「たけのこ」といえば春先が旬のイメージですが、市場に出回るのはいつ頃なのでしょうか?また、成長が早いたけのこですが、柔らかくて新鮮なたけのこを見分けるコツはあるのでしょうか?春の味覚の代表といっても過言ではないたけのこの旬や鮮度の見分け方を解説します。
たけのこの旬は春
たけのこの旬は3~4月頃の春です。2月下旬頃から出回りはじめ、5月下旬頃までが収穫時期。出荷量は3月から徐々に増え始め、ピークは4月です。
皮付きのたけのこが手に入った場合、時間が経つごとにあくによるえぐみ(苦みや渋み)が出てくるので、手に入れた当日か、遅くとも翌日にはあく抜きをしましょう。あく抜き後は水につけて冷蔵庫で保存し、時々水を替えながら1週間~10日ほど保存が可能です。
品種別に旬と主な産地を解説
たけのこは品種により旬が異なります。一般に食べられる主なたけのこの種類と産地をご紹介します。
孟宗竹(モウソウチク)
一般的にたけのこといえば、孟宗竹(モウソウチク)のことを指します。市場に出回る多くのたけのこが孟宗竹で、旬は先述の通り3~4月頃。主な生産地は、福岡県、鹿児島県、熊本県と九州が多くを占めています。
淡竹(ハチク)
淡竹(ハチク)はスラっとした姿が特徴で、やわらかでシャキっとした食感です。甘みがありえぐみが少なく、あく抜きしなくても食べられる品種です。旬は4~5月頃で、近畿から九州にかけて生産されています。
真竹(マダケ)
真竹(マダケ)は細長い形をしたたけのこで、コリコリした食感が特徴です。別名「苦竹」ともいわれ、やや苦味があります。旬は、孟宗竹の旬が終わった5~6月中旬頃で、主な産地は近畿から九州にかけてです。
根曲がり竹
根曲がり竹は「姫竹(ヒメタケ)」などともいわれ、太さ1~2cmのとても細いたけのこです。歯触りがよく優しい香りが特徴で、あくが少ないためあく抜きが不要です。旬は5月中旬~6月で、東北・北陸・北海道などの涼しい土地で生産されます。
おいしいたけのこの見分け方
おいしい皮付きのたけのこの見分け方のポイントは、以下の通りです。
・形がよく、ずんぐりとした釣鐘型
・外皮が湿っていて、薄茶色
・先端(穂先)が黄色で開いていない
・切り口がみずみずしく、根元に赤い粒々が少ない
先端が緑色になっているものは日に当たったもので、硬くえぐみが強くなるのでなるべく黄色に近い状態のものを選びましょう。根元の赤い粒々は食べても問題ありませんが、粒々が小さくて少ないものほどやわらかいといわれています。
※参照:JAグループ 春の旬野菜タケノコ(筍),農林水産省 今月の園芸特産作物:4月 たけのこ
たけのこの白い部分は食べても大丈夫?
たけのこを切ったとき、断面に白い粉や塊のようなものがついていることがあります。これはたけのこに含まれるチロシンという成分が、たけのこを茹でる過程で結晶化したものです。チロシンはアミノ酸の一種なので、食べても問題はありませんが、硬くザラっとした食感や見た目が気になる方は、水で洗い流しましょう。
皮付きと水煮、どう違う?
旬の時季以外では、水煮にされパック詰めされたたけのこを年中手に入れることができます。旬の時季に生産・加工されますが、大量生産される中国産に比べ、国産のものは高価な傾向があります。国産のものの方が風味がよくやわらかいと感じる方が多いため、煮物など薄味の料理に仕上げたいときは国産のものがよいでしょう。
栄養成分値の違い
文部科学省が公開している「日本食品標準成分表」によると、生のたけのこを茹でたものと、水煮たけのこの栄養成分値の違いは以下の通りです。
2つを比較してみると、栄養成分値の差が大きいことがわかります。
このうちエネルギーやたんぱく質、炭水化物については分析しているたけのこ自体が違うために起きる差と考えられます。
ただし、それを考慮してもとくに水煮たけのこは茹でたたけのこに比べると、カリウム、葉酸、ビタミンCが大幅に減っています。
これはビタミンやミネラルの多くが水に溶けやすい性質を持っているから。水に浸かっている時間が長い水煮たけのこの方が、栄養素の損失が大きくなります。
たけのこに含まれるカリウムには、身体の余分なナトリウムを排泄する働きがあり、高血圧やむくみ予防の効果が期待できます。水煮の方は約6分の1まで減っているため、旬の時季は生のたけのこを茹でて食べる方が栄養素をしっかり補えるでしょう。
※参照:文部科学省 日本食品標準成分表 2020年版(八訂)
新鮮なたけのこはさしみでも美味い!?
JAグループのウェブサイトによると、掘りたてのたけのこは生でも食べられる(※2)とされています。穂先のやわらかい部分を薄くスライスし、刺身醤油や生姜醤油、酢みそなどでいただきます。
しかし、生のたけのこにはシュウ酸と、タキシフィリンという物質を含むため、たくさん食べるのは控えましょう。(※2)
シュウ酸はたけのこのアクの成分のひとつで、とりすぎにより尿路結石症のリスクとなります。生のたけのこに多く含まれますが、あく抜きをすることでシュウ酸の量を減らすことができます。
またタキシフィリンは、分解されるとシアン化水素という有毒物質になります。たくさん摂取すると中毒症状を起こす可能性があります。安全に食べたい場合は、加熱することでタキシフィリンを減らすことができるため、火を通したものをいただきましょう。
※1:JAグループ 春の旬野菜タケノコ(筍)
※2:国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部 食品安全情報(化学物質)No. 23/ 2011(2011. 11. 16)
春の味覚・たけのこをたくさん楽しもう
旬の時季の新鮮なたけのこは、水煮たけのこに比べると風味や歯ざわりも格段においしいものです。旬のたけのこをいただいて、温かくなる春の季節を楽しみましょう。