またまたcitrusが配信する『Suits WOMAN』発の記事が、私の興味を掻き立ててくださった。
『SNS時代だからこそ武器になる「声」の威力……声で恋に落ちた経験のある人は●%に』なるタイトルで、昨今のコミュニケーション手段はメールやチャットツールなどの“文字”が主流となりつつあるなか、時折ふと耳にする“声”がかえって新鮮に感じて、心を動かされることもあるのでは……との“仮説”をもとに、『ゴディバ ジャパン株式会社』が今年のバレンタインデー前、「声」をテーマに行ったいろいろなアンケート調査に対する考察が述べられている。とりあえずは、そのいくつかを紹介しておこう。
Q.恋愛に“声”は重要な要素だと思いますか?
・ とてもあてはまる:17.3%
・ ややあてはまる:49.5%
・ あてはまらない:33.2%
なんと! 全体の7割弱が声の重要性を認識しているという結果に。さらには、
「“声”を魅力に感じて恋に落ちたことがある人」は32.9%
「実際に“声”がきっかけで恋愛が始まり、交際や結婚に至った人」は18.0%
……も実在することが判明した(ちなみに「声がいいと思う男性有名人」で1位になったのは玉木宏なのだそう)。では、具体的に女性が魅力的だと感じる“男性の声”とは、一体どういったものなのか?
アンケートでは「楽しそうな声」「自然体な声」「低い声」……あたりが上位を占めているという。う〜ん……あんまし参考にならないあやふやな回答である。逆に不人気なのは「小さめの声」「高い声」「大きめの声」……など。なるほど、消去法で炙り出せば「心地良いボリューム感のバリトンボイス」みたいな発声と声質が乙女ゴコロをくすぐるってことだろう。
「声がいい人とは、イコール体感ほか身体のつくりが優れている人なので、異性が声がいい人に惹かれるのは遺伝子レベルでも理にかなっている」みたいなことをどこかで聞いたことがある。「恋愛」の観点を抜きにしても、たとえばテレビのバラエティ番組で雛壇に「その他大勢」として座らされたとき、必ずコメントを拾ってもらえるのは「いいことを言っている人」より、得てして「声が通る人」だったりする。だから、「籠もりがち」と自分の声にコンプレックスを持つ私としては、海千山千のお笑い芸人やコメンテーターのなかにブチ込まれてフリートーク的なかたちで進行していく番組には、あまり出演したくない。自分が発言するワクを確実に振ってくれなければ、下手すりゃあ収録中ちょこんと座っているだけ……おのれの存在感を示すことができないのだ。
だが、「モテ・非モテ」に話を戻せば、「小さな声の男性はモテない」という説に関するかぎり、私はいささかの異論を唱えたい。なぜなら、私の友人には「ぼそぼそと小さい声でしゃべるモテ男」が、ちゃんと実在するから。
その彼はいつも、まわりがうるさい居酒屋やバーとかでもぼそぼそぼそぼそと俯き加減で会話する。静かな場でさえ、なにを言ってるのか正直ほとんどよくわからない。けれど、それゆえに自然と彼との実質的な距離は近くなる。そして、いつの間にかちゃっかりと疾風のように女子をお持ち帰りしちゃうのである。とどのつまりは、自分の声の性質を冷静に分析し、それをプラスへと活かす機転こそが、「モテ」へと直結する最大の資質であり、「恋愛で“声”は重要な要素となるのか?」という問いに対し、その半分近くの回答であった「ややはてはまる」の「やや」は、じつに適確なニュアンスなのかもしれない。