健康のために野菜は毎日しっかり摂りたいものの、皮をむいたり切ったりと下処理が面倒。そんなときはカット野菜や冷凍野菜が便利です。自分で野菜を買ってきて洗い、カットする野菜に比べて栄養価が落ちるイメージを持たれがちですが、鮮度・栄養価ともに高いものも。管理栄養士が解説します。
カット野菜・冷凍野菜の気になる栄養価
カット野菜や冷凍野菜はスーパーなどで販売されている通常の野菜と違って、収穫・下処理時間が経過しているため「栄養があるの? 」と気になる人も多いはず。まずはそれぞれの栄養について見てみましょう。
カット野菜
工場で切ったあとに洗浄されるカット野菜。洗浄によって失われる栄養素は水に溶けやすい性質を持つビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2などの水溶性ビタミンです。この洗浄によって失われる水溶性ビタミンの量は、およそ3割程度と言われています。水溶性ビタミンは自宅で野菜を切って水につけても失われるので、カット野菜だから水溶性ビタミンを失ってしまうというわけではありません。
また、野菜から摂取できるその他の栄養素として代表的なビタミンAやビタミンD、ビタミンE、食物繊維などは失われません。切ったあと空気に触れることで失われる栄養素についても、最近では技術が進んでおり対策がなされています。
冷凍野菜
では、冷凍野菜はどうでしょうか。冷凍野菜は栄養価が最も高い旬の時期に収穫され、工場で蒸す、茹でるなどの加熱処理がなされます。そしてそれを−30℃以下の温度で急速冷凍することにより、鮮度とともに栄養価も高い状態で保つことができます。
一方、買ってきたままの状態で野菜を冷蔵庫に入れるというのはよくあるケースですが、実は時間と共に栄養価は下がります。そのため旬の時期に収穫された野菜を新鮮な状態で冷凍した冷凍野菜の方が、栄養価が高いとも言われています。
上手な活用方法
次にカット野菜や冷凍野菜の上手な活用法について紹介します。
カット野菜
千切りキャベツはサラダはもちろん、スープに使ったりお好み焼きにも活用できます。葉物野菜だけではなく根菜もカット野菜として販売されており、切る手間が省けるので、忙しい日の料理にどんどん活用していきたいですね。
冷凍野菜
解凍するとどうしても水分が出てしまう冷凍野菜。実はその水分と共にビタミンCなどの水溶性ビタミンは失われてしまいます。そのため、冷凍野菜は基本的に凍ったまま加熱調理しましょう。スープに入れてしまえば、水に溶ける水溶性ビタミンを効率的に摂ることができますよ。
活用のメリット
最後に、カット野菜や冷凍野菜を活用するメリットをもう1つ。食べた野菜の量を把握しやすいという点です。厚生労働省は健康づくりの指針として、1日に野菜を350g摂るように推奨しています。ですが、実際は調理時に野菜を量るのは面倒ですよね。カット野菜や冷凍野菜なら、1袋あたりのグラム数が明記されているので、食べた量が一目瞭然。使い慣れてくると350gの野菜の量を把握でき、野菜を自分で切って料理する際にも目安になります。
「栄養価が低そう」と思い込みでカット野菜や冷凍野菜を使わないのはもったいない! 上手に生活に取り入れてみてくださいね。