日本代表の勝利から一気に盛り上がった「2018 FIFA ワールドカップ ロシア」。個人的にはスター選手の活躍や各国の戦術をチェックするという意味でも予想以上に楽しめた大会でした。本当は最先端の戦術トレンドについても触れたいところですが、その役目は専門家に譲り、ここでは各国代表の監督、とくにその服装にスポットを当てながら大会の余韻に浸りたいと思います。
■白シャツの“こなれ感”が際立った西野監督
まず、今回のワールドカップで目に付いたのは白いシャツを着こなしていた監督です。その筆頭がモロッコ代表のルナール監督。ハリウッド俳優のような風貌を引き立てていたのが白いシャツの着崩しです。胸や裾のボタンを適度に外すことで漂う無造作なムードがイケメンぶりを引き立て、一部では“イケメンすぎる”との評価も得ていました。
そして、われらが日本代表の西野監督も白いシャツを愛用。オシャレなのか暑いからなのかはわかりませんが、袖をまくり上げた着こなしがこなれ感を演出し、スタイリッシュなイメージに導いていました。ちなみに、決勝まで勝ち進んだクロアチア代表のダリッチ監督も白いシャツを着こなしていました。
■もっとも愛された監督? セネガル代表シセ監督の“ワイルド×エレガント”
前回のブラジル大会では黒に近いダークネイビーのシャツが印象的だったドイツ代表のレーブ監督は、今大会もシックでクール。ネイビーのTシャツ×ジャケットというワントーンの組み合わせがメインでした。女性人気が高いのも頷けるセンスです。
また、今大会で一躍人気者となったセネガル代表のシセ監督は、ネクタイを外したスーツ姿が決まっていました。ワイルドなドレッドへア×エレガントなスーツスタイルというギャップが人気を集めた大きな理由のようです。ちなみに、優勝したフランスのデシャン監督もネクタイを外したスーツスタイルが基本でした。
■売上倍増! イングランド代表サウスゲート監督のあるアイテムに熱視線
イングランドのサウスゲート監督は、もっとも着こなしで話題を集めた人物。その証拠に、「英代表監督の服装が大人気。準決勝ではサポーターが“サウスゲート化”へ」といった記事が複数アップされています。その出で立ちのポイントはウエストコート。
“waistcoat(ウエストコート)”とは、英語でベストを指す言葉です。アメリカでは“vest(ベスト)”、フランス語では“gilet(ジレ)”、イタリア語では“Panciotto(パンチオット)”と呼ばれています。ジレはインナー的に着用する品のあるタイプを指すといった通説が日本のファション界にはありますが、定義は曖昧で基本的には袖のないトップスのことです。
ちなみに日本では“チョッキ”という呼び名も。これはジャケットを表すポルトガル語の“jaqueta(ジャケタ)”が変化したという説や、“直着”が語源という説などがいくつかありますが、正解な起源は不明。いずれにしても日本固有の呼び方です。
少し話が逸れてしまいました。名称はともかく、タイドアップしながらジャケットを脱いだベスト姿は品格と着崩し、緊張と緩和のバランスが絶妙。サウスゲート監督の精悍な印象やイングランド代表の活躍もあってベストを着たスタイルが注目を集めたというわけです。ちなみに前述の記事では、サウスゲート監督の影響でベストの売上が倍増したとも報じられています。
■どうしてサッカーの監督はドレッシーな服装を選ぶのか
ここでひとつ疑問も。そもそもなぜ、サッカー代表の監督はシャツやジャケットといった比較的ドレスな格好をしているのでしょうか。
真相は定かではありませんが、スポンサーや相手チームに失礼がないよう服装を選んだのが由来という説が有力です。現在でも試合のグレードが上がるほど品格のある服装が求められ、ワールドカップではシャツやジャケットを着用している監督が大半。ヨーロッパの最高グレードであるUEFAチャンピオンズリーグではスーツの着用が暗黙のルールとなっています。
また、野球などのように監督がグランドに入るケースがあるスポーツは監督もユニフォームを着用し、サッカーやバスケットボールのように監督がピッチやコートに入ることがないスポーツはそれ以外の服装をしているという説もあります。ただし他の説もありますし、明確な区分けや規定はなさそうです。
理由はどうあれ、気品あるコーディネートに身を包んだ監督はトレーニング用のジャージ姿よりもイケメンに見える気がしませんか? 少なくとも知性的で誠実な印象や、リスペクトすべき存在という雰囲気は高まっているはずです。
そんなイメージが仕事の上で役立つのであれば、オフィスのドレスコードがどんどんカジュアル化している中でも、シャツやジャケット、ポロシャツといった襟付きのトップスを選ぶのが賢明。上品なクールビズスタイルをまといつつ、ビジネスというフィールドで熱く戦ってみてください!