ツナ缶といえば、常備している家庭も多い食材のひとつ。ですが、意外とツナを使ったレシピのレパートリーが増えず、困っている人も多いはず。そこで今回は、ツナ缶を使ったレシピを紹介します。管理栄養士で沖縄料理研究家の筆者が、簡単にできるツナ缶活用沖縄料理を提案します。
今回紹介するのは沖縄の家庭料理「にんじんしりしり」。免疫力アップや美肌など嬉しい効果が期待できるにんじんを使った料理です。
沖縄の家庭料理「にんじんしりしり」
沖縄は琉球王国時代、外国との貿易や戦後アメリカからの食糧供給の影響などにより、独自の食文化があります。特に戦後は配給食糧の影響が大きく、ベーコンやポークランチョンミート缶などは、その当時の「ごちそう品」でした。現在ではポークランチョンミート缶、コンビーフ缶、ツナ缶などの缶詰類が家庭の常備品となっています。
そんな缶詰を使った沖縄家庭料理のひとつに「にんじんしりしり」があります。にんじんを千切りにして、ツナ缶や卵で炒めた簡単で栄養満点な1品です。
にんじんしりしりの「しりしり」とは、沖縄方言で「千切り」の意味。千切りのスライサーを使うときに「シリシリ―」と音がするから名付けられました。専用スライサーは、沖縄のスーパーや観光客向けのお土産屋さんなどで「にんじんしりしり器」として販売されています。
今回は、生姜とごま油の香りがアクセントになる「にんじんしりしり」のレシピをご紹介します。
「にんじんしりしり」レシピ
材料(作りやすい分量、小鉢3~4人分プラス作り置き分)と作り方
- にんじん 3本
- ツナ缶詰 1缶(70 g入り)
- 卵 1個
- A(ごま油小さじ1 / 生姜(すりおろし)1かけ分)
- B(塩小さじ1 / かつお節1~2袋)
- 豆苗 適宜
*卵は溶く
*ツナ缶の油はそのまま使う(油控えめのツナ缶や水煮缶でも可)
*お好みで、かつお節1~2袋。今回は1袋使用
*Bは顆粒和風だしの素小さじ2でも代用可
1. にんじんは約5cmの千切りにする。
2. フライパンにAを入れ弱火で熱し、香りが出たら強火にして1のにんじんを入れて炒める。
3. にんじん全体に油が回ったら、ツナを加えて炒める。
4. にんじんがしんなりする前に溶き卵を加えてさらに炒める。
5. 卵に火が通ったらBで味を整え、器に盛り付け、豆苗を添えて完成。
作り置きの活用法
にんじんしりしりは常備菜! とても簡単なので多めに作っておき、お弁当や朝食の一品にも活用できます。また、小分けにして冷凍保存にもおススメです。さらにアレンジしてもおいしい2品をご紹介します。
にんじんしりしりアレンジレシピ
にんじんしりしりチーズ卵焼き
材料と作り方
- にんじんしりしり 小鉢1杯
- 卵 1個
- ピザ用チーズ 大さじ1
すべての材料を混ぜ、卵焼きを作る。
にんじんしりしりマヨ和え
- にんじんしりしり 小鉢1杯
- 茹でほうれん草
- マヨネーズ小さじ1
- 粗びき黒胡椒 少々
- すりごま白 少々
全ての材料をボール等に入れ混ぜる。
にんじんしりしりの栄養価
にんじんに含まれるβ-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。主な働きは「皮膚や粘膜の健康維持や感染を防ぐ」「成長促進」「目が光を感じる物質を作る」「抗酸化作用」などがあります。ビタミンAは油に溶けやすい性質「脂溶性ビタミン」なので、油と一緒にとることで吸収が高まります。今回ご紹介したレシピは、ごま油・ツナ缶の油をそのまま使用しているので、効率よくビタミンAを摂取できる一品です。
1人分の栄養価(小鉢1杯分・約1/8量)
エネルギー118Kcal、たんぱく質7.7g、脂質6.7g、炭水化物6.5g、ビタミンA 530μg、食塩相当量0.9g
*ビタミンAは「レチノール活性当量」とも表示されています。
レチノール活性当量の単位『μg』、ビタミンA効力の単位『IU(国際単位)』
おいしく食べられて、栄養も取れる沖縄の家庭料理。にんじんとツナ缶があれば、ささっと作れます。ぜひお試しください。