歴史と伝統が息づく街、奈良。そんな奈良で1200年以上にわたって続く伝統行事「お水取り」をご存知でしょうか?
この「お水取り」が終わると奈良に春が訪れるといわれているほど、奈良では定着している伝統行事で、公開行事「お松明」は多くの拝観者でにぎわいます。
今回は、そんな東大寺「お水取り」について由来や2023年の日程や見どころなどをご紹介します。
「お水取り」とは?
「お水取り」とは、 東大寺二月堂で行われる「修二会(しゅにえ)」という法会のなかの一行事 です。
修二会は、更に正式な名称としては、「十一面悔過(じゅういちめんけか)」と呼ばれています。儀式の主な内容としては、 心身を清めた「練行衆」が、一般の拝観者は見ることが出来ない二月堂の本尊「十一面観音菩薩」に向かい宝号を唱え、荒行によって過去の罪過を懺悔し、併せて天下安穏などを祈願するもの です。
練行衆は選び抜かれた11名の精鋭ともいえる僧侶で、彼らが2月下旬から3月中旬にかけておこなう一連の行法を修二会と呼びます。
修二会は752年から始まり、大火事で伽藍が焼け落ちても続けられてきた不退の行法で、 2023年で1272回目となります 。
「お水取り」は、この修二会の行法のひとつで、3月12日の深夜から3月13日の未明にかけておこなわれる儀式。 二月堂前の若狭井という井戸から観音菩薩にお供えする「お香水」を汲み上げるという内容 になっています。
こちらは深夜におこなわれるにもかかわらず、多くの人がその儀式を一目見ようと訪れています。
「お水取り」の由来は?
「お水取り」の由来は、 遠く若狭の神様がかかわっている といわれています。
東大寺二月堂の修二会に全国の神様を招待したとき、若狭の神様である「遠敷明神(おにゅうみょうじん)」は、漁に夢中になって遅刻をしてしまいました。
そのお詫びとして 二月堂にお供えする水を若狭から送る約束をした そうです。
遠敷明神を祀る福井県小浜市の若狭神宮寺では、 毎年3月2日になると、東大寺二月堂の若狭井に水を送る神事がおこなわれます 。
水は10日間かけて東大寺二月堂の若狭井に届きます。 届いた水を汲み上げて香水壺に運ぶのが「お水取り」 というわけです。
観光客に人気の「お松明」とは?
「お水取り」と言えば何といっても人気なのが、火の粉が舞うダイナミックな光景を見ることができる「お松明」。こちらは 3月1日から3月14日の毎晩行われる儀式 です。
二月堂舞台から舞うお松明の火の粉を浴びると、1年間無病息災に過ごせて幸せになる といわれており、多くの人が1年の幸せを願って訪れています。
また、杉の枝などの燃えカスをお守り代わりに持って帰るとご利益があるといわれており、実際に持ち帰る人も多いそうですよ。
「お松明」の由来は?
「お松明」は、練行衆が夜の行を始める時に、 練行衆の手伝いをする童子と呼ばれる僧たちが、松明で暗い階段や廊下を照らしたのが始まり です。
始めは実用的な小さな松明でしたが、江戸時代頃から「魅せる」要素が加わったパフォーマンのように変化し、現在のダイナミックなお明松になったといわれています。
2023年の「お水取り」の日程は?
2023年の「お水取り」の日程は次のようになっています。
修二会
- 日程:2023年3月1日~3月14日
お松明
- 日程:2023年3月1日~3月11日、3月14日
- 時間:19:00~(約20分間)
籠松明
- 日程:2022年3月12日
- 時間:19:30~(約45分間)
お松明けの横並び
- 日程:3月14日
- 時間:18:30~(約10分)
お水取り
- 日程:3月12日
- 時間:1:00~(約30分)
松明は12日と14日以外は、長さ約6~8m・重さ約40kgのものが10本、二月堂の廊下を走り回ります。 12日の籠松明は、11本に増え、重さも1.75倍になり、一番の見どころ になっています。
また、14日は15日の満行に向けて短い間にお松明が連続して上がり、横並びする様子を見ることができます。
御利益は、「お松明」「籠松明」「お松明けの横並び」のいずれも変わらないといわれています。
2023年修二会
- 開催場所:東大寺二月堂
- 住所:奈良県奈良市雑司町406-1
- 問い合わせ:0742-22-5511
https://www.todaiji.or.jp/
「お水取り」の混雑状況は?
