旬を迎えた牡蠣は、ぷりぷりでジューシー。生で味わうのはもちろん、焼いたり鍋に入れたりとおいしいですよね。ところで、市販の牡蠣には「生食用」「加熱用」という表示がされています。生食用と加熱用、どこに違いがあるのかを解説します。
生食用と加熱用の違い
スーパーで牡蠣を見ると、同じ牡蠣でも「加熱用」と「生食用」が販売されている場合があります。そして生食用は加熱用に比べ価格も少し高めなことが多いようです。
「生食用の方が鮮度がいいから価格が高いのかな? 」「生食用の牡蠣の方がおいしいのかな? 」そんな風に思っていませんか。刺身用魚などでは生食用と表示されているものは鮮度が良いものが多いのですが、実は牡蠣に限って言えば、生食用は加熱用より鮮度がいいという訳ではないのです。
牡蠣が食中毒を起こしやすいと言われる理由
食中毒を起こしやすいと言われる牡蠣。できれば新鮮なものを食べたいと思う人も多いでしょう。まずは、牡蠣によって食中毒が起こる理由を解説します。
その理由は牡蠣の生態にあります。牡蠣は体内に海水を通し、フィルターのような仕組みで海水中のプランクトンを取り込んで成長します。実はこの時、プランクトンだけでなくウイルスなども取り込んでしまうのだそう。そのため牡蠣の身の中に食中毒の原因となりうるウイルスが潜んでいることがあり、牡蠣は食中毒を起こしやすい食材と言われているのです。
生食用牡蠣とは
先述のように、牡蠣は育つ過程で海水を大量に体内に取り込むため、食中毒の要因となる菌を保菌しないようにするためには育つ環境が重要なポイントとなります。生食用の牡蠣は保健所が定めた水質の基準をクリアした水の中で養殖栽培されます。さらに出荷前には滅菌処理されているのです。生食でも安全に食べられる反面、滅菌処理の間にうま味が逃げてしまい、水っぽく、身が痩せてしまっているものが多いのが難点です。
加熱用牡蠣とは
加熱用の牡蠣は特に水質の基準などがないため、栄養分の豊富な海域で養殖されることが多くなっています。生食用と比べて大粒で食感もプリプリしていて、味が濃厚なのが特徴。そのため加熱する場合には、加熱用牡蠣を選んだ方がおいしいというわけです。
ただし、加熱用牡蠣にはノロウィルスなど食中毒を引き起こす危険性のあるウイルスや菌が潜んでいる可能性があるため、必ず中心部を85~90℃で90秒以上しっかり加熱する必要があります。
牡蠣には鉄分や亜鉛など日本人に不足しがちな栄養素がたっぷり。旬はおいしいだけでなく、栄養価も高まる季節です。加熱用牡蠣を使用する際は、しっかり加熱することを覚えておき、ぜひ旬の牡蠣をおいしく味わってくださいね。