春の衣替え、そろそろ始めていますか?お気に入りの冬物衣類を翌シーズンもきれいに着るために、おさえておきたい衣替えのポイントを紹介します。
衣替え準備は4月から開始しよう
「衣替えって、いつするのが正解なの?」と、毎年悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
学校や会社の衣替えの時期は、夏は6月、秋は10月というのが一般的ですが、環境省が推奨しているクールビズの期間は5月1日〜9月30となっています。
5月のGWが終わったら暑い日が増え、気温が20度〜25度、湿度60%以上になると、ウールやカシミヤなどにつく害虫が成虫になり、卵を産み始めます。
そのため、できれば5月のGWが終わるまでには全ての冬物衣類を洗い終わりたいところ。かさばる冬物衣類をいっきに洗うのは大変なので、4月に入ったら出番がなくなった厚手のニットから徐々に洗い始めたいですね。
春の衣替えはここに注意!
春の衣替えをするにあたり、注意したいポイントを紹介します。
まずは断捨離から始める
冬物衣類はかさばるので、衣替えをする前に着なくなった服を断捨離することがなによりも大切。
クローゼットの適正容量は多くても全体の80%までといわれています。それ以上だと風通しが悪くなり、虫やカビが発生してしまう恐れがあるからです。
着なくなってしまった服のせいで、お気に入りの服がダメになってしまうなんて、悲しすぎますよね。かさばる冬物衣類は適切な量を持てるよう、不要な物は断捨離しておきましょう。
おしゃれ着は2度洗いを
洗ってから収納したはずなのに、次のシーズンに出してみたら黄ばみが発生していたという経験はありませんか?これは汗などの皮脂汚れが落ちきらず、酸化したことで発生した黄ばみです。
特におしゃれ着を自宅で洗濯する場合は要注意。ウールやデリケート素材などを洗うおしゃれ着用洗剤液性は中性で、汗や皮脂などの酸性の汚れと相性がいいとはいえません。そのため、洗濯しても汚れを落としきれていないことが多いのです。
来シーズンまで長期で保管する場合、おしゃれ着用洗剤で洗う衣類は、できれば2度洗いをしておきましょう。
1度でも着たものは洗濯する
「1度しか着ていないし、汚れていないし……」と、衣替えの際に着用回数の少ないセーターを洗うかどうか迷うことってありませんか?
汗や皮脂などの汚れは目に見えなくても繊維の中に入り混んでいます。また、見えにくいだけで食べこぼしの汚れが付いているかもしれません。それらは黄ばみの原因になったり、虫食いの原因になったりしてしまいます。1度でも着用した服は、必ず洗ってから収納するようにしてください。
また1度も着用していない服も空気中の汚れを吸っています。洋服用のブラシで丁寧にブラッシングして、汚れをとってから収納するようにしましょう。
詰め込みすぎると型崩れの原因に
収納する量は、クローゼットの80%以下がおすすめです。詰めすぎると通気が悪くなりカビも発生しやすく、防虫剤を入れても全体に行き渡らなくなり害虫がつきやすくなります。
他にも肩のラインが崩れてしまったり、出す時に引っ張ることで伸びてしまったりと、型崩れの原因になります。衣類同士が折り重なりプレスされた状態で長期保管すると、シワもできやすいです。
冬物衣類は厚みがあるので、シワができるとアイロンがけも大変です。できるだけ余裕のある容量で収納しましょう。詰め込みすぎは百害あって一利なしです!
