水の都であり、縁結びで有名な「貴船神社」。古来より、恋に悩む人たちの心の本音に寄り添ってきました。
この記事では、貴船神社の参拝にあわせて訪れたい鞍馬寺(くらまでら)や周辺の飲食店も合わせて紹介します。
実際に訪れる際の服装や持ち物に関しての注意事項も解説します。貴船神社の起源や歴史を深く知ることで、訪れた際の楽しみや感動は何倍にも膨れ上がるでしょう。
貴船神社
由緒・起源
祭神
- 本宮(ほんぐう):高龗神(たかおかのかみ)…水の供給を司る神
- 結社(ゆいのやしろ):磐長姫命(いわながひめのみこと)…えんむすびの神
- 奥宮(おくみや):高龗神…航海の安全を守る神
創建に関する記述は残っておらず、年代不詳です。神武天皇(記紀によると初代天皇/皇室の祖先)の皇母にあたる玉依姫命(たまよりひのみこと)が船に乗って大阪湾から淀川、鴨川、貴船川を遡り、奥宮の地に到着。水神を祀ったのが始まりと伝えられています。
おすすめの授与品
むすび守袋型・むすび守文型 各1,000円
男女の恋愛の縁結びをはじめに、縁を結びます。
参拝(祈願)のポイント
本宮→奥宮→結社の順で参拝する「三社詣」(さんしゃもうで)が昔から主流です。
縁結び祈願
良縁に恵まれるよう祈願します。祈願結婚成就・良縁成就・復縁成就など男女の関係の内容に限ります。
所要時間:約20分/祈願料3,000円(2024年1月現在)
縁結び限定の祈祷は、古くから「恋の宮」として名高い貴船神社らしいです。長きに渡り人々の恋愛の悩みを救ってきたからこそ、ご利益は間違いないでしょう。
境内のパワースポット
結社
祭神:磐長姫命
本宮と奥宮の中程に鎮座し、別名・中宮(なかみや)とも呼ばれています。男女間の縁やそれ以外の良縁も結ぶ「縁結びの神」として有名です。
瓊々杵尊(ににぎのみこと/神武天皇の曽祖父)が木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと/磐長姫命の妹)と結婚したい旨を相手の父に伝えると、姉の磐長姫命をすすめました。しかし、瓊々杵尊は断り木花開耶姫命と結婚。磐長姫命は傷つき「我長くここありて縁結びの神として世人のために良縁を得させん」と鎮座した伝承が伝えられています。また、和泉式部(生没年不詳/平安中期の女流歌人)が心変わりした夫との復縁が叶いました。以来、「恋の宮」と呼ばれています。
大正天皇(在位1912~1926)の妃である貞明皇后(ていめい/1884~1951)が大正13年(1924年)参拝の際に賞賛した神木です。連理とは、別々の木が重なって一つになるという意味で、夫婦や男女の仲睦まじいことを指します。特に杉と楓が和合したものでとても珍しいです。
創建の地です。玉依姫命が乗った黃船は人目に触れぬように石で覆ったと伝えられ、今も本殿の側に祀られています。
本殿の真下には龍穴(りゅうけつ)と呼ばれている大きな穴があり、その上に社殿が造営されました。龍穴は人目を触れていけない神聖なものから、見ることがタブーです。貴船神社の龍穴は日本三大龍穴の一つであり、他に奈良県・大和の室生(むろう)龍穴、岡山県・備前龍穴があります。
アクセス
- 住所:京都府京都市左京区鞍馬貴船町180
- 電話:075-741-2016
貴船神社とあわせて行きたい観光地
鞍馬寺
鞍馬寺は、奈良時代末期に鑑禎(がじょう/鑑真の高弟)上人が夢告と白馬の導きで鞍馬山に登山。鬼女に襲われたところを助けられ、毘沙門天を祀る草庵を作ったことが起源です。延暦15年(796年)、藤原伊勢人(ふじわらのいせど)が夢告と白馬に導かれて登り、寺院を作って毘沙門天と千手観音を奉安しました。その後、平安中期には藤原道長や女流文学者たちの多くが参詣し、鞍馬寺は多くの文学作品に登場します。ちなみに紫式部は、『源氏物語』若紫巻で光源氏が少女の若紫が出会う「北山にあるなにがし寺」のモチーフとしています。
源義経(1159~1189)は修行を通じて幼少時を過ごしました。戦国時代になると武田信玄(1521~1573)、徳川家康(1542~1616)などの武将たちが戦勝祈願に訪れ、豊臣秀頼(1593~1615/豊臣秀吉の次男)が境内にある由岐神社拝殿を再建。
江戸時代には鞍馬山に塔頭(たっちゅう/高僧の隠居所または墓)が造営。太平の世になったことで、毘沙門天の信仰が 武神から福神 へと大きく変化したのです。
宗派にとらわれない多様性が特徴的で、天台宗、古神道、陰陽道、修験道の要素も含まれています。初代管長信樂香雲(しがらきこううん)が昭和22年(1947年)に鞍馬弘教(くらまこうきょう)と名付け、昭和24年(1949年)に総本山となりました。
アクセス
- 住所:京都府京都市左京区鞍馬本町1074
- 電話:075-741-2003
https://www.kuramadera.or.jp/annai.html#section15
貴船倶楽部
貴船神社から徒歩約10分のところにある喫茶店で、店内は木のぬくもりが感じられる落ち着いた雰囲気です。京都ならではの抹茶を使ったスイーツもあり、メニューは充実しています。この絶景の自然の中で食べる美味しさは格別で、お金では買えない価値があります。ぜひ、参拝の疲れを癒してみてはいかがでしょうか。
アクセス
- 住所:京都府京都市左京区鞍馬貴船町74
- 営業時間:11:00~16:30
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260502/26000770/
気をつけたいポイント
天気予想を必ずチェック
貴船神社は山で囲まれており、京都の街に比べて夏は涼しく、冬は寒いです。
服装は登山を意識して、動きやすい服装で
坂道をひたすら歩くため、登山を意識した服装がよいです。山と街では寒暖の差があり、体温調節が可能な服装がおすすめです。
事前準備は必須!荷物はコンパクトに
長距離を歩くことを意識して、大きいキャリーケース等は事前に預けておきましょう。貴船口駅にコインロッカーがありますが、数には限りがあります。
持ち物として、ゴミ袋、小銭があると便利です。特に夏は虫よけや飲料水はしっかり準備してください。貴船神社周辺は、コンビニ等はありません。
事前にお手洗いを済ませておく
トイレの数も限りがあるので、事前に済ませておくと安心です。
太古から続く山へ
貴船神社周辺は、太古から続く神聖な山です。そこに足を踏み入れることで、心身ともに浄化され今後の糧になることでしょう。日常の忙しさに疲れた際は訪れてみてはいかがでしょうか。
https://www.veltra.com/jp/japan/kyoto/?sid=1554
参考・出典
文本つばき
余暇プランナー
webライター×webデザイナー。本業は、大学勤務。 大学で専攻した日本史を得意とし、主に城、神社仏閣、文化財、史跡、美術品、博物館、武将など専門性の高い記事を数多く執筆しています。また、元巫女という異色の経歴持ち、着付け・茶道の師範を持つ母の影響を受けて、日本茶や着物を好みます。 京都には月1ペースに訪れ、京都ゆかりの神社仏閣には特に詳しいです。日本の歴史や文化の魅力を専門的な立場から発信します!