
■娘はかわいいけど……妻とは気持ちがすれ違う
37歳のとき、5歳年下の女性と再婚したセイジさん(42歳)。前の結婚では子どもがいなかったが、今回は娘を授かった。4歳の娘の笑顔が彼の何よりのエネルギー源となっている。
「妻は今のところ専業主婦です。子どもが小学校に入ったら仕事を再開するそう。ただ、今どき、専業主婦だとママ友さんたちに、『パートもしなくていいなんて羨ましい』と嫌みを言われたりするようです。気にするなと言っていますが、妻としては気にしないわけにはいかない、と」
だからといって解決策があるわけでもない。セイジさんは、気にしない、別の場所で娘を遊ばせる、嫌みを言い返すなどの選択肢を上げた。「気にしない」以外の解決策はないと示すためだ。ところが妻は激怒。
「あなたは私をバカにしてる」
そう言って数日間、口をきいてくれなかったという。妻の気持ちを少しでも軽くしたくてしたことなのに、なぜ妻が激怒したのかわからないと彼は嘆く。おそらく、妻は話を聞いて共感してほしかっただけ。だが夫は「解決策」を理屈で考えて妻に押しつけてくる。妻はそう感じたのではないだろうか。
「子どもが生まれてから、こうやって妻とは気持ちがすれ違うんですよね。思ってもいないことで激怒されたり、『どうせあなたは会社に行ってしまえば、当事者じゃないんだからいいわよね』と投げやりな言葉があったり。いつも自分が被害者であるという発言が多くて」
早く帰宅して娘には会いたいが、妻の「何が要点かわからない愚痴」につきあわされ、あげく責められるのが苦痛だと彼は言う。
■「離婚」のひと言に反応したら、妻は実家へ…
ここ1年ほど、妻は何かというと「離婚だからね」と言うようになった。離婚後、彼女に巡り会い、再婚するまでに3年かかっているが、その間、彼はずっと2度目の結婚をすべきかどうか悩んでいた。そんな彼の優柔不断さを彼女に責められたこともある。
「つきあっているころ、よく言われたんですよ。ちょっと意見が違うと、『別れるからね』って。当時の僕は彼女に去られるのが怖かった。でもまた失敗したらどうしようと思うと、結婚するのも怖かった。彼女はそれがわかっている。だからちょっと口げんかみたいになると、『別れるからね』『離婚するからね』と脅すんです。再婚したとき、ケンカしても『離婚』という言葉を出すのはやめようと約束したのに」
一般的に言っても、夫婦の間で、「離婚だからね」はきついジョークだ。ましてセイジさんは再婚。離婚経験者は心に傷を負っている場合も少なくない。
「なんかね、妻の『離婚だからね』という言葉が、じわじわと心を蝕んでいくんですよ。自分が病むくらいなら、一度でいいから、いいよ、それなら離婚しようと言い返してみたくてたまらなかった」
そして彼はあるとき、言ってしまうのだ。「いいよ、離婚しよう」と。それに激怒したのは妻だった。本気なのかと問いつめられ、「きみがそうしたいんだろう」と言ったことから、ただのケンカではなくなっていった。妻は娘を連れて、今、実家に戻っている。
「いったい、どうしてこうなったのかわからないんです。短期間に完全に夫婦の関係がおかしくなってしまった」
今ならまだ修正がきく。そう思いながらも、セイジさんはそのための一歩が踏み出せずにいるのだという。