ウールやカシミヤのニットやコートなど、頻繁に洗えないものが多い冬の衣類。とはいえ、タバコや焼き肉などのにおいがつくことは多いはず。そんな冬服のにおい対策法をライオン株式会社のお洗濯マイスター・大貫和泉さんに教えてもらいました。
セーターやコートに付いたにおい。ライオンが行った調査によると、飲み会でつくにおいのトップは「タバコ」が最多でした。2位は「焼き肉」、そして「鍋」「お好み焼きやもんじゃ」と続きます(2018年9月アンケート実施 ライオン株式会社調べ)。
夏服であれば、洗濯機で洗えばすぐににおいもさっぱりと取り除くことができますが、冬服はそうはいかないもの。家庭でできる対策法を紹介します。
頻繁に洗えない衣類のにおい対策
バスルームの蒸気である程度取れる
簡単にできるのがバスルームの蒸気。家族が風呂からあがったら、においが気になる衣類をバスルームにハンガーなどを使って一晩かけるだけという簡単な方法です。バスルームの蒸気とともに、揮発しやすいにおい成分が水と一緒に蒸発することで、においが軽減されます。ただし、油のにおいなどの揮発しにくい成分は衣類に残ってしまいます。
消臭スプレーを活用
しっかりと消臭するには、消臭スプレーを塗布すること。着ていた衣類全体に軽く湿る程度にスプレーし乾かすだけと、こちらもお手軽です。
消臭スプレーの正しい使用方法
頼りになる消臭スプレーですが、使い方を間違えてしまうと、期待したほど匂いが消えなかったり、衣類を傷めてしまったりしてしまいます。商品説明をよく読んで、正しく使うことがとても大切です。ここでは、ライオン製品の「お洋服のスタイルガードしわもニオイもすっきりスプレー」の使い方を紹介します。
まず、使用方法の表示を確認しましょう。本製品の場合は「約20cm離して」、使用量は「ジャケット1着あたり12回が目安」です。表示回数を全体的にまんべんなくスプレーするようにしましょう。この距離や回数は商品によって異なります。
※衣類の中には消臭スプレーを使っていい衣類とそうでない衣類があります。皮革や毛皮製品、絹やテンセル、レーヨンなどの水に弱い素材にはNG。また、洗濯もドライクリーニングできない衣類にも使えません。スプレー可能な衣類でも、シミや色落ちなどのトラブルが発生することもあるため、あらかじめ目立たない場所で試してから使うと安心です。
蒸気と消臭スプレーの消臭効果の違いは?
ライオンが行ったモデル実験結果によると、バスルームの蒸気よりも消臭スプレーのほうが消臭効果が高いことがわかります。タバコのにおいを付けたウールの布を、「そのまま室内に吊るす」「バスルームに吊るす」「消臭スプレーを噴霧して吊るす」と、3パターンの方法で消臭した6時間後の結果が下記のグラフです。
なお、大貫さんによると「消臭スプレーを噴霧して、さらにバスルームに吊るす」という合わせ技はおすすめではないそう。消臭スプレーをしてバスルーム以外の場所に吊るした場合と消臭効果はほとんど変わらず、消臭スプレーのみの方が乾燥する時間が早いからです。
消臭スプレーでにおいが消える理由
ところで、なぜ消臭スプレーを噴霧するだけでにおいが消えるのでしょうか。
におい成分は大きく2種類に分かれ、「揮発しやすい成分」と「揮発しにくい成分」となります。「揮発しやすい成分」は水分だけで蒸発するため、バスルームの蒸気でもある程度はなくなるのですが、そうではない油のにおいなどといった「揮発しにくい成分」は残ってしまうそう。
一般的な消臭スプレーは、「科学的消臭法」「物理的消臭法」「感覚的消臭法」の3つを組み合わせることによって、「揮発しにくい成分」も消臭してくれます。
さらに、除菌抗菌効果のある消臭スプレーもあり、においの原因となる菌を除菌したり、増殖を抑えたりしてくれ、汗のにおいなど一部の菌が原因となるにおいの発生も防いでくれます。
なお、大貫さんによると防臭効果のある消臭スプレーを事前に吹きかけておくのもにおい対策に効果的とのことです。
なかなか洗えない冬物衣類ですが、蒸気や消臭スプレーを使えばある程度の消臭はできることがわかりました。ちょっとしたひと手間で次回の着用時の気持ちよさが変わるはず。ぜひ実践してみてください。