人生で一番大きな買い物である住宅は、できればおトクに購入したいものです。補助金や助成金、税金が安くなる減税制度など、購入時には知っておきたい内容をファイナンシャルプランナーの稲村さんが解説します。今回は新築編です。
「すまい給付金」(2021年12月まで)
消費税が5%から8%にアップした2014年4月から実施されている制度です。消費税が上がって増えた住宅購入の負担を緩和するために創設されました。すまい給付金は、収入(※)により3段階に分かれ(その住宅の持ち分割合により調整あり)、10万円・20万円・30万円のいずれかが給付されます。2019年10月から消費税が10%に上がると40万円・50万円の給付額も登場し、5段階となります。
例えば、消費税が10%になる直前のタイミングで3,000万円の物件を購入するかと迷っていたとします。消費税は今なら8%で240万円ですが、10%に増税後は300万円となり60万円負担が増えることになります。その差額負担を緩和するための制度と考えるとわかりやすいでしょう。
※収入は「都道府県民税の所得割額」で市町村が発行する課税証明書に記載されます。
対象者は、このようになっています(国土交通省HPすまい給付金2018年9月28日より)。
- 住宅の所有者が登記上の持ち分保有者である。
- 居住者が住民票によって住んでいることが確認できる者。
- 収入が一定額以下である。現在は収入額の目安が510万円以下、消費税率10%以降は775万円以下。
※住宅ローンを利用しない場合は、50歳以上であることも条件になる。ただし消費税率10%時には、収入額の目安が650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)の要件が追加される。
「地域型住宅グリーン化補助金・ゼロエネ住宅補助金」
耐久性に優れていたり、省エネルギー性能(低炭素住宅など)に優れた木造住宅を新築する場合に交付される補助金で、金額は以下になります。
- 長寿命型: 110万円
- 高度省エネ型: 110万円
- ゼロエネルギー型: 140万円
ただしこの補助金は、工務店などが連携したグループによる提案が国に採択され、そのグループに属する中小工務店などで条件に合った住宅を建てる場合に給付されるもの。どの業者にお願いしても利用できる制度ではありません。また、年度ごとに補助対象割り当て戸数が決まっているため、年度内であっても上限に達すると終了となってしまいます。
「住宅ローン減税」(2021年12月取得分まで))
購入年度から10年間、年末のローン残高の1%の所得税が減税されます。主に下記の条件を満たす場合が対象になります。
- 床面積が50平米以上の住宅であること
- 住宅ローン返済期間が10年以上であること(基準を満たす省エネ住宅は5年以上)
- 取得後6カ月以内に入居していること
- 所得が3,000万円以下であること
一般住宅は10年間の最大控除額400万円。1年あたり40万円です。考えると、住宅ローン4000万円×1%=40万円ですが、。4000万円のローンを組めば40万円の税金が戻ってくるかというとそうではありません。家族構成など条件によりますが、年収800万円ほどでも所得税は36万円程度です。住宅ローン減税は、実際に支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、減税額=住宅ローン残高の1%(ただし実際に支払った所得税・住民税額が限度)となります。※住民税の控除は最高13万6500円までです。
なお、住宅を取得した翌年(最初に住宅ローン控除を受けるとき)に、個人で確定申告をする必要がありますので忘れないようにしましょう。それ以降は会社員であれば年末調整で手続き可能になります。
補助金や減税制度は、年度ごとや地域ごとに異なるものがあり、助成金については上限額があって期限内でも締め切りになることがあるなど、申請の際には注意が必要です。購入する時期や居住し始める時期はいつ頃になり、どんな制度が対象になるのか確認して、おトクに住宅を購入しましょう。