カリフォルニア州オレンジ郡シールビーチ。ここの小さなドーナツ店での出来事が全米の感動を呼んだ。
店主は1979年に難民としてアメリカに移り住んだ中国系カンボジア人のJさん。妻のSさんと必死で働き、コツコツとお金を貯め……この店を開店する事が出来たのだ。オープンして28年、地元の人に愛され続けてきた人気店。ほぼ、年中無休で営業している。
この店のドーナツは毎朝、その日に売る分だけを夫婦で作る。オープンは、午前5時。会社や学校に行く前に立ち寄る客が多く、ほぼ毎日午後2時頃にはドーナツは売り切れる。
これが、28年続いた生活パターン! ところがある日、常連客の女性がいつもと違うあることに気がついた。いつも店内にいるはずの妻・Sさんの姿が見えなかったのだ。
実はその10日程前、妻のSさんが突然倒れた。脳動脈瘤だった。そして数日間昏睡状態に。幸いにも意識は回復したが、言語と歩行に問題が起き、まずは歩く練習を始めている。ということだった。
他に頼る人がなく、閉店後にしか妻のもとへ行けないというJさん。その話を聞いた常連客は、夫婦を救うべく驚くべき行動に出た!
■夫婦のために常連客がとった行動とは
常連客がとある電話をかけた翌日の午前4時30分。店を開ける準備をはじめたJさんは、信じられない光景を目にする。なんと、まだオープン前にもかかわらず、店の前に長い行列ができていたのだ! こんなことは、28年ではじめてのこと。
しかも彼らは、1人で何ダースも買っていく。そうしているうちに。ショーケースが空に。売り切れた時間はなんと午前7時前。商品がなくなったJさんは店を閉めた。
実は常連客がJさんのために考えたアイデアとは、常連客のみんなでいつもより早く店のドーナツを買い、少しでも早くJさんを奥さんのもとへ行かせてあげるというものだった。このアイデアを仲間たちに呼びかけるとそれが口コミやメールなどでどんどん広がり、ドーナツは、毎日7時から10時の間には売り切れるようになったのだ。
常連客に助けられ、Jさんは妻と一緒にいられる時間が長くなった。
あれから、3か月。妻は退院し家に帰ることができたが、体の半分にまだ後遺症がある。自宅に戻ったとはいえ、まだまだ療養が必要なSさんのために、町の人たちの協力は続いているのだという。(2019年1月 8日 ON AIR)
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