「さんざん応援しろ、CD買えって言われて買わされて、いざ解散となったらナマの挨拶も解散ライブもないのかよ? まるで“やりにげ”じゃん!」
言いたい放題の知人をにらみ返して、私は言った。
「そんなことない! 私は、ちゃんと……」
■ファンクラブ会員に届いた深夜のメール
2018年9月10日をもって、タッキー&翼が解散したという。デビュー17年目に入る「9月11日」を目前にした解散であり、ファンクラブ会員には9月12日の深夜、「大切なお知らせがあるので、9月13日の0時以降に会員サイトにアクセスせよ」という旨のメールが届いた。
いやな予感しかなかった。
0時を待ってサイトを見ると、彼らが「9月10日をもって解散したこと」、滝沢秀明氏は年内で芸能活動を引退し、エンタテインメントのプロデュース業務に専念すること、今井翼氏は事務所を退所し、病気の治療に専念すること、これまでの応援に心から感謝すること、などが綴られていた。驚愕の“事後報告”である。
力が抜けた。
どうして……?
活動休止中だったふたりが、“休止”ではなく“解散”を選ばざるを得なかったのには、ジャニー喜多川氏の後継者問題、今井氏の健康問題など、やむにやまれぬ事情があったのだと思う。ではあるが、あまりにも……。
■「安室奈美恵を見ろよ」
前出の知人は言う。
「安室奈美恵を見ろよ。引退すると決めたら前もって知らせて、コンサートをやって、みんなが気持ちをなだめる時間をとってくれたじゃん。ファンを尊重してるんだよ。そういうのに比べてさぁ……」
彼が言わんとすることはわかる。引退前に心の準備をさせてくれるのは、とてもありがたいことだ。誰もが幕引きまでの時間をきれいに采配できたらきっといいし、私も急な知らせに混乱が鎮まらなかった。
けれど、たとえば皆がいろんなことの整理をつけ、愛する人に看取られて死を迎えられるとは限らぬように、アイドルの“最期”も、納得いかないまま突然に訪れてしまうものなのかもしれない。事実、今年はそういうことが多い。
熟考の上、苦渋の決断とのことではあるが、少なくとも、“滝翼”の場合はそうであるように思う。であるならば、せめて遺された者たちのケアを手厚くしてほしい。
■急に手を離された私たちの心細さ
別れをかわす場もないなら、手紙くらい託したいし、ふたりの映像や作品をなかったことにもしてほしくない。
彼らを擁するひとは、「芸能界を引退するから、退所するから」、すっぱりとファンの思いを切り捨てるようなことをせず、「いついつまではここで手紙を受け付け、以後はどこそこに引き継ぐ」とか、「メモリアル展をやる」とか、なにがしかのやりかたで急に手を離された私たちの心細さをくんでくれたら、と思う。
解散しようが、引退、退所しようが、彼らを愛する気持ちに解散も引退も退所もありゃしない。集客がきびしいと聞けば地方でも飛んでいき、CDの売上が伸び悩めば何枚でも買い増した。でもそれは、すべて自分の意志で。
「やりにげなんてされてない。開いたのは、胸のボタンじゃなくて財布だけれど、私がしたくて自分でやった!」
はっきりとそう言える。だからこそうやむやにならぬうち、ずっと彼らを思い続けられるよう、道を。
道を開いてほしいのだ。
ふたりが解散したとて、私の応援活動はごく自然に17年目に入った。
ありがとう、滝翼。今までも、そしてこれからも。
滝沢氏のラストステージは、ディナーショウになるのではと言われているが、であるならばライブ配信をするとか、会場に足を運べないすべてのファンが救済されるよう、よきに、よきに取りはからってくれることを願ってやまない。