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カバンが毎日同じ人、カバンがパンパンの人は仕事ができない!?


(左)半年ほど使った亀の腹チックなデザインの縦長手下げバッグ/(右)新しい迷彩柄布製横長手下げバッグ


原稿執筆のため行きつけとしている喫茶店『珈琲館』の女性店長さんに会計時、「アレ? オニイサン、カバン変えたんだ!?」と声をかけられた。そう。ちょうどこの日から私は、コム・デ・ギャルソンBLACKの真っ黒なナイロン製の亀の腹チックなデザインの縦長手下げバッグから、やはりコム・デ・ギャルソンHOMME DEUXの迷彩柄布製横長手下げバッグへと“カバン変え”したばかりなのであった。



 



真っ黒なナイロン製の亀の腹チックなデザインの縦長手下げバッグは、だいたい半年くらい持ち続けたんだろうか。半ズボンやジャージ……と、どんなにクズな恰好で珈琲館へ通う際も、常に同じ(それなりに前衛的なデザインの)カバンを下げていたので、さほどの顔馴染みでもない女性店長さんの目にも「私のカバンが変わったこと」は新鮮に映ったのかもしれない。



 



私は、一度カバンを買ったら最後、近所の喫茶店やスーパーに出かけるときであろうが、わりとちゃんとしたクライアントさんの会社へ出向くときであろうが、正装を義務づけされているパーティーに出席するときであろうが、海外出張であろうが、とことん同じカバンを持ち続ける。



 



「そのカバンに愛着があるから」というのは、たしかに一つの理由ではある。が、「愛着」よりも、むしろ「毎日カバンをコロコロ変えてたら、ほぼ100%なにか入れ(替え)忘れをしてしまうから」って理由のほうが、私にとっては大きい。ルーターやらテープ起こし用のイヤフォンやら歯磨きセットやら小さな文字を読む用のルーペやらを、“昨日使っていたカバンの底やミニポケット”へ、つい残したまんまにしてしまうのだ。私のカバンは「まさぐればなんでも飛び出すドラえもんのポケット」のような“魔法の容れ物”じゃなければいけない。だから、私は一度買ったカバンを執拗なまでに延々と持ち続ける。だから、私のカバンはどんなにタフなつくりのモノであっても、半年くらいでダメになる。その“半年”の間に、たまたま惚れ込んでしまった“次のお気に入り”を購入するケースも稀にあるが、そのカバンは私のワードローブで数ヶ月ほど、“順番待ち”として、眠っている。



 



ところが! ファッション業界で働く、とある私の男性友人が、とある飲みの席で、



 



「カバンが毎日一緒の人間は仕事ができない」



 



……なんてことをおっしゃっていた。その彼とはひんぱんに顔を合わせるほどの仲でもないゆえ、おそらく「私が毎日同じカバンを持っているヒト」だってことは知らなかったのだろう。つまり、私に対するからかいだとか嫌味だとか、そんな悪意はまったくなく、単純に彼が自身の経験から導き出した一定則にすぎないわけである。



 



「なんでですか?」と、さり気なく訊ねてみたら、彼はその“根拠”をこう述べてくださった。



 



・  デキるヒトは、その日その日のTPOに合わせてカバンを変える



 



・  カバンを変えることによって、その日の気分をリセットできる



 



・  カバンもファッションにおいては重要なアイテムである



 



・  洋服にジャストサイズがあるようにカバンにもジャストサイズがある(※なんでもかんでもカバンに詰め込んでしまう行為はカバンへの冒涜)



 



・  パンパンで薄汚れたカバンは他人にだらしない印象を与える



 



彼の持論は、ファッション業界に身を置く者の視点からすれば、おおよそ正しい。AVやフーゾクのスカウトマンは「カバンの中身が汚い子は狙い目」だと言う。もし私が女性だったなら、絶好のターゲットとなってしまうに違いない。しかし、「AVやフーゾクのスカウトマンにとって狙い目」な人間性が、かならずしもダメだとはかぎらない。そもそもがヒトを「デキる・デキない」の二択で判別してしまうこと自体、あまりに短絡的で、用心深さに欠けた発想なのではなかろうか?



 



 



 



 


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