フィールドはもちろん、レイニーシーズンの街着としても活躍する撥水アウトドアウエア。生地が水をはじいて、水滴となってコロコロと落ちていく様は、見ていても気持ちがいいもの。ただ、その撥水性能をキープするには日ごろのお手入れが欠かせない。撥水機能が落ちてしまったウエアをタンスにしまい込んでいる人も多いのでは?
そんな中、2023年に発表されてアウトドア好きの注目を集めたのが、パナソニックのドラム式洗濯乾燥機LXシリーズに搭載されている「はっ水回復コース」。
ホントにアウトドアウエアの撥水性能が復活するのか? 一般的な乾燥運転とどう違うのか? 今回はパナソニックの家電事業の新拠点としてオープンしたパナソニック目黒ビルに押しかけて詳しい話を伺ってきた。
ホントに撥水機能が回復するの!? ビフォー/アフターの生地で実演。その結果は?
パナソニックのドラム式洗濯乾燥機LXシリーズ(LX129C・ LX127C・ LX125C・ LX113C)に新たに搭載された「はっ水回復コース」。“着用に伴い低下したはっ水機能をヒートポンプ乾燥の熱を利用してよみがえらせます”と謳うこの機能について、詳しく教えてもらうのはパナソニックで家電部門のマーケティングを担当している佐藤弘和さん。
その詳しい仕組みなどを伺う前に、まずボクらが一番気になる“ホントに撥水機能が回復するの?”という疑問に答えてくれるという。実際に「はっ水回復コース」を体験すると2時間かかってしまうので、時間の都合でBefore/Afterの布地サンプルを使って実演してくれた。
「パナソニックでは“衣類のロングライフ”をテーマに洗濯機を開発していて、衣類をケアするためのコース開発にはこだわりがあります。はっ水回復コースもその一環として開発しました。左側は撥水機能が低下した状態の布地。そして、右側が同じ生地をはっ水回復コースでよみがえらせた布地です。水をかけてみるとその差は一目瞭然です」。
撥水機能が低下した状態の布地(写真左)は、水をかけるとすぐに染みて色が濃くなっていく一方、右側の生地はまるでクルマのコーティング剤のCMのように水滴が流れていった。布地の見た目には大きな変化はないものの、はっ水回復コースのビフォーとアフターで撥水性能はまるで別物。撥水性能は、新品に近い状態にまで回復しているように感じられた。
「はっ水回復コース」のメカニズム。通常の乾燥運転との違いは?
撥水機能をしっかり回復できることが分かったパナソニックの「はっ水回復コース」。続いては、そのメカニズムについても佐藤さんに教えてもらった。
「まず注意していただきたいのが、この機能で回復するのは、生地が水を通さない“防水機能”ではなく、水をはじく“撥水機能”だということです。撥水機能は、生地に“撥水基(はっすいき)”と呼ばれる分子レベルの細かい突起物をたくさん作って、水滴をはじいています」。
「撥水基は細かい産毛のようにキレイに整列していて、撥水基が立っている状態であれば水は玉状になって流れ落ちていきます。しかし、生地に汚れが付いたりこすれたりすることで、撥水基が倒れると撥水効果が弱くなってしまいます。じっくり時間をかけて熱を加えることで、この撥水基を立たせてあげるのが、はっ水回復コースです」。
熱を加えることで撥水機能がよみがえるという知識はアウトドア好きなら知っている人も多い。当て布をしてアイロンをかけたり、ドライヤーを使ったり、乾燥機にかけたりしている人も多いだろう。となると、疑問がわいてくるのが、アイロンや通常の乾燥運転で熱を加えるのと、専用のコースとではどうような違いがあるのかということ。
「もちろんアイロンやドライヤーでも撥水機能の回復はできます。ただ全体を均一に暖めるのは難しいですよね。温度コントロールも難しいし、どうしてもムラができてしまいます。また、洗濯機の乾燥運転の場合は、たくさんの衣類を入れたドラムがグルグルと回るので、外側と内側で温度に差ができてしまいます。実は、はっ水回復コースではドラムを静止させて回転しません。だから1回につき1着のウエア(1.6kgまで)だけになりますが、じっくり時間をかけて表も裏も同じようにムラなく回復させることができます」。
どうやら「じっくり時間をかけて、一定の温度で、全体を均一に暖める」のがキモのようだ。何度くらいでどのくらい時間をかけて熱を加えれば最も効果的なのか、何通りもの検証を重ねて導き出したという。もちろんその温度は企業秘密とのこと。
日常的にケアをすれば、アウトドアウエアは長く愛用できる。
パナソニックのドラム式洗濯乾燥機LXシリーズに新たに搭載された「はっ水回復コース」。一般的な乾燥運転との違いが分かったところで、最後に詳しい使い方を教えてもらった。
「まずはウエアについた汚れを洗濯や手洗いで落としてください。その後にしっかり乾かして、乾いた状態のウエアをなるべく広げて洗濯槽にセットします」。
「あとは、はっ水回復コースを選択してスタートするだけで、自動で120分ほどで完了します。このコースは濡れた衣類を乾かすコースではないので必ず乾いた状態で運転してください。ちなみに1回あたりの電気代は約23円です」。(※電力料金目安単価31円/kWh(税込)[家電公取協調べ。2022年7月改定]で計算。)
アウトドアブランドの防水ウエアの価格がどんどん上がっている昨今。お気に入りのアウトドアウエアは大切に長く愛用したいもの。それには日常的にしっかりケアをして、機能性をキープすることが欠かせない。
アイロンやドライヤー、コインランドリーなどでケアするには手間や時間がかかってしまうが、この「はっ水回復コース」ならボタン一つでOK。決して安い買い物ではないドラム式洗濯機だが、そう考えるとコストパフォーマンスも良いのかもしれない。
Photo/Taizo Shukuri
(問)パナソニック panasonic.jp/wash/
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