虫食いを防ぐために防虫剤は必須
羊毛であるウール、蚕の繭から作られるシルクなど、動物性の天然繊維は害虫の被害にあいやすい素材。特にカシミヤやアンゴラなどの柔らかい高級天然繊維は害虫の大好物なのです。
衣類を食べてしまう害虫はヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、イガ、コイガの4種類。これらの虫が幼虫の時に衣類を食べることで、大切な衣類に穴があいてしまいます。特に日本では、ヒメカツオブシムシによる食害がほとんどといわれています。
被害を防ぐために、冬物衣類を収納する際は防虫剤を必ず使うようにしましょう。
ドラッグストアやホームセンターで販売されている主な防虫剤には4種類があります。
ピレスロイド系
最近、主流になっている防虫剤で、キツいニオイはなく、どんな衣類にも使いやすいです。クローゼット用、タンス用、引き出し用など、用途別の防虫剤が販売されているので、収納にあった防虫剤を選んでお使いください。黄ばみ防止やカビ予防などの付加機能がついている商品もありますよ。有効期限の目安は半年〜1年ほどです。
パラジクロロベンゼン系
昔は防虫剤といえば、ツーンとした香りが特徴の防虫剤がメインでした。それがこのパラジクロロベンゼン系のものです。価格が安価で早く効果があらわれるのが特徴ですが、塩化ビニルや合成樹脂を使った衣類に使うとは変形のおそれがあるので要注意。有効期限の目安は4〜6カ月ほどです。
樟脳(しょうのう)
基本的には着物用の防虫剤として出回っています。香りはキツくないですが、効き目もそれほど強くはありません。使用を避けるべき素材は特になく、衣類に優しい防虫剤といえます。有効期限の目安は6カ月ほどです。
ナフタリン
防虫効果があらわれるまでに少々時間がかかりますが、効き目はそのぶん長持ちです。数年に1回着るか着ないかの衣類に向いています。有効期限の目安は1年ほどです。
どれかひとつ選ぶなら「ピレスロイド系」
筆者のおすすめはピレスロイドを使ったもの。昔からパラジクロロベンゼン系を使っていて、あの特有のニオイがないと物足りない……という方は別ですが、特にこだわりがなければニオイがきつくなく使いやすいですよ。価格は他のものに比べ少々高くなりますが、種類も用途も豊富で衣類や収納にあったセレクトができます。
冬物衣類のお洗濯方法
続いて、冬物衣類を洗う方法をそれぞれのカテゴリ別にみていきましょう。
セーター
- 洗剤:おしゃれ着用洗剤、ウール素材の場合は髪用のシャンプーでもOK
- 洗濯ネット:目の細かい洗濯ネット推奨
洗濯機のコースは「ドライコース(ウール用)」にします。できれば2度洗いすると、洗浄力の弱いおしゃれ着用洗剤でも汚れがしっかり落ちるのでおすすめです。
濡れた状態でハンガーにかけて干すと自らの重さで伸びてしまうので、平干しネットなどを使って平干しします。
マフラー・ニット素材の帽子
- 洗剤:おしゃれ着用洗剤
- 洗濯ネット:目の細かい洗濯ネット推奨
マフラーの洗い洗い方
マフラーは洗濯表示を確認し、洗濯機洗い可能であれば、洗濯ネットに入れて洗います。ひらひらとしたフリンジは、内側に折り込むようにして洗濯ネットに入れるとフリンジ部分のダメージを最小限に抑えられます。
帽子の洗い方
立体感のある帽子の場合は基本的に手洗いします。容器に水をはり規定量の洗剤を入れ、帽子を押し洗いし、水で洗剤を洗い流せばOK。タオルドライし、中に膨らませたポリ袋や丸めた新聞を入れ、帽子の形を維持させつつ乾かします。
帽子のような立体的な構造のものは、「干す」という作業がきれいに仕上げるための最大のポイントとなってきます。できるだけ着用している状態を再現しつつ干しましょう。
コート類
コート類は家で洗えなくもないのですが、アイロンワークなど仕上げが難しいので、プロにお任せしたほうがよいでしょう。
羽毛布団・毛布
- 洗剤:中性洗剤(コインランドリーの場合も持参がおすすめ)
- 洗濯ネット:布団が入る大きさの洗濯ネット(ネットの網目は粗くてもOK)
天気のいい日が3日以上続く日に洗いましょう。羽毛布団に使われている羽根は水鳥の羽根。そのため、意外かもしれませんが実は水に強いのです。洗濯表示マークの指示にもよりますが、自宅で洗うことも可能です。
洗う際は浴槽に水をはり、中性洗剤を入れ、足で踏んで洗います。洗えたら水を抜き、布団を丸めるようにして脱水し、再び水をはってすすぎましょう。脱水して干せば完了です。
毛布も同じように洗濯表示に従って洗います。ものによっては洗濯機で洗うこともできます。
コインランドリーで洗う方法も
