寒い時期に愛用した羽毛布団。気温が上がって収納する前に、クリーニングに出しておきたいところですが、洗濯表示によっては家庭でのお洗濯もできるんです!失敗せず、羽毛布団ならではのふわふわ感をキープするための洗濯方法を紹介します。
羽毛布団は家庭で洗濯できる!
羽毛布団やダウンジャケットなど羽毛を使った寝具や衣類は、家では洗えないと思っている方が多いかもしれません。ですが、洗濯表示を見てみると家で洗えるものも多くあります。
羽毛布団に使われている羽毛は水鳥の羽根。そのため実は水に強い素材なのです。ただし羽毛はデリケートな素材のため、ふんわり仕上げようと思ったら洗濯にコツが必要です。
まずは洗濯表示をチェック
お使いの羽毛布団が家で洗えるかどうかは、布団についている洗濯表示を見ればわかります。それぞれの表示について説明しますね。
洗濯機で洗うことができる洗濯表示マーク
以下の表示があれば自宅の洗濯機で洗えます。
洗濯表示マークの中の数字は、液温(洗濯するときのお湯・水の温度)の上限です。お風呂の残り湯を使う場合は40度を超えないようにご注意ください。
なお、水を吸った羽毛布団は重くなるので、洗濯機のコースは「大物洗い」を選びます。大物洗いコースがなければ、ドライコースのような、ウールなどのデリケート素材に適したコースで洗いましょう。
手洗いできる洗濯表示マーク
こちらの洗濯表示マークがついている場合は、手洗いであれば洗濯できます。
ただし、浴槽などを使えば洗えますが、布団のように大きなものを手洗いするのは本当に大変。洗濯機で洗うよりもダメージを与えてしまう可能性もあります。羽毛布団に関しては、手洗い可能のマークがあっても、できればクリーニングに出してプロに任せるのがおすすめです。
自宅では洗えない洗濯表示マーク
こちらのマークがある場合は、残念ながら家では洗えないのでプロにお任せしましょう。
なおドライクリーニングは溶剤の特性上、羽毛が持つ自然な油分を落としてしまうので、羽毛と相性がよくありません。クリーニングに出すなら、水を使って洗うウェットクリーニングができるお店でお願いした方が気持ちよく仕上がります。ウェットクリーニングに対応しているかお店に相談してみてくださいね。
いざ家で洗濯!失敗を防ぐために、注意したいポイントは?
①洗濯機の容量
自宅の洗濯機で羽毛布団を洗う場合、最も大切なのが洗濯機の容量。洗濯機に布団が入らないことには始まりません。洗濯機の最大容量の6〜7割くらいまでが、洗える限界値です。
<洗える布団サイズの目安>
②お天気チェック
羽毛布団のサイズにもよりますが、完全に乾かすには夏場で1日半〜2日、春だとよく晴れた日でも丸2日はかかります。干している間に雨が降ってしまっては台無しになるので、天気予報で最低でも2日以上晴れが続く日を選んでください。
干す際の乾燥が足りないと、中の羽毛を傷めたりカビの原因になったりします。しっかり乾燥させましょう。
早く乾かしたい場合は、ある程度乾いてからコインランドリーの乾燥機を使うのも手です。ただ、コインランドリーの乾燥機は高温になるので、長い時間の使用は羽毛にダメージを与えます。設定可能な最短の時間にしておきましょう。
また自宅に乾燥機があれば、天日干しのあとで30分ほど乾燥機にかけるものふんわり仕上がっておすすめです。
③洗剤は必ず中性を使う
洗剤は必ずしもおしゃれ着用でないとダメということはありませんが、必ず中性洗剤を使うようにしてください。
羽毛に使われている羽根はタンパク質でできています。アルカリ系の洗剤はこのタンパク質を溶かしてしまう可能性があるうえ、羽毛にある必要な油分も落としてしまいます。羽毛独特のふんわり感を損なってしまうので、絶対に使わないようにしましょう。
同じ理由でアルカリ性が強い酸素系漂白剤(オキシクリーンなど)も使えません。
④洗濯ネットは必須!
