2019年10月1日から消費税が10%に引き上げられます。生活がどう変わるのか、不安に思う人もいるのでは? 「今のうちに買いだめを」と考える人もいるはずですが、焦りは禁物です! 現状の生活を振り返りながら、どんな対策をすれば良いかお金の専門家であるファイナンシャルプランナーと考えていきましょう。
軽減税率って? 増税になるものとならないもの
今回の増税にあたり、ニュースなどで耳にすることが多い言葉に「軽減税率」があります。軽減税率とは、来年10月の増税後も生活に最低限必要な品目は消費税を8%のまま据え置きにする、という制度です。低所得者に配慮する目的で設けられ、具体的には「飲食料品(ただし、お酒や外食は除く)」「週2回以上発行される新聞」には、消費税8%が適用されます。
そのほか、老人ホームなどで提供される飲食料にも軽減税率が適用されます。ただし、個人が住む賃貸住宅の家賃や病院などで診察を受けたときの医療費には、そもそも消費税はかかっておらず、生活支出の全てが増税によって影響を受けるわけではないのです。
増税に伴い、支出はどれくらい多くなる?
総務省統計局「家計調査年表(家計収支編)平成29年」によると、40歳~49歳の2人以上世帯の消費支出は毎月31万5,189円、30歳~39歳の場合は26万37円となっています。そのうち、住居費と外食費を除いた消費支出は、
- 40歳~49歳: 28万1,869円
- 30歳~39歳: 23万8,126円
となっています。それぞれ、消費税が8%から10%に上がった時の家計負担は、
- 40歳~49歳: 5,637円/月(28万1,869円の2%)
- 30歳~39歳: 4,436円/月(23万8,126円の2%)
増える見込みです。
年間で考えると、5万円~7万円、10年で考えると50万円~70万円の負担増となります。月々で考えると大きな額ではありませんが、今回の消費税増税がじわじわと生活を圧迫させることになるかもしれません。
車や住宅などの大きな買い物は、いつすべき?
車や住宅の購入時に注意しておきたいことは、税率は「購入した日( 契約した日) のものが適用される訳ではない」という点です。車の場合は、納車されて登録を終えた日(車検証とナンバープレートの発行日)となります。新車を購入する際は納車までの日数がかかることもありますので、余裕を持って2~3カ月前には契約をしておきたいですね。
消費税の引き上げで、100万円あたりだと2万円の増税となります。金額が大きな買い物だと、2%の負担増が大きな負担になってしまいます。しかし、焦る必要はありません。車の場合は、増税後に「自動車取得税」が廃止される予定になっています。自動車取得税とは、購入や贈与などで自動車を取得した際の「取得価格×税率」で計算されるもので、その税率は自家用自動車は3%、軽自動車の場合は2%となっています。車は増税を意識する必要はなく、ご家庭の買い換えのタイミングで購入しましょう。
住宅を購入する場合は2018年3月までに契約しておくか、2019年10月1日までに引き渡しを受けるか、どちらかの条件を満たしていれば、消費税は8%となります。住宅は光学なので、増税によって負担が数十万円変わってきます。
注文住宅の場合、契約から引き渡しまでは6カ月程度見ておく必要があります。分譲マンションや建売住宅も、増税前の「駆け込み需要」によって、工期が遅れることも考えられるため、余裕を持って購入計画を立てておきましょう。
また、土地代には消費税はかかりませんし、車の購入時にも言えることですが、増税前は駆け込み需要のため、値下げなどには応じてくれないこともあります。逆に、増税後に購入することで、値引きをしてくれたり、丁寧に対応してもらえたりするメリットもあります。肝心なのは、周りの風潮に惑わされず、自分のタイミングで計画的に購入することです。
増税前にしておきたい3つのこと
増税によって、確実に家計の負担は増えていくため、より一層「家計管理」が大切になってきます。家計管理とは、単に収入と支出を管理することではありません。今後、必要な資金を貯めるための計画を立て、その目標に向けて家計のやりくりを実行していくことです。具体的にはは、以下の3つです。
- 70歳までのライフプランを立てる
- 毎年の貯蓄目標額を決める
- 金融商品を決める
70歳までに得られる収入、そしてそこからのお金の使い道と金額を、ざっくりで構いませんので時系列で書き出します。教育費や車の買い換えといった必要なお金以外に、「旅行に行きたい」「○○をしたい」という夢の資金も書き出していきましょう。そこで書き出した収入と支出の差が「貯蓄目標額」ですね。貯蓄の目的が明確になるので、家計管理のやる気もアップします。
最後に、お金を貯める金融商品を選びます。銀行では、お金が増えない時代。保険や投資商品などにもチャレンジしていきましょう。「iDeCo」「NISA」「つみたてNISA」など、投資初心者でも始めやすい制度もあります。増税分を投資の運用でまかなうことが、増税に備えた家計対策ともいえるでしょう。増税を恐れることなく、賢くやりくりしていきたいですね。