■妻が求めるのは「謝罪」と「誠意」
「1回だけだし、妻に突っ込まれてもオレは認めていないし」と開き直る男性は多いだろう。だが、妻たちは女特有の第六感や物証でほぼすべてお見通しである。
「どうやら会社に来ている派遣社員の女性とそういうことになったみたい。携帯電話でのやりとりを見たので確かです。『感じちゃった、ウフ』みたいなメールがあるのに、浮気していないと言い張る夫がなんだか哀れ。やはり自分がしたことはきちんと認めて謝罪、そこから誠意を見せるのが人としてのありようじゃないでしょうか」
リナさん(38歳)は、語気荒くそう話した。夫がきちんと謝罪しない限り、口をきかない、夫の食事もつくらないと宣言した。今は1人息子と自分だけで食事をし、夫が帰ってくるころには寝てしまうという。
「反省しない、問い詰めると逆ギレする。そんな態度では今後、一緒に家庭を築いていくことはできません。夫には年内にどうするつもりなのか、離婚するのかしないのか、家庭を継続するとしたらどうやって謝罪するのか、文書で提出しろと言ってあります」
なかなか厳しい。だが、これが多くの妻の本音なのではないだろうか。
■無視するのはやめてほしい
一方、夫たちはどう考えているのだろうか。自分が悪いのはわかっているけれど、「いくらなんでも無視し続けるのはやめてほしい」と訴えるのはヨシノリさん(40歳)だ。
「ほんの出来心だったんです。もちろん関係があったことは認めていない。認めないのは妻を傷つけたくないから。そのうえで、誤解されるようなことをしたのは申し訳ないと謝ったんですよ。毎日土下座し続けた。それなのに、妻は僕が話しかけても無視、自分が言いたいことはメモにするか、子どもを使って聞いてくる。2ヶ月くらい我慢したけど、このままでは小学生の子どもにも悪影響があると思ったので、子どもが寝てから『このままじゃ、子どもにもよくない。どうしたら許してくれるんだ、どうしたら口をきいてくれるんだ』と妻に訴えました。妻はちらりと僕を見て、『それはあなたが考えることでしょ』って」
ヨシノリさんは悔しそうな表情でうつむいた。自分が悪いのはわかっている。だが、妻は離婚する気はなさそうだ。だから今後、どうしたらうまくやっていけるのか話し合いたいのに……。
「こういうとき、やり直すチャンスの1つも与えないというのは厳しすぎますよね。家に帰ってまた今日も妻に無視されるのかと思うと、帰る足が鈍るんです。もうそろそろ限界かもしれません」
夫の浮気は確かに妻の気持ちをずたずたにする。だが、一緒に暮らしているなら“無視”という手法はとらないほうがいい。
「ここにいるのに、あたかもいないかのように振る舞われるというのは、一番傷つきます」