音楽・アーティスト・映画ニュース・TVドラマ情報・エンタメ×テクノロジーのニュースを届ける総合カルチャーサイト『Real Sound』が、なかなかに興味深いコラムを配信していた。
『アーティストが解散しやすいのは結成から何年目? ファンにとっての“厄年”を調査』なるタイトルで、音楽性の違いや突然のスキャンダル……ほか諸々の理由で、アーティストグループが「解散・活動休止」してしまうケースが“結成何年目”に多いのか、を調べあげたものである。
ちなみに、今回の調査対象となっているのは、2015年〜2019年に解散もしくは解散予定のアーティスト・計123組(調査はウィキペディアの記事を参照)。ジャンルは問わず、アイドルグループからロックバンドまで、2人以上で音楽活動をしていたアーティストグループで、解散に限らず活動休止など「継続して活動しないと発表した」グループすべてを含んでいる……という。
結論を申せば、
ロックバンドは「11年目」、アイドル・ポップスは「6年目」がそれぞれの“厄年”となっており、最大の転換期となりやすい「6年目」は、どちらのジャンルもトップ3にランクインしている
……のだそう。「6年目が最大の転換期」とは「まるで人生の縮図ではないか!」と、私は思わず1年を10年単位に換算し直し、自分のこれまでの50数年間の半生を振り返ってしまった。
生まれてから10歳になるまでの一ケタ代のころ、世の中の決まり事やシステムもわからないまま、ただ歩くことに、言葉を覚えることに、自転車に乗ることに、ボールを放ったり蹴ったりすることだけに執心し、“ヒトとしての社会生活”を営むための基本の基を遮二無二学びながら、あっという間に時は過ぎ去っていった。
10代のころ、青臭い理想を抱き夢見つつも、後半では受験や就職の狭間に立たされ、“現実”との折り合いをつける“妥協”という観念を一部あるいは大部分、受け入れざるを得なくなった。
20代のころ、“学生”という肩書きの保護下から切り離され、今度は“社会人としての社会生活”を営むための基本の基を遮二無二学びながら、やはり、あっという間に時は過ぎ去っていった。
30代のころ、20代で積み重ねてきた経験やスキルをそれなりに活かし、それなりの自由を得ることもできた。心身ともに、もっとも充実感を明確に体感できる時期だったのではなかろうか。
40代のころ、30代まで全力で突っ走ってきた反動、金属疲労のようなものがあちらこちらから滲み出るように生じはじめる。しょせんオレなんてこんなもんか……といった倦怠からくる厭世感が散発的に頭をよぎるのも、ちょうどこのころである。
50代のころ、40代の「倦怠からくる厭世感」が一種の諦観を帯び、それが時に達観へとつながっていく。諦めることで“他の同世代との比較”が馬鹿らしくなり、「ヒトはヒト、オレはオレ」と開き直ることができるのだ。
そして、60代。私はまだ“そこ”には足を踏み入れていないので、どうなるかは“予測”しかできない。もしかすると、今の仕事をこれ以上続けていく気力も才能も枯れ果て、“開き直って”引退してしまうかもしれない。肩の力が抜けきったかたちで、私にとっての新しい文筆の分野を開拓している可能性だって、少しはなくもない。
いずれにせよ、人生の「60年目」、アーティストグループの「6年目」が大きなターニングポイントとなるのは、いたって自然な、“当然の帰結”なんだろう。