これは、自分を「君」と呼ぶことで、自分を一歩引いた視点から見ることができるようになり、結果的に心に余裕ができるということなんですね。ここ数年の心理学研究は、自分を客観的に見ることの重要性にあらためてフォーカスが当たっていて興味深いです。
なお、「ゆっくり話すんだ」のように、自分に詳細な指示を出すのは、心理学では昔から定番の方法で、特に初めての仕事を上手くこなすのに効果があると言われています。例えば、運転を学ぶときなどは、「ここでサイドブレーキを引く」とか自分に言い聞かせると、何もしないよりも学習効果が高くなるんです。
ということで、人前で話す前には、ぜひ「君は○○」と自分に声がけしてみてくださいね。
pic from John Althouse Cohen
Licensed material used with permission by PaleolithicMan
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