ただし水で濡れた羽毛布団や毛布は重いので、脱水や干す作業には体力を要します。家庭で洗うのではなく、洗いから乾燥までできるコインランドリーを使うとコストを押さえつつ楽に洗えますよ。
コインランドリーの乾燥機はガス方式で温度が高いので、ダニを退治することも可能。万が一、布団が破れて羽根が飛び出すと大惨事になってしまうので、布団用の洗濯ネットを使用してください(100円ショップでも手に入ります)。
乾燥機で完全に乾かすのは時間がかかるうえ、高温の乾燥機を使うことで布団のダメージも気になります。ある程度乾かしたら、あとは家に持ち帰り天日干しをすればOKです。
また濡れた羽根は切れやすくなっているので、乾くまではあまり触らないようにしましょう。完全に乾いたら、羽根に空気を送るようなイメージで左右前後に揺らすと、空気をはらんでふんわり仕上がります。
なお水鳥の羽根は水には強いですが、油分には弱いです。柔軟剤は油(のようなもの)でコーティングして滑りをよくするので、使わない方がいいでしょう。
ブーツ
- 使う洗剤:おしゃれ着用洗剤、もしくはボディソープ
- 洗濯ネット:不要
洗濯表示があればそれに従ってください。もしなければ自己責任で洗うことは可能です。洗濯機は使用せず手洗いしましょう。
フェイクムートンはおしゃれ着用洗剤でつけ置きし、合皮や革素材の場合はボディソープを使って、表面を優しくなでるようなイメージで洗います。ただし、色合いなどが変わってしまう恐れがあるので、見た目をキープしたい場合はクリーニングに出すのがおすすめです。
なおロングブーツは干す時に型崩れが起こりやすいので注意が必要。逆さにつるような形で干すと型崩れなくきれいに仕上がります。
冬物衣類の収納方法
続いてきれいに洗った冬物衣類を収納する時のポイントを紹介します。
セーター
ハンガーに吊るして保管すると重みで伸びてしまうことがあるので、畳んで収納するのがおすすめです。折り目になるところに新聞紙などを筒状に丸めた新聞紙を入れておくと、シワがつきにくく、通気性も上がりますよ。
どうしてもハンガーに吊って収納したい場合は、ニットに負担のかからない吊り方をしてください。
ニットを縦半分に折り、脇の部分にハンガーを合わせます。袖と裾をハンガーにかけておけば、伸びやすい袖と裾の型崩れを防ぐことができます。
マフラー・ニット素材の帽子
ウールやカシミヤのマフラーは害虫がつきやすいので、洗ったあとにアイロンをかけることをおすすめします。アイロンの熱により、害虫にダメージを与えることができるのです。マフラーだけでなく害虫がつきやすい素材には、ぜひ仕上げにアイロンがけをしてください。
帽子は型崩れさせないように、頭の部分に新聞紙などを丸めて入れ、形を整えて収納すると安心です。
コート類
厚みのある服は畳んで収納すると型崩れを起こしてしまいがちです。コートやジャンパーはハンガーにかけて収納しましょう。
そのとき、針金ハンガーのような肩幅の狭いハンガーを使うと、服の重みで型崩れしやすくなってしまいます。ある程度厚みのあるハンガーを使用してください。
厚みのあるハンガーが自宅にない場合は、ハンガーの肩部分にタオルを巻きつけて厚みを出してもOKです。
クリーニングから戻ってきたらすぐにカバーを外し、最低でも1日くらいは風通しのよい日陰で風を通してから収納してください。カバーをつけたままだと、湿気からカビが発生する恐れがあります。
羽毛布団・毛布
羽毛布団や毛布は三つ折りにしてクルクル丸めます。シーツなどで包んでおくと汚れないのでおすすめです。洗濯に使った洗濯用のネットを収納袋として使うのもいいですね。
ブーツ
型崩れと湿気を防ぐために、新聞紙などを靴の中に詰め、立てて収納します。履いているような状態を維持することで型崩れを予防します。
衣替えにおすすめのサービス
「自分で洗うのは大変だし、クリーニング店に持っていくのも面倒!」という方は、保管サービス付きのクリーニングがおすすめです。無酸素保存などのサービスを利用すると、虫食いやカビの心配もいりません。
サービスにもよりますが半年ほど預かってもらえるものもあるので、収納スペースの確保としても便利。かさばる冬物衣類や布団をきれいに洗って、来シーズンまで保管してくるのはありがたいですね。
また、断捨離の際はフリマアプリを使って手放す方法も。スマホさえあれば匿名で売り買いできるので便利ですよ。
ただし売ろうと思いながらも行動に移せず、1カ月以上放置する……なんてことがあるくらいなら、思い切って捨ててしまった方が良いでしょう。フリマアプリで買ってもらうためにはその品を出すタイミング(シーズン)が重要なので、それを逃すことのないように使いましょう。
衣替えは一気にやると大変なので、紹介したポイントや方法をおさえつつ、4月から徐々におこなっていくようにしたいですね。