通常ししとうは食べても辛さを感じません。しかしまれにとても辛いものが紛れ込んでおり、口にした瞬間おどろいてしまうことはありませんか?どうして同じししとうでも辛さに違いが生まれるのでしょうか?そこで今回は、ししとうの辛さの秘密と、見分けるポイントについて、辛さを和らげる食べ方のコツとともに解説します。
ししとうは辛みの少ない品種のトウガラシ
そもそもししとうは、トウガラシを品種改良したものです。「実の先端が獅子の頭に似ている」ことから、ししとうがらし(通称:ししとう)と名付けられました。
ししとうにはトウガラシの辛み成分である「カプサイシン」がわずかに含まれていますが、基本的には食べてもほとんど辛さを感じることはありません。
※参照:独立行政法人 農畜産業振興機構「ししとうがらしの需給動向」,JA高知県「ししとう」
栽培中にストレスがかかると辛くなることがある?
先ほども紹介したように、ししとうにカプサイシンはほとんど含まれません。しかし中には、とても辛みが強いししとうを食べてしまいビックリした経験がある方もいらっしゃるかもしれません。このような辛いししとうができてしまう理由として、ししとうのカプサイシン量が何らかの原因によって増えたことが影響しているといわれています。
カプサイシンが増える原因はいまだハッキリとはわかっていません。しかし可能性のひとつとして「栽培中にストレスがかかりすぎること」が考えられています。
たとえば以下のような環境で育ったししとうにおいて、カプサイシンが増加しやすいのでは?といわれています。
・梅雨の季節である6月や台風の多い10月ごろなどに土の水分量が急増すること
・水分不足によって乾燥すること
・気温が高い日が続くこと
・肥料が十分に与えられていないこと
・栽培期間が長くなりすぎること
そのためこまめに水やりをして適切な水分量を維持することや、しっかりと肥料を与えることが、辛いししとうを作り出さないための大切なポイントとなります。
※参照:農林水産省「カプサイシンに関する情報」,JAグループ福岡「辛いシシトウ何でできるの?」
辛いししとうを見分けるポイント
比較的辛いししとうには、以下のような特徴がみられる傾向があります。
・皮にツヤがなく、シワが少ない
・まっすぐな形ではなく、よじれている
・緑色が濃い
・先がとがっている
しかし、辛いししとうを見た目から判断するのは非常に難しいとされています。そのため上記の特徴に当てはまるものがすべて辛いししとうであるとはいえませんが、購入する際には念のため確認してみるとよいでしょう。
※参照:JA高知県「ししとう」
辛さの少ない品種を選ぶのも手段のひとつ
ひと口に「ししとう」といっても、さまざまな品種が栽培されています。たとえば「伏見とうがらし」は辛みが少ないといわれています。伏見とうがらしは京都府伏見地区でおもに栽培されてきた京野菜のひとつで、細長い見た目から「ひもとう」と呼ばれることも。
また伏見とうがらしと同じく京野菜のひとつである「万願寺とうがらし」も甘みがあるししとうとして知られています。大きめのサイズで、肉厚でやわらかい食感が特徴です。
ただしこれらもししとうの仲間であるため、まれに辛いものが紛れていることもあります。上記に紹介した見分け方とあわせて、ししとうを選ぶときの目安にしてみてくださいね。
※参照:JA京都「京の産品図鑑 伏見とうがらし」,JAグループ京都「京のブランド産品 伏見とうがらし」,霜村 春菜,2018年「改訂10版 野菜と果物の品目ガイド」農経新聞社
ししとうの辛さを抑える食べ方のコツ
ししとうを食べて「辛い」と思ったときは、以下のような工夫をしてみると食べやすくなるかもしれません。
乳製品を添える
乳製品に含まれる「カゼイン」というたんぱく質にはカプサイシンを包み込み、辛さを感じにくくする効果が期待できます。辛いししとうに出会ったときは、牛乳やヨーグルト、チーズなど乳製品を添えて食べてみるとよいですね。
冷ましてから食べる
熱い料理ほど辛みを感じやすくなる傾向があります。アツアツの料理であれば、冷ましてから口にするようにしましょう。
※参照:農林水産省「カプサイシンに関する情報」,レファレンス協同データベース「赤とうがらしの辛みをへらす方法を知りたい」
辛いししとうを見分けるのは難しいけど、工夫次第で食べやすくなる!
ししとうの辛さの秘密は「栽培中にストレスがかかること」にあると考えられています。辛みの有無を見た目で判別するのはとても難しいですが、今回紹介した見分け方をひとつの目安にしてみてくださいね。また辛いししとうに出会ったときは、辛さを抑えやすくなる食べ方をぜひお役立てください。