■気になる人がいたらつきあってみる
「出会いって大事だと思うんですよね」
のっけからそう言うのは、ミハルさん(33歳)だ。高校生のときに他校の男子とつきあってから、「彼氏のいない日はない」と豪語する、自他ともに認める「恋愛好き」なのだそう。
「でも別に誰でもいいからつきあっているというわけではありません。気になる人がいたら自分からアプローチして話してみる。気が合いそうだったらつきあってみる。それってごく普通のことだと思っていました」
大学時代もずっとそうやってきたので、「恋多き女」と言われることはあったが、彼女は気にしていなかった。直接、非難の言葉をぶつけられることもなかった。みんな、ミハルさんがそういう人だと納得していたのだろう。
「だって私、二股かけたことなんてないんですよ。好きになれそうだからつきあってみたらやっぱり違ったとか、好きだからつきあったけどケンカ別れになったとか、そういうことばかり。フったりフラれたり。ひとりになるのがイヤだから別れないという考え方のほうがずっとわからない」
常につきあっている人がいるのが当たり前だった。これこそ本物の恋だと体が震えるほど相手にのめり込むこともあれば、そこまでいかずにときめきだけで終わることもある。濃淡含めて、楽しい恋もつらい恋もしてきた。
だが、社会人になってから “不要な非難”を受けるようになったのだという。
■私情を仕事に持ち込むのは男性のほう
恋愛と仕事は別。だから仕事関係で知り合った人とつきあい、その恋が終わりになったとしても、ミハルさんは決して私情を持ち込むことはなかった。
「仕事は仕事ですから。恋をしてそれがダメになっても、相手が悪いわけじゃない。合わなかっただけ。だから私は仕事では、その相手ともごく普通にやりとりします。なのに相手は、もうあの女と仕事をしたくないと平気で私の上司に言ったりするんですよね。心が狭すぎる(笑)」
そうしているうちに、周りの女性社員から「男にだらしない女」と言われるようになった。同期からそういう噂がたっていると聞いて、ミハルさんは先輩たちに「恋をしたらいけないんですか」と尋ねたこともある。
「誰も明確に答えられなかった。そんなものですよね。だけどそのせいで、私はただの変わり者とされてしまって。まあ、いいんですけどね」
社内で彼女のことをわかってくれる女性は、ある先輩ひとりだけ。
「自分の恋愛を人に話すわけでもないし、不倫しているわけでもない。それなのに私が誰とつきあっているかバレちゃうんですよ。誰か見張りでもいるのかなと思うくらい」
自分の感覚、気持ちに素直に従ったら、次々と恋をする人がいても不思議はない。そもそも、恋愛に対する感情のハードルが高いか低いかは個人差が大きいのだから。
「私はちょっとでも興味があったら、1対1でつきあいたいタイプなんです。その代わり、もう無理だと思ったら早めに別れる。自分から積極的に誘う。だから彼氏が途切れないだけ。それがいいとか悪いとか、ずるいとかだらしないとか、みんないろいろ言うけど、そんなの私の自由ですよね」
彼女の言うことは正論。だが、恋ができないと悩む人たちから見たら、「自由すぎてずるい」ということになるのかもしれない。