もはや冬にかかせない「ヒートテック」。ズボンの下に履くタイツ、シャツの下に着る肌着のイメージが強いかもしれません。「機能性下着」と位置付けられるこの類いのアイテムは、ユニクロのみならず各社から登場。この10年で世間に浸透してきました。もちろん、下着という位置づけだからこそ、「ヒートテックは見せてはいけないもの」という共通認識がありました。
ここ数年、見せないことを前提とした「シームレス」と呼ばれるヒートテックが、ユニクロに登場しました。首回りが切りっぱなしになっていて縫い代がなく、シャツやカットソーを上に着ても、ヒートテックの縫い代が響かず、透けません。
しかし、そんなヒートテックがついに下着の領域を飛び出し、「一枚で着られる」ようになったのです。どういうことでしょうか。
■まるでカットソー…常識を覆す仕上がり
この11月発売されたUNIQLO and ALEXANDER WANGのヒートテック。ニューヨークを代表するファッションブランドが生みだした、新しいモデルです。このヒートテックは、カットソーとして見せることを前提としたディテールが随所に盛り込まれているのです。
まず、ヒートテック特有のあのタグがついていません。下着であることを主張してしまうあのタグの代わりに「ALEXANDER WANG MADE FOR ALL」というロゴがさりげなくプリントされています。また、首回りの縫い代幅も下着に比べ広く、まるでテロッとしたカットソーのような仕上がりです。
前面と背面にはセンターラインのような一本のシーム(縫い目)が縦に配置され、そのカッティングもデザイン性を高めているようです。
これまでの機能性下着という位置づけではなく、“保温効果のあるカットソー”という感覚で私は「極暖タイプ」を2色(白・黒)揃えました。
■乳首が透けてしまう?
白を着た時、ある問題が生じました。テロっとした柔らかな質感だからこそ、身長172センチ65キロの比較的標準体形の私が普段選ぶMサイズでは、乳首が透けてしまうのです。そこで、黒はLサイズを購入しました。
本来なら、大きめのサイズを着ると肩幅が落ちてしまうリスクがあります。ただ、このデザインは、カッティングが後ろだけ「ラグランスリーブ」と呼ばれるつくりになっているので、肩幅が落ちたように見えません。
ワンサイズ上げ、かつ色を黒にしたことで、乳首透けを気にせずカットソー感覚で着られました。
■服のコンサルタントが教える、最強活用術
夏、Tシャツを1枚で着る感覚が好きな私は、下着とカットソーの役割を1枚で果たすインナーとして、今季秋冬、このアイテムに注目しています。
厚手のセーターの上に厚手のダウンジャケットを重ねたとき、モコモコと着ぶくれするリスクが高いのではないでしょうか。そこで、厚手のダウンジャケットに合わせる保温機能の高いカットソーとして、このヒートテックを活かしたいのです。すっきりと着られるうえに、暖かい機能も兼ね備えており、安心して着用できます。
ただし、1枚で着たいと思わない場合、あえてこのタイプをチョイスする必要はないかもしれません。クルーネックで見せることを前提としているため、ワイシャツを着てボタンを開けると、首回りがワイシャツから出てしまうのでNGです。
シャツに合わせるヒートテックなら、既存のシームレスタイプがおすすめです。一枚で着るのか、シャツを羽織るのか、シチュエーションによって使い分けましょう。