登山にも釣りにも、フェスにもキャンプにも、外遊び好きのボクらの必携品「手ぬぐい」。旅先では必ず買うことにしている人がいたり、クタクタになるまで使い倒したのを自慢してたり、好きな人は100枚200枚持ってたり、いいオトナが夢中になって集め、フィールドで使っている。
たしかに、外遊びにおいてはタオルやバンダナよりなんとなくしっくりくる。でも、どうしてだろう? そもそも、手ぬぐいの定義は? モノによっての良し悪しはあるの? そんな素朴なギモンについて、老舗専門店「かまわぬ」の広報担当・秋葉美保さんに教わった。
そもそも、手ぬぐいって何?
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「手ぬぐいの始まりは、奈良時代と言われています。ただ、布そのものが貴重だったため一般的にならず、神事に使われていたようです」と秋葉さん。庶民も使うようになったのは、江戸時代に入って反物で計り売りされるようになってからだとか。
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「綿が普及するまで、布といえば麻か絹。今でこそ手ぬぐいは綿が主流ですが、別に素材は何でも良いんです。ただ、風合いの変化しない化学繊維は、手ぬぐいには不向き。ですから、手ぬぐいの定義とするなら、『長方形で切りっ放しの布』でしょうか」。
モノによって、良し悪しはあるの?
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ちなみに「かまわぬ」では、注染(ちゅうせん)という染め技法がメイン。柄が彫刻刀で彫られた型紙=渋紙を布にあて、糊付けし、染料を注いで色付けする。
「一方、京都や奈良では捺染(なっせん)がスタンダード。顔料を使って片側から染める技法です」。
注染と捺染、優劣はないが仕上がりに若干の違いがある。前者は綿ならではのやわらかさが残り、後者はコシ強めのパリッとした風合いに。
「柄の輪郭がやわらかく、経年変化が楽しめるのが注染。色持ちが良く、細かいデザインを作りやすいのが捺染といえます」。
高温多湿の日本に最適! あっという間に乾く。
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「手ぬぐいの魅力は、高温多湿の日本にマッチする機能性。吸水性こそパイル地タオルにやや劣りますが、速乾性では圧勝します」。
特に高山では湿度や気圧の関係もあって、しばらく振り回すだけでドライに。だから、愛用するクライマーが増えているのだろう。
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「早く乾くのは、両端を繕っていないから。水や雑菌が溜まりにくく、衛生面でも優れます」。
どこも縫ってないがゆえの利点はほかにもある。「手ぬぐいをビーッと割いて、下駄の鼻緒にしたり、包帯にしたり……。時代劇で見たことがあるのでは? 」。刃物なしで細くできるのは、ノーステッチだからこそ。アウトドアでのトラブルにも役立ちそうだ。
荷物の軽量化に一役買う薄さも自慢。
また、嵩張らないのもポイントが高い。数枚持ち歩いてもタオル1枚程度の容量で済み、薄いからどこに結んでもストレスゼロ。頭や首はもちろん、バックパックのストラップ、パンツのベルトループに付けても良い。
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「ラッピングにも使えるんです。アウトドア派の方なら、ペットボトルを包むのが便利では? ①飲み口近くで一辺を結び、②もう一辺に向けて飴玉の包み紙のように捻り続けてヒモ状にし、③最初に作った結び目に通せば完成です。バックパックや自転車に括り付けても良いと思います」。
経年変化や、豊富なデザイン。ルックスもソソる!
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そして、ルックス面で見逃せないのが、使い込むほどアジが出てくる色落ち。
「デニム感覚で楽しむ方が多いですね。ただし、洗濯時の色移りにはご注意を。単体で洗うのをオススメします。また、急激に色落ちしてしまうので、界面活性剤や漂白剤入りの洗剤は避けましょう」。
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日本の伝統文様から季節限定柄、コラボによるキャラものなど、豊富なラインナップからGO OUT的デザインの手ぬぐいも発見! なかでも「登山手習い帳」は、クライミングのマナーや常識を温かみあるイラストでコミカルにレクチャーしてくれる。ぜひフィールドに持っていきたい!
使い方次第で、外遊びがグンと拡充!
タオルやバンダナよりスピーディーに乾き、コンパクトに携帯できる手ぬぐい。アウトドアなら、テントサイトやバッグに結んで目印にしたり、応急手当ての包帯代わりにしたりと、さまざまなシーンで活躍する。外遊びに相性バツグンの手ぬぐいに、今後も注目したい。
Photo/Sosuke Shimizu