日本六古窯の一つでもある滋賀・信楽で1874年に創業した窯元「大小屋」(おおごや)では犬連れで陶芸体験ができると聞いて家族でやってきました。約4000坪の敷地内にはドッグランもあり、施設内のレストランでは犬用のご飯まで提供され、陶芸体験ではろくろ体験を楽しみながら犬の手形も制作できるのです!しかも敷地内の「東雲」では十割蕎麦が楽しめ、焼きたての石窯パンも販売しており、グルメな旅を満喫できました。
ワンちゃんと一緒に1日中過ごせる信楽の美食観光ポット
立派な門構えの「大小屋」の外観
新名神高速道路の信楽インター出口から信楽市街方面へ約5分。電車の場合は信楽高原鉄道 信楽駅を降りて徒歩17分。街の至るところに信楽名物のたぬきの置き物が出現する信楽の里に到着すると、ひときわ壮大な2階建ての建物が見えてきました。80台分の駐車場を完備している「大小屋」は一面タイルばりの外装で、まるでミュージアムのよう。
さて、ワンちゃんをキャリーに乗せてさっそく店内へ。1万点以上もの陶芸作品が展示販売されている「大小屋」では、ペット連れで一緒にショッピングができます。ママのお目当ては青色に美しく輝く「ムーンライト」という「大小屋」オリジナルのお皿など。さっそくお買い物へ〜♪
「大小屋」の店内。写真中央のオリジナル陶器「ムーンライト」も人気
ひと通りお買い物が終わったので、みんなでランチにすることに。施設内のカフェレストランにはペット同伴可能な席が19席あり、ペットランチ(鶏肉と野菜煮込み 普通530円〜)もあるのでさっそく注文。うちのワンちゃんはモリモリ食べていました。施設内ではワンちゃんの玩具やおやつ、おやつ入れなどのワンちゃんグッズも販売しています。
右が「近江牛カレー」。ご飯に近江牛が豪快に盛られていてカレーをかけながら味わう
子供たちは看板メニュー「近江牛カレー」を注文。私たち親は、施設内に2024年4月にオープンした十割蕎麦の店で後ほどしっとりとランチをするために、カフェではお茶だけを楽しみました。といっても、紅茶だけでも40種!どれにしようか迷う〜!
多彩な陶芸と建築美、十割蕎麦の唯一無二の美味しさに圧倒される
隣接している「東雲」の外観。扁額(へんがく)は京都の大徳寺三玄院・長谷川和尚の筆だそう(撮影:JIL STUDIO)
食事を終えた子供たちは、ワンちゃんと一緒に施設内のドッグランエリアへ遊びに出かけました。親はその間にお隣の十割蕎麦「東雲」へ。実は、親たちはこれからが本当のお楽しみ♪宮大工が1年以上かけて建築したという天井の高い純和風の建物は、外から見ても圧巻の美しさ。先ほどからずっと気になっていました。
「東雲」の店内。銘木「鉄刀木」(たがやさん)の一枚板が客席テーブルに使われているそう
店内に足を踏み入れると、目の前には京都「離世」の蛤の貝殻を原材料とした高級な胡粉のれん。奥に見える大黒柱と恵比寿柱には、昔から高貴とされる一位(いちい)の木が使われ、壁は信楽の土を使った独自の土壁で仕上げられています。
店内の床に使われている美しい陶板も「大小屋」の蛇窯で焼いたもので、日本らしい「白銀比」の縦横比にしたのだとか。店のスタッフさんから話を聞いているだけで、凛とした気持ちになります。
客席では蕎麦を待つ間に、「大小屋」オリジナルの蕎麦粥専用の土鍋で煮込んだ「蕎麦がゆ」を味わいます。先にお粥でおなかを温め、味覚や嗅覚を研ぎ澄ませたところに、ちょうど蕎麦が提供されるというわけです。食事の流れにもこだわっているのが素晴らしい!
