
経済ジャーナリスト・荻原博子さんの著書『定年後のお金の悩み、解決します』では、定年後に「年金+α」で賢く暮らすための資産防衛術や生活術をわかりやすく解説しています。
今回は本書より、「地震保険」で支払われる保険金のリアルな仕組みと、万が一の災害に備えて知っておくべきポイントを一部抜粋してお届けします。
地震保険1000万円でも「満額」とは限らない
地震保険については、最近は保険料が手頃になってきたこともあり、検討する価値はあります。ただ、ここで大切なのは、地震保険で家を建て直せるとは思わないことです。なぜなら、そもそも地震保険は火災保険の金額の半分までしか契約できないからです。例えば、火災保険に2000万円かけていたとしたら、地震保険は1000万円が上限です。しかも、その1000万円が満額支払われるのは、家が完全にペシャンコに潰れてしまうような全損と判定された場合だけです。
実際には半損や一部損になることが多く、支払額はぐっと少なくなります。柱が歪んだりして大きな損害が出た半損であれば、保険金額の半分である500万円が支払われますが、最も多いのが一部損です。
これは、家はしっかり立っているけれど壁が落ちたり柱が少しずれたりしているという状態で、この判定だと保険金額のわずか5%程度しか支払われません。1000万円の契約をしていても、実際に受け取れるのは50万円程度ということになります。
地震保険は「家の再建費用」ではない
地震保険はあくまで家を再建するためのお金ではなく、被災した時の当座の生活費として考えておくのが正解です。地震が起きてもそれほど大きな金額はもらえないという現実を理解した上で、それでもやはり不安だから入っておこうと考えるのがいいでしょう。また、地震保険や火災保険の額は住んでいる地域によって差があるので、もし自分の地域の保険料が割高だと感じたら、その分を貯金に回すというのも賢い方法です。
著者:荻原 博子(経済ジャーナリスト)
1954年、長野県生まれ。明治大学文学部卒業。家計経済のパイオニアとして活躍。著書に『年金だけでも暮らせます』(PHP新書)『投資なんか、おやめなさい』(新潮新書)など。
