■カラムーチョの誕生秘話
まずは、カラムーチョの歴史から解説しましょう。辛いポテトチップスの元祖として、現在まで愛され続けているカラムーチョが誕生したのは、1984年のこと。アメリカで人気を集めていたメキシコ料理を参考に開発が開始され、試行錯誤の末に発売にこぎ着けたそうです。
そんな努力の甲斐もあって生まれたカラムーチョですが、辛みのあるスナックが他になかった当時は、なかなか店頭に並べてもらなかったとのこと。また、「こんなに辛いものは食べられない」という不満の声が社内から上がったり、ユーザーから「辛すぎる」という苦情が寄せられたりしたこともあったそうで、発売してしばらくは、ほとんど売れなかったといいます。
潮目が変わったきっかけは、その頃勢力を拡大しつつあったあるコンビニが面白い新商品としてカラムーチョを販売するようになったこと。食べた人たちの口コミで全国に評判が広まり、同時期にテレビコマーシャルの放送が始まったこともあってさらに人気に火がつきいたカラムーチョは、爆発的なヒット商品となりました。
「激辛ブームの火づけ役」と称されるカラムーチョですが、「暴君ハバネロ」など、辛さを売りにする後続のお菓子と比べると、やや辛さは控えめ。なんでも、現在の辛みとうまみのバランスを崩したくないということで、今でも発売開始当時とほぼ同じ辛さをキープしているそうです。
■景気が悪くなるとカラムーチョが売れる!?
「不景気になると○○が売れる」という法則のなかで、有名なものはタピオカでしょう。タピオカはこれまでに何度かブームを巻き起こしてきましたが、そのブームの前後に日本経済が不況を迎えていることはよく知られています。ただしこれは、関連性のない偶然とする説が有力であるようです。
実はカラムーチョも、景気の動向と売り上げのグラフに関連が見いだせる商品のひとつ。湖池屋が算出したデータでは、カラムーチョの出荷額が上昇すると、内閣府発表の景気動向指数は下降。例えば、リーマンショックの影響で景気が悪化した2009年にも、カラムーチョは売り上げを伸ばしているのです。
湖池屋としては「不景気にストレスを感じたユーザーが、刺激を求めて買っているのではないか」とか、「不景気だと、コストがかさむ外食よりも家飲みが増えるため、おつまみとして買い求められているのではないか」といった要因を考えている様子。
この仮説が当たっているのかどうかは定かではありませんが、ある経済評論家によれば、経済の先行き不安などが消費者心理に影響を及ぼすこともあるとのことなので、まったくの的外れともいえないようです。カラムーチョの人気や売り上げに注目すると、日本経済の行方がわかるかもしれませんね。