主人が注文した「特選近江牛十割もりそば」2,950円。ご当地食材の赤コンニャクの一品も付く
信楽焼らしく表面がゴツゴツした肌色のお皿に盛られた十割蕎麦は、なんとも風情があります。「緋色」や「ビードロ」といった信楽焼の伝統技法を楽しめる陶器もあり、どれも信楽の作家が同店のために製作した1点ものばかりとか!思わず背筋が伸びます。
スタッフさんの説明通り、まず一口目は何も付けずに味わいます。独自に精製した秘密の水を使っているらしく、十割蕎麦なのに見た目以上につるつるとした喉ごしで驚きます。まったくぼそぼそしていないのが不思議。そして噛めば噛むほど滋味深い蕎麦の香りがふんわりと広がります。
私が注文した「天ぷら十割もりそば」2,950円。こちらのうつわも趣深い
二口目はゲランドの塩を少しだけ付けて。蕎麦の香りや風味が引き出され、うまみも感じられます。そして静岡産わさびも加えて、風味を変化させながら、その後は蕎麦つゆや天ぷらと。天ぷらも細かな衣でとても上品なおいしさ。近江牛を注文した主人も、そのおいしさに思わずうなっていました。「おいしいね」「最高!」の連続でした。
信楽焼の中でも大変希少な「灰かぶり」の作品をはじめ、店内のいたるところに陶芸作品が展示されている
蕎麦のぜい沢な風味とともに日本酒も味わいたくなり、車の運転をしない私は、ちゃっかり黒龍酒造の「しずく」も単品注文。他には「松の司」松瀬酒造、「七本槍」冨田酒造、「忍者」瀬古酒造、「大治郎」畑酒造といった地元の酒や、京都の「月の桂」増田徳兵衞商店などもラインナップ。これは、夜も来てみたい!希少な日本酒ばかり。
ちなみにディナーは完全予約制で、9,200円〜だそう。「ミシュランガイド京都•大阪」で、10年連続で1つ星を獲得している「日本料理 櫻川」(京都•木屋町)の調理人がわざわざ来てくれて、「櫻川」の日本料理テイストが加わった上質で贅沢なコース「十割蕎麦 東雲×日本料理 櫻川~匠の饗宴~」(26,450円、37,950円の2種、税サ込)を11月5日(火)から予約開始するそうです。もちろん日本酒ペアリングも付けられます。特別な会食におすすめですね。
家族もワンちゃんも一緒に陶芸体験デビュー!一生の思い出に♥
エプロンは貸してくれるので事前準備は不要。約1時間で2作品が作れる
禅寺の別世界へワープしたかのような気持ちになっていた私たちでしたが、「東雲」から出て子供たちと合流し、午後からは家族みんなで陶芸体験をすることに。2作品が作れるろくろ体験3,850円に挑戦してみました。他には手びねり体験1,980円、絵付け体験2,200円などもあるので、小学生などでも楽しめます。
うちの家族は全員、初めてろくろを回してみましたが、早さは自分で調整ができるので少し安心。陶芸の先生が親切にコツを教えてくれるので、そのまねをしながら自分のイメージした形に全集中で近づけていきます。出来上がったら黄、緑、茶、白の4色から好みを選んで郵送先を記入します。2カ月後には作品が出来上がって送られてきます。私はお猪口をつくりました。
生まれて初めて手形入りのうつわを作ったワンちゃん。いい写真が撮れた!
ろくろ体験が早く終わったお兄ちゃんは、ワンちゃん、ネコちゃんの手形コース(2,750円、粘土・釉薬・焼成費込み)に挑戦。ワンちゃんの手形を粘土板に押して記念の品を作れるのです。名前や手描きのイラストも入れられ、世界で一つだけの作品が完成しました。ワンちゃんはきょとんとしていましたが、スマホで記念撮影もでき、とても楽しい思い出となりました。
その後、緑が豊かな近隣を散歩して(近くに滋賀県立信楽の森も)、敷地内の登り窯を見学したり、いつも店の自家製パンを焼いている石窯を見学したり。気づけばあっという間に夕方に。週末は18時まで営業しているので、お野菜もたっぷりの「近江牛すき焼き鍋」を早めの夕飯に食べてから帰路につきました。
施設内の石窯で焼いたカンパーニュや白パンが店内で販売されている
店で買った石窯パンを翌日の朝食で味わうのも楽しみの一つ。自分の陶芸作品が2ヶ月後に自宅に届いた時の喜びもひとしお。充実した芸術と美食の旅、信楽ガストロノミーツーリズム「大小屋」をぜひこの機会に体験してみてくださいね〜!ディナー以外は予約なしで気軽に行けますよ。
【東雲/大小屋 店舗データ】
所在地:滋賀県甲賀市信楽町勅旨2349(「大小屋」隣接、駐車場80台)
アクセス:
<車>新名神高速道路の場合、信楽インター出口 信楽市街方面へ5分、名阪国道25号線の場合、壬生野インター出口 丸注経由で25分
<電車>JR琵琶湖線 草津駅 経由 草津線 貴生川駅 下車乗り換え 信楽高原鉄道 信楽駅下車 徒歩17分、JR琵琶湖線 石山駅からタクシーで35分
<バス>帝産バス JR琵琶湖線 石山駅 乗車 陶芸の森前下車 徒歩1分
【十割蕎麦 東雲】
店名:十割蕎麦 東雲
客単価:昼 約1,500~約3,000円、夜 9,200円、コース26,450円~37,950円 応相談
営業時間:11:00~15:30、17:00~21:00
※蕎麦がなくなり次第終了
※夜は完全予約制で、ご要望に応じてご予算や営業時間はカスタマイズ可能
定休日:金曜日※不定休の場合もある
規模:約1,000坪 約26席
開店年月日:2024年4月1日
ディナー予約:0748-83-2220
【大小屋】
定休日:年中無休
体験:手びねり体験1,980円、ろくろ体験3,850円、絵付け体験2,200円
営業時間:(平日)10:00~17:00/(土•日•祝日)10:00~18:00