最近Instagramでよく見かけ、料理本まで出版されるほど話題の「下味冷凍」。みなさんご存知ですか。買ってきた肉や魚などの食材に下味のひと手間を加えてから冷凍保存しておく行為をさし、おいしくて便利と大人気です。今回はそんな下味冷凍のメリットと注意すべき点について、管理栄養士が解説します。
下味冷凍なら節約も時短もかなう!
大人気の下味冷凍。その人気の理由を見ていきましょう。
安い日にまとめ買いで節約に
買ってきたら食材のパックを開け、使いやすい大きさに切り分けてから下味をつけ、1回分ずつフリーザーバッグに入れて小分けに冷凍する下味冷凍。例えば豚肉を生姜醤油に漬け込んで生姜焼き、鶏肉をカレー粉とヨーグルトなどに漬け込んでカレーやタンドリーチキン、牛肉を焼肉のたれで漬け込んで焼肉にと、バラエティーは無限大。これなら特売の日に食材をまとめ買いしておけるので、節約にもつながりますね。
忙しい日の食事準備が楽になる
下味冷凍さえしておけば忙しい日は買い物をする必要もなく、また食材を切る手間や調味料を量る手間、包丁やまな板、漬け込むためのボウルを洗う必要もなし。食事の当日は炒める、焼く、煮るなどの加熱調理をすればOKです。なんとも嬉しい限りですよね。
漬け込むことで、おいしく仕上がる
下味をつけるための「たれ」などに漬け込むことで、肉や魚をそのまま冷凍するよりも、酸化したり冷凍焼けしたりすることを防げます。また下味がしっかり染み込むのはもちろん、硬い肉なども柔らかくなります。
作りたてが味わえる
「つくりおき」のような常備菜は完成した料理を保存しておきますが、下味冷凍の場合加熱だけは食べる直前に行うため、作りたてを味わえるのが魅力。また多めに作りがちな常備菜は、なくなるまで毎日同じ料理がテーブルに並ぶなんてことになりがちですが、下味冷凍ならそんな心配もありません。家族も大喜びすること間違いなしですね。
下味冷凍を始める前に、気をつけるべき注意点
嬉しいこと尽くめの下味冷凍ですが、注意すべき点もいくつかあります。
冷凍したらずっと食べられるは間違い
冷凍すると、腐敗や食中毒の心配がなくずっと食べられると思いがち。ですが、菌やウィルスは冷凍状態では眠っているだけで、解凍すればまた活性化します。特に家庭の冷凍庫は開け閉めするたびに温度が上がって完璧な冷凍状態が保たれないことも。販売されている冷凍食品よりも日持ちしないことを念頭に置いておきましょう。フリーザーバッグに食品名、下味の種類、冷凍した日にちを記載して、1カ月を目安に食べきるように心がけてください。
野菜は食感が変わることも
肉野菜炒めやカレーの仕込みなどでは野菜も一緒に下味冷凍をすることがありますね。でも、水分の多い野菜は冷凍してしまうとどうしても食感が悪くなったり、加熱した時に水分が出やすかったりします。煮込み料理は水分が出てもさほど問題ありませんんが、炒め物には不向きかもしれません。野菜を入れる場合は、あらかじめどんな調理をするかを想定してから下味冷凍をすることをおすすめします。
常温解凍に注意
先述のように腐敗や食中毒の原因になる菌やウィルスは食材の中で眠っている状態。特に暖かくなるこれからの季節は、食中毒の原因菌が活発に増殖しやすい温度帯に突入します。常温で解凍すると、菌にとって良い環境を作ってしまうことになるので、もちろんのことながら菌が増殖してしまいます。
下味冷凍した食材は食べる予定日の前日のうちに冷蔵庫へ移して解凍するか、調理する直前に冷凍庫から取り出して電子レンジで解凍しましょう。また、解凍後はなるべく早く加熱調理するようにしましょう。
おいしくて節約も時短もかなう下味冷凍、注意点を意識しながら毎日の料理にぜひ活用してみてくださいね。