■息子が軽い発達障害で
ケイタさん(42歳)は、2年前に6歳年下の女性と結婚した。お互いに再婚で、当時ケイタさんには8歳の息子が、彼女には4歳の娘がいた。
「うちの息子、どうやら軽い発達障害があるみたいなんです。言葉の発達が特に遅いらしいけど、ゆっくり言うことを聞いてあげれば少しずつしゃべれる。それを妻がなかなかわかってくれなくて」
妻の娘は非常におしゃまで、4歳のころからよくしゃべっていた。お互いにじっくり考え、話し合った末の再婚だったが、最近、妻の機嫌が悪いことが多いという。
「今のところ、妻は専業主婦なんです。それもあるのかもしれないけど、僕が帰宅しても『お帰り』も言わない。娘は抱きついてきてくれるんですけどね」
数ヶ月前、息子の腕にアザがあった。そのことから妻による息子への虐待を疑ったこともある。だが、実際にはアザは学校で本人がうっかり転んだものと判明した。
「最近、息子はかなり話すようにはなっているんですが、妻はどうやら発達が遅いことにイライラしているみたいですね」
以前は、息子の様子を細かく伝えてくれたが、最近はあまり息子と接触してくれていないことも彼には気になっている。
「イライラするより、我慢強くつきあってほしいんですが、こういうとき強く言えないのが子連れ再婚の悲しいところかもしれません。特に自分が昼間家にいないから、何か言って子どもに八つ当たりされたらどうしようと思ってしまうんですよね」
子育てが大変だろうから、週に数回、誰かに助けてもらおうかと提案したこともある。だが妻は、「そんな経済的な余裕はない」と突っぱねた。
■子が親を試している
週末、じっくり息子を観察していると、確かに落ち着きがない。お腹がすいたと言いながら、妻が食事を食べようとしなかったりすることもある。
「そういうとき、妻はキーッとなるみたいですね。ただ、僕が見る限り、息子は妻を試しているんじゃないかと思えてならないんですよ。本当に愛されているのかどうか、子どもは親を試すものなのかもしれない、と」
だからといって、妻に神様のようになれとは言いづらい。妻の気持ちもわかるが、不機嫌なことが多いので娘が妻の顔色をうかがうようになっている。
「それもよくないなと思って、妻に話をしようと言ったんですが、『話したからって、何かが変わるわけじゃないでしょ』と。不機嫌って悪循環なんですよね。不機嫌だからネガティブにしか考えられない。それがまた不機嫌を呼ぶ。息子は専門家にかかっているし、妻ももっと専門家を頼ればいい。妻がカウンセリングにかかってもいいわけだし」
穏やかにそう言ってみても、妻は受け入れてくれない。その妻の頑なな雰囲気が、家の中を支配している。
「協力してうまくやっていけるのではないかと思ったけど、むずかしいのかもしれませんね。妻は妻で、僕の家族への関わり方がよくないと感じているようだし。どこか歯車が噛み合わなくなっている。今のうちに修正しないと、と思っています」
妻の不機嫌が、本当に息子のせいなのか、あるいは他に何かあるのか。第三者を交えて話し合ってみたほうがいいとケイタさんは決心したそうだ。