「お水取り」には毎年多くの観光客が全国から訪れます。 中でも「籠松明」には、毎年2万人~3万人の見物客が訪れ、非常に込み合います 。
その他にも、土日や初日は人出が多いので、少しでも混雑を避けたいのであれば、 初日や12日を除く平日に訪れるのがおすすめ 。
また、お松明を近くで見たいというのであれば、開始の1時間前までに到着するようにしましょう。
「お水取り」へのアクセス方法や駐車場は?
「お水取り」がおこなわれている東大寺二月堂へのアクセスや駐車場についてご紹介します。
電車でのアクセス
- JR大和路線・近鉄奈良線「奈良駅」からバス(※)で10分
- 鉄奈良駅から徒歩約20分
※近鉄奈良駅東口2番乗り場より市内循環バス外回りに乗車し、「大仏殿春日大社前」で下車徒歩約5分
車でのアクセス
- 京奈和道「木津IC」から約15分
- 名神高速道「京都南IC」から約60分
駐車場について
会場には駐車場がないため、近隣の駐車場を利用しましょう。
おすすめの駐車場は、会場から徒歩8分のところにある「奈良登大路自動車駐車場」です。
奈良登大路自動車駐車場
- 住所:奈良県奈良市登大路町80
- 料金:普通車:1日1,000円 (平日のみ2時間無料)
- 収容台数:284台
「お水取り」では交通規制はおこなわれる?
修二会期間中、「 お水取り」や「籠松明」がおこなわれる3月12日には、奈良公園周辺や東大寺周辺道路(369号線)の交通規制、二月堂付近への入場規制がおこなわれます 。
交通規制がおこなわれるのは、 17:00頃~21:00頃 になっています。
この時間帯は車での通行ができないため、車で訪れる予定の人は事前に交通規制がおこなわれる場所を、ホームページなどで確認しておきましょう。
「お水取り」へ訪れる際のおすすめの服装
3月とは言え、「お水取り」や「お松明」がおこなわれる夜の奈良は非常に冷え込むため、しっかりとした防寒対策が必要です。
また、「お松明」や「籠松明」などに訪れるのであれば、 頭の上から振る火の粉を浴びるため、汚れても良い燃えにくい素材を選ぶことが大切 です。
ナイロン素材がおすすめで、寒さ対策と火の粉対策を兼ねて下半身は長ズボンを着用しましょう 。
上着のおすすめはフード付きのダウンジャケット。火の粉を浴びる時には、フードをかぶれば髪が焦げるなどのトラブルを避けることができます。
また、靴は滑りにくいスニーカーがおすすめ。ケガや火傷などをしないためにも、万全の服装で訪れてくださいね。
春の訪れを告げる「お水取り」で1年の幸せを願おう
奈良で1200年以上もの歴史を持つ「お水取り」。近年は、メディアなどでも取り上げられており、全国各地から多くの人が訪れる人気の行事になっています。
暗闇に舞い降る火の粉の幻想的な景色は、訪れた人たちの心をつかんで離しません。
舞い降る火の粉に1年の幸せを願い、素敵なひとときを過ごしてみませんか?
出典・参考
pomekko
余暇プランナー
フリーライターのpomekko(ポメっこ)と申します。アパレル業界、ネイリストの経験を持ち、旅とおしゃれ、美味しいものが大好き。今はガレットとクレープにはまっています。奈良在住ですが、大阪・京都に詳しく、休日は大阪や京都にいることが多いです。みなさんが、「楽しそう」「参考になった」と思ってもらえる情報を発信できるよう頑張ります。