「先生、入院中の飯田さん、ずっと勃起してるんですけど…」
私が勤務する病院で、20代前半の新人ナースが小声で相談してきました。飯田さん(仮名)は糖尿病で入院している73歳の男性。病院の消灯後、ナースが巡回していると、就寝中の飯田さんの股間が、パジャマの上からわかるほど大きく膨らんでいるというのです。「飯田さん、昼夜問わず股間が膨らんでいるんです。もうおじいちゃんなのに、なんなんですか!?」。ナースの狼狽ぶりに思わず笑ってしまいました。
実は飯田さん、韓国で“とある手術”を受けてきたのです。陰茎の左右に金属の支柱を埋め込み、常に勃起状態を維持できる究極のED治療手術です。自分の意志に関係なく勃起しているため、新人ナースの困惑の種となったのでした。
糖尿病患者はEDの危険性が2~3倍に上昇します。飯田さんも40代で2型糖尿病と診断され、通院を続けていました。しかし、仕事上の付き合いや接待もあり高い血糖値が維持され、いつのまにか自分の下半身を蝕んでいたのです。
血糖値が高いと体中の血管を傷害し、特に細い血管が破壊されます。細い血管の集合体である陰茎海綿体も例に漏れず、陰茎の血流が低下しEDに陥ります。
■薬も効かない…男としては絶望的な状況に
さらに恐ろしいのは、こうしたタイプのEDにはバイアグラなどの薬が効きにくいという点です。一般的なED治療薬は陰茎の血管を広げ血流を増やすことで男性機能を改善します。糖尿病によって血管自体が破壊されてる場合、ED薬を飲んでも血管は反応せず期待する“効果”は得られません。
もともと風俗店でのお遊びも盛んだった飯田さん。ED薬を使用してみたものの、効果は乏しく究極のED手術を受ける決断をしたのでした。
男性機能を維持し、万一「勃たない」事態にもED薬という切り札を残しておくためには、血糖値を正常に保ち、糖尿病にならないことが大切です。糖尿病の多くは食べ過ぎ、飲み過ぎによる不摂生がその主な原因です。いまいちど食生活を見直し、適度な運動とあわせて"男らしさ"を維持することを強くお薦めします。
※情報は2019年1月16日時点のものです