「結婚=幸せ」「離婚=不幸せ」という単純な図式にはあてはまらないのが夫婦問題。憧れの結婚をしてもブルーな毎日を送る人もいれば、悩んだ末に離婚をして次の幸せに向かえる人もいます。私、岡野あつこが実際に目撃した「男女の不思議な物語」をお届けします。
「マザコン夫と義母への疑念」~A菜さんのケース
留守の間に義母が私の下着を…
40歳までには結婚したい」が口グセだったA菜さん。20代、30代とそれぞれお付き合いしていた男性は何人かいたものの、いずれも結婚の話が出るまでにはいたらず。周りの友人が次々と結婚、出産していくのを見るたびに、「このままずっと独身なのかしら」と焦りや不安を感じていたと言います。
そんなA菜さんは半年前に38歳になったタイミングで、はじめて参加したお見合いパーティで知り合ったB輔さんと、とんとん拍子で結婚することになりました。お付き合いをしているなかで、「この人って、ちょっとマザコン気味なのかな」という思いが頭をよぎったこともあったと言いますが、そんな小さな不安よりも「念願かなって40歳までに結婚できた!」という喜びでいっぱいだったA菜さん。周りからも祝福され、なんの不満も不安もない結婚生活がスタートしました。
ところが、結婚生活がはじまって早々に、新しい環境にまだ慣れていなかったA菜さんは過労で体調を崩し、1週間ほど入院が必要になってしまいました。1週間後、退院するとなぜかA菜さんとB輔さんの二人の新居には、B輔さんの母親が待っていたのです。聞けば、A菜さんが不在の1週間は、毎日義母が泊まり込んで息子の世話をしていたとのこと。その時点で違和感があったものの、驚いたのは夫婦の寝室にまで義母が入り込んでいたのがわかった瞬間でした。「インテリアの配置が変わっているのも気になったのですが、それよりもクローゼットのなかの私と夫の下着の引き出しの中身まで、すべて並べ替えられていたときはゾッとしました」。
夫に訴えても「キミは整理整頓が苦手なんだから、お袋にまかせられるんならかえって楽でいいじゃない」と取り合ってもらえず。そのとき以来、「心配だから」とたびたび顔を出すようになった義母。甲斐甲斐しく世話をする義母とそれをよろこぶ夫がイチャイチャしているところを見るたびに、「この結婚、本当に正しかったのかな……」とため息をついてしまうA菜さんでした。
「ミスコン妻のプライド」~C美さんのケース
「(地味な)夫に浮気された」なんて恥ずかしくて人に言えない!
「ごめん、付き合っている女性がいるんだ。彼女に子どもができたから別れてほしい」と突然、夫から離婚を切り出されたC美さんが、その瞬間に頭に浮かんだのは夫への怒りでもなく浮気相手の女性に対する嫉妬でもなかったと言います。「どうしよう、周りになんて言おう。『夫に浮気された』なんて口がさけても言えない……」という感情だったのです。
もともとC美さんはミスコンにも選ばれるほどの美人。学生のときからモテていたこともあり、付き合ってきた男性たちのレベルの高さは相当なものでした。そんなC美さんが結婚相手に選んだのは、意外にも地味で「いい人そう」な年の離れた男性。「結婚生活でいちばん大事なのは『安定』。収入や浮気の心配がない相手がいい」という宣言どおりのお相手でした。安定を求めて結婚したはずが、予想を裏切り夫のほうから離婚を切り出されたのです。C美さんのプライドは、さぞズタズタに傷ついたことでしょう。
はじめは世間体を考えて離婚に応じようとしなかったC美さんでしたが、結局、高額の慰謝料を支払ってもらうことで離婚に合意。何よりもC美さんが心配していた周りのリアクションも「みんな意外とあっさりしたもので、とくに同情されることもなかった」とのこと。それよりも、離婚によってC美さん本人の気持ちや生き方が変わったのでした。「離婚してわかったのは、私は夫を思いやることをまったくしていなかった、ということ。それよりも安定した幸せな結婚生活を周りに自慢することのほうに目が向いていたんです。もっと自分を成長させて、次こそは心から誰かを愛したいです」。その後、C美さんは結婚を機に辞めた仕事に復帰しました。今は、やりがいのある仕事といいスタッフに囲まれ、充実した日々を送っています。