洗っている間に布団の生地が破れ、中の羽毛が飛び出してしまうと大惨事です。羽毛布団は小さく畳んで洗濯ネットに入れて洗いましょう。羽毛が飛び出すのを防止するために、洗濯ネットはできるだけネットの目が細かいものを選んでくださいね。
羽毛布団の洗濯方法
使用するアイテム
- おしゃれ着用洗剤(中性洗剤)
- 布団が入るサイズの洗濯ネット
<縦型洗濯機で洗う場合>
1. 洗濯槽に水をためて洗剤を溶かします。
2. 洗濯ネットに入れた布団を洗濯槽に入れ、しっかり水を吸わせてから洗います。布団が浮き上がってくるようなら手で沈めて水を吸わせてください。
3. 大物洗いコース(布団コース)、もしくはドライコースで洗います。
<ドラム式洗濯機で洗う場合>
1. 洗濯ネットに入れた布団を洗濯機に入れます。
2. 大物洗いコース(布団コース)、もしくはドライコースで洗います。
※ドラム式洗濯機は布団に水を吸わすのが機能的に難しいため、吸わす工程は不要です。
ドラム式の場合は布団の重さで、脱水が途中で止まりエラーになってしまう場合があります。その場合は、少し面倒ではありますが、いったん洗濯機を止めて布団を洗濯ネットから取り出し、洗濯槽全体に広げてから再び脱水をかけます(※)。
※エラーが起きるのは重みが一方向に偏るのが原因です。洗濯ネットから布団を出すと羽毛が飛び出す危険があるので、あくまでエラーが起きたときの対応方法として覚えておいてください。
<手洗いする場合>
先述したとおり、水を吸った布団は本当に重いので、手洗いするとなるとシングルサイズでもかなりの体力と気力が必要です。基本的にはプロにお任せすることをおすすめします。
洗い方は以下の通り。体力に自信がある方は試してみてください。
1. 浴槽など、布団が入る大きさの容器に布団が浸かるくらいの水をはり、中性洗剤を溶かします。
2. 手洗いの場合は洗濯ネットは使わずに浴槽全体に布団を広げます。
3. 布団を手か足で優しく押し洗いします。
4. 洗い終わったら水を抜き、水を入れ替えてすすぎます。3〜5回ほど、泡が出なくなるまですすぎを繰り返します。
5. 浴槽から水を抜き、布団を丸めるようにして脱水します。
6. 畳んだ布団をバスタブにかけて1時間くらい放置します。
7. ある程度水が切れたら洗濯機で3分ほど脱水します。
柔軟剤の使用はNG
意外かもしれませんが、柔軟剤は使いません。水鳥の羽根は水に強いですが、油には弱いからです。
羽毛には本来油分が備わっていて、羽毛が持つ油分による撥水効果で独特のふんわり感がうまれます。柔軟剤は繊維に油膜を張ることで、滑りをよくしてふんわり仕上げるのですが、羽毛布団の洗濯では柔軟剤を使うことで羽毛が本来持っている油分ごとコーティングしてしまいます。
そのため柔軟剤は、羽毛の持つ自然な撥水力を低下させ、軽くふんわりした独特の質感を損なわせることになってしまうのです。
いい香りを付けたいという方は布団ではなくシーツに柔軟剤を使いましょう。
干し方
風通しのいい場所で陰干しします。布団は面積が広くて乾きにくいので、洗濯竿を2本使ってM字になるように干すと、比較的早く乾きます。
濡れた羽毛はとても切れやすくなっているので、乾くまで触らないというのがふんわり仕上げる最大のポイントです。中の羽毛がキルティングの中で寄っている場合でも、乾くまでは極力触らないように注意してください。
ダニ対策は乾燥機にかけるのがおすすめ
羽毛の傷みを軽減するためにも基本は天日干しで乾かしたいところですが、アレルギーなどのダニ対策には高温の乾燥機でしっかり乾かすのがおすすめ。
その場合はコインランドリーの乾燥機を利用しましょう。あまり長時間かけすぎると羽毛が傷んでしまうので、布団の質感か、ダニ対策かによって乾燥の具合を調整してください。
また布団乾燥機をお持ちの方はそちらを利用するのもいいですね。
完全に乾いてから、空気を含ませるように前後左右に振りさばくと、ペタンとしていた羽毛が空気をはらんでふんわり感が蘇ります。
洗濯頻度はどの程度がいい?
羽毛布団のダメージを考えると、洗うのは年に1〜2回がベスト。ワンシーズンに1回程度が限度です。
洗濯回数があまり多くない分、布団が汚れないように布団カバーは必ず使用したいですね。布団カバーは週に1〜2回洗うと清潔な状態が保てます。
また布団は思っている以上に汗を吸っているため、月に4〜5回は干すか布団乾燥機にかけ、しっかり乾燥させると長持ちします。
羽毛布団が家庭で洗濯できない!そんな時は?
洗濯機の容量が足りない場合
洗濯機の容量が小さくて自宅の洗濯機で洗えないという場合は、コインランドリーを利用してみましょう。コインランドリーなら乾燥まで一貫して行えるので、自宅で洗うよりも楽です。
ただ、乾燥機で完全に乾かすと、羽毛のダメージが心配です。乾燥機はできるだけ短く設定して、乾ききらない分は持ち帰って天日に干しましょう。
家での洗濯がNGの場合
洗濯表示が水洗い不可の場合は無理せずプロに任せましょう。できるだけウェットクリーニングしてくれるお店を探してくださいね。
ふんわり感がなくなったらリフォームを検討してみて
羽毛布団のふんわり感が足りなくなってきたら、リフォームするのもおすすめです。
羽毛布団のリフォームでは、今ある羽毛を洗浄して、新たな羽毛を足すことで新品同様のふわふわ感に仕上げてくれます。羽毛布団を処分しようかと考えている方は、一度リフォームを検討してみるのもいいかもしれません。
リフォームを請け負ってくれるかはクリーニング店によるため、一度問い合わせてみてください。
コツをしっかり守ると家でも羽毛布団をふんわり気持ちよく洗えます。水洗いした後の羽毛布団は本当に気持ちいいので、洗えそうなら天気の続く日にチャレンジしてみてくださいね。