先日、好評のうちに幕を閉じたKis-My-Ft2コンサート最終公演において、藤ヶ谷太輔さんが「デビュー7周年に向けて(どうしていくか)、7人で話し合いました。その際、ギクシャクしたこともありましたけど……」という旨の話をされました。
祝うべき7周年、「みんなで話し合いました!」と小ギレイにまとめてもよかったのに、あえて「ギクシャクした」という言葉を添えた彼。私はそこに、アラサーの“大人アイドル”として正直にファンに寄り添わんとする彼の誠意を見た気がします。
■アイドルに“なかよし”を求める心理
長年ジャニヲタをやっていると、必ずと言っていいほど訊かれるのが「AくんとBくんって、仲はいいの?」という答えようのない質問です。
彼らがどう思い合っているかなど本人たちにしかわかりませんし、そもそも“仲がいい”とはどういう状態を指すのでしょう? また、「アイドルは“なかよし”でなければならない」のでしょうか?
質問をしてきた人に、自身が目撃した限りで「和気あいあい」とは言いづらいエピソード―――たとえば、「Aくんが取材を受けているときBくんが現れて舌打ちし、ミーティングスペースからAくんを追い出した」とか、「おたがい目も合わせず各自の取り巻きと談笑し、撮影が終わったらバラバラに帰っていった」とか―――を話してみました。
すると彼女、「へぇ~」と聞いてはいたものの、「でもそれはBくんがAくんに甘えてるからだよね? だってBくん、Aくんのことが大好きなんだもん。もう! Bくんってば可愛いんだから!」みたいに結論づけてしまい、こちらはすっかり取り残されてしまうのでした。
おそらくこれは、リアルな人間関係で“不仲”や“険悪”は過剰摂取できても、“なかよし”や“わちゃわちゃ”――特に大人の男たちのソレ――は不足しているからだと思われます。だからこそ、せめて大好きなアイドルだけは“まじりっけなしのなかよし”であってほしい――そんな、祈りのような気持ちによるものではないでしょうか。
彼女たちは、彼らが円満に話し、わちゃつき、共に食事や買い物をし、たがいの家を行き来するような様子を見るとめちゃめちゃ喜び、「世知辛い世の中だけど楽園はちゃんとある!」と安心するのだろうと思います。
■ネガティブな事実を語った藤ヶ谷の真意
しかしながら、アイドルだって好き嫌いや感情のぶつかり合い、価値観の相違などで関係が丸く収まらないときもありましょう。常に共にあればなおのこと、仕事以外は少しでも離れたいと望むのも、無理からぬことと思います。
彼らも人間ですからこれはごく自然なことだし、大人になればさらに当たり前。だからこそ藤ヶ谷さんは、あえてネガティブな事実も入れ込んで自分たちのスタンスを話してくれたのではないでしょうか。
大人アイドルとは、一点の曇りもなくツルツルしたものでなく、仲間との軋轢やたがいの心身の不調なども含めて磨かれ輝くもの。仲がいいの悪いのと、単純に分けようとするのは無粋の極みと言えましょう。
■「ビジネスなかよし」だっていい
たとえプライベートではろくに交わらず、「こいつは合わない」と思っていても、アイドルとして目指す道を同じくし、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるなら、彼らは“最高になかよし”なのだと私は思います。反対に、オフでどんなに親密でも、オンがグダグダなら良好な関係とは言えません。
よく「ビジネスなかよし」などと言って揶揄する人もいますが、プロがその実力を最大限に発揮できる関係性を構築できているなら、これにまさる“なかよし”はないのです。そこに至るまでの傷や衝突を隠さない姿勢こそ、“真のなかよし”だけが見せられるもの――アイドルにおける“なかよし”とは、そういうものではないでしょうか。