「話題の情報を発信する」といった雑なコンセプトをキャッチコピーとするネットメディア『OVO(オーヴォ)』が、「身体のラインを見せることに抵抗ある? やっぱり女性はNGが多い」なるタイトルの記事を配信していた。
格安航空券などの比較サイト『エアトリ』が、20代〜70代の男女621人を対象に実施した「筋肉・筋トレ」に関する意識調査について言及した内容で、最初は、
身体のラインを見せることに抵抗があるかとの問いに、「抵抗がある」と回答した男性は25.1%、女性は61.7%
……といったアンケート結果が。次に、
体型が「ゴリマッチョ」「細マッチョ」「ナチュラルマッチョ」の人(=そう自覚している人?)に対して、どのくらいの頻度で身体を動かしているかを聞くと、「週3〜4回」が最も多く、「週1回以上は9割以上」
……なのだそう。また、
これらの人に筋肉を付けた理由を聞くと、男女共に「健康のため」「体力をつけるため」が1・2位となり、3位は男性が「筋肉がある方がかっこいいから」、女性は「ストレス発散」となった
……らしい。
う〜ん……なんか、イマイチ焦点が絞りきれない、ぼやんとした質問と数字ばっかですな……。なので、とりあえず今日は私個人の「筋肉論」を、しばし語ってみることにする。
まず、なぜ人は、現代人はここまで躍起になって筋肉を欲するのか? 「健康のため」「体力をつけるため」……それは十分に理解できる。たしかに「健康」と「体力」は、私のような文筆業者ですら、“イイ仕事”をするために絶対欠かせないキーワードだったりする。村上春樹もそれっぽいことを言っていた。だがしかし、筋肉を付けることによって「健康」と「体力」を獲得できるという発想は、ちょっと違うんじゃないか? 「筋肉」はあくまで“副産物”でしかなく、「健康」と「体力」に気を配ることによって、後付け的なかたちで時に発育していくものではないのか? 「とにかく筋肉ありき」といった本末転倒なマッチョ信仰を、私はどうしても好きになれない。野球で速い球を投げるために、スイングスピードをアップするために、軽やかな走塁のために……少しでもチームに貢献できるよう日々地道な修練を重ねた結果、おのずと肩の筋肉が盛り上がり、腹回りの贅肉が削ぎ落とされ、脚力が鍛え抜かれるのが理想だと私は考える。
とは言え、こんな私でも、いわゆる「見せる筋肉」にこだわってしまうことはある。ズバリ「女性の前で全裸、もしくは半裸になる可能性がほんの僅かでもありそう」な場合である。そんなときの私はデートの3日ほど前から、腕立て50回・腹筋100回・スクワット100回……と、けっこう過酷めな筋トレに精を出す。なので、週に2回、3回……と、デートのスケジュールが運良く立て続けに入ってしまったときの私は、めっぽうマッチョだったりする。結局のところ、なにを言いたいのかといえば、人が筋肉に固執する真の理由とは「異性の目」──つまりが「モテたい!」へと最終的には帰結するということだ(※身体のラインを見せることに「抵抗がある」と回答したのが、男性より女性のほうが圧倒的に多いのは、男性より女性のほうが“理想の体型”の基準値が高いってことだろう)。もう一度繰り返す。「健康」と「体力」は後から付いてくる。少なくとも私にとって筋トレはストレス以外の何物でもなく、家でゴロゴロ好きな映画や漫画を観たり読んだりしているほうが、ずっとリラックスできる……。