そんな現代人の目、とりわけ角膜について実態調査を行なったのが、現代人の角膜ケア研究室。角膜に傷がつくリスクに警鐘を鳴らすべくメディア向けのセミナーが9月28日(水)に開催された。
1990年以降、使い捨てコンタクトレンズやPC・スマホの普及が加速。利用時間が増大したことにより、人々はそれまで以上に目を酷使するようになったことを説明。
その影響でドライアイや角膜上皮障害(角膜の傷)への影響が大きくなったことを示した。
また、オンライン授業やタブレットの使用など、生活スタイルの変化によって大人だけでなく「子どものドライアイにも危機感を抱いている」と話す、山田医師。
「以前は、子どもはドライアイの対象ではなかったが、近年は子どものドライアイも増加傾向にある」ことを伝えた。
目に頼る生活が定着し、ドライアイなどの角膜危機に注意が必要な今。
「大切な目を守るためには、角膜がいかに傷付きやすいかを知っておくことが大事」だと語る、山田医師。
そもそも角膜とは、目の表面にある厚さ0.5mmの透明な膜のことを指す。
これほど薄いにもかかわらず5層になっており、最も外側にある角膜上皮層の厚さはわずか0.05mmほど。
生きた細胞が剥き出しの状態のため傷付きやすいという特性をもっているという。そんな繊細な角膜を健康に保つために欠かせないのが、涙だ。
通常は涙液の層が外側に膜をつくって生きた細胞を保護しており、まばたきによって角膜の表面に涙の膜をつくる。
しかし、涙液層が不安定になると角膜がむき出しになり異物や、まばたきをするだけで傷が付いてしまうことも……。
通常は自己修復機能によって少々のダメージは回復するが、PCやスマホの利用拡大を始め、傷付ける要因が多いと修復が追い付かず、傷が残る場合があるという。
さらに、視力にも影響を与え、近視のリスクが高まる可能性も。
山田医師いわく、「症状が悪化しないよう、またこのような症状を防ぐためには早めのケアが必要」とのこと。
「アイケアは、毎日の目の疲れをリセットし、角膜の傷を予防する発想が大切であり、疲れたときだけではなく、日頃から習慣化することが重要。
大人も子どもも角膜を守るアイケア=アイケアリテラシーが重要だ」と話した。また、同じく登壇した伊藤医院眼科副院長 有田玲子医師からは、「今日からできる角膜ケア」として、以下の3つの方法とポイントを紹介した。
① 目を温める温罨法(おんあんぽう)
・目を温めることで、角膜を覆い、涙の蒸発を防いでいる油が溶けやすくなる。
・あずきで温めるアイマスクやビニール袋に入れた蒸しタオルなどで1日2回・5分以上温めると良い。
② 点眼薬
・角膜修復機能を持つビタミンA入りのものを選ぶことが重要。
・角膜にやさしい防腐剤無添加のものもおすすめ。
・1滴で十分効果的であるため、1度に何滴もささない。また、1日の上限回数を守る。(1日3〜6回)
③ まばたきエクササイズの実践
・まばたきが不完全だったり、回数が少なかったりすると、涙の水分の蒸発を防ぐ油が分泌されない。
・まばたきエクササイズで目周りの筋肉(眼輪筋)を鍛えることでまばたきを正しくできるように。
こうしたアイケアを行う重要性について、有田医師は、
「加齢によって角膜の傷の修復機能が低下し、不快症状が長引くこともあるので、継続してアイケアを行うことが大切」
と話し、角膜の傷を放置することのリスクとアイケアの重要性を改めて訴えた。
【参考】
※現代人の角膜ケア研究室
https://www.kakumaku-lab.jp/