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「人気バンドでその給料は厳し過ぎ…」KANA-BOON飯田だけじゃない、あのGacktやTAIJIも…バンドマンが失踪する理由に頷ける




人気ロックバンド『KANA-BOON』のベーシスト、飯田祐馬さんが一時失踪し、音楽活動休止を表明するという騒動があった。





近年……というか昔からバンドマンの失踪事件は珍しいことではない。ここ5年以内でもKidori Kidoriのンヌゥさん、Base Ball Bearの湯浅将平さん、LILYのパンチさん、コドモドラゴンの華那さんら幾人もの前途あるバンドマンが失踪している。なぜバンドマンは失踪してしまうのだろうか?彼らの人物的傾向とおかれている境遇からその原因を考察してみたい。





■バンドマンの厳しい経済状況





KANA-BOON飯田さんの失踪には、細かな経緯は明らかにされてないが、バンドの活動をめぐり精神的な負担があったそうだ。“精神的な負担”と聞いて、それもそうだろうと思った。楽曲がテレビで流れ、ロックフェスで数万人を前に演奏していても、バンドマンがおかれている環境はいろんな意味で厳しい。もう10年以上も昔の話だが、人気テレビ番組や有名映画のテーマソングを手がけるカリスマ的ロックバンドのメンバーから聞いた手取り月収は25万円だった。家賃の高い東京に住み、音楽シーンの派手な付き合いに身を投じるとお金なんて貯まるどころかなくなっていく一方だったそうだ。



プロダクションが悪いわけではない。この不景気なご時世、たとえそこそこCDが売れ営業ライブが入っても、手数料や経費を引いてメンバーの頭数で配分するとけっして多い金額を支給することはできないのだ。作詞や作曲を手がけている人やタレント的な仕事ができる人なら別だが、演奏だけのメンバーだとその収入は自然と厳しいものになる。

 



 



■人気商売の不安定さ





人気バンドマンは10代か20代でメジャーデビューして数年のうちにブレイクするというケースが多い。しかしその後も長く人気を保てることは非常に稀だ。また毎年数十本、多ければ百本を超えるライブの日々は肉体的に決して楽ではない。創作をする上でプレッシャーやメンバー間の意見の対立もあるだろう。そんな過酷な環境の中で切磋琢磨していてもバンドが解散したり人気が低迷したらお払い箱。労働環境という点だけで言えば昨今問題視されている派遣労働よりもさらにハードモードな職業がバンドマンなのだ。







■あの大御所たちにも失踪の過去が





過去を振り返ればキャロルのジョニー大倉さん、XのTAIJIさん、MALICE MIZERのGacktさんらレジェンド級のバンドマンも突如失踪して世間を騒がせている。彼らはミュージシャンとしてはまさに天才。人気の規模の面からも、先に紹介したバンドマン達よりおかれていた環境ははるかに恵まれたものだったはずだ。それぞれにどのような経緯で失踪に至ったのか紹介しよう。



ジョニー大倉さんが失踪したのは1973年。キャロルがデビューして約1年後、代表曲『ファンキー・モンキー・ベイビー』がヒットした直後のことだった。共に作詞作曲のパートナーである矢沢永吉さんとの精神的対立や日常的に使用していたドラッグの影響があったらしい。結局、約3か月後の1974年2月に復帰したのだが、メンバー間の関係に影響を与え、後の解散の一因になった。



TAIJIさんが失踪したのは1996年。1991年末にYOSHIKIさんとの対立でXを脱退した後、世界的ヘビーメタルバンドLOUDNESSに加入して成功をおさめていたがバンドの契約トラブルやメンバー間の不和でふたたび脱退。ソロ活動や家庭も順調にいかず、経済的に困窮した挙句、周囲との連絡を絶って2年間のホームレス生活に入ってしまったのだ。



Gacktさんが失踪したのは1998年。ソロ活動や金銭感覚をめぐって事務所やManaさんらMALICE MIZERの他メンバーと決裂。しばしの間、行方をくらませた後、雑誌上などで意見を戦わせ、翌年にはソロデビューに至った。本人としては不本意な想いもあったらしく、2019年5月2日に放送された『直撃!シンソウ坂上』(フジテレビ)ではメンバーで最も仲が良かったKamiさんの墓参りをしている様子が報じられている。



人間関係、金銭問題、心の弱り、野心……バンドマンが失踪する背景には実にさまざまな原因があることがわかっていただけたと思う。一見華やかに見える音楽の世界だが、実際そこに身を置いている人はとんでもない厳しい環境に耐えているわけだ。KANA-BOONの飯田さんにしたって好き好んで失踪したわけではないだろう。日本の音楽シーンがさらなる発展を遂げるためにはもっともっと優しく温かい文化的土壌が必要だと思うのだが。

 


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