保険の見直し、していますか。「ライフステージが変わるときに」とは聞くものの、重い腰があがらない人が多いかもしれません。今回は出産やマイホーム購入など、それぞれのタイミング別に生じる「手厚くする部分」と「そうでない部分」についてファイナンシャルプランナーが解説します。
病気やケガ、万一の死亡などに備えて加入した保険でも、加入時の保障ニーズがずっと続くとは限りません。自分自身や家族の環境や所得の状況が変われば、保障ニーズは変わることが多いもの。保険の見直しは定期的にする必要があります。
「保険の見直し」が必要なタイミングはいつ?
保険を見直すタイミングをひと言で言うとすれば、ずばりライフステージが変わる時。一般的には「結婚」や「子どもの出生」「マイホーム購入」「転職」「起業」「退職」などが該当します。
家族を養うことになったり、転職先の福利厚生の充実度が変わったり、会社員から自営に変わって公的保障制度が変わったりすると、保障ニーズも変わります。つまり、ニーズの変化が生じるライフステージの変わり目が、代表的な保険の見直しタイミングです。
見直さないほうがメリットがあるのはどんなパターン?
ただし、タイミング的には見直しを要しても、いま加入している保険をそのまま継続するほうが良いこともあります。例えば以下のようなパターンがあります。
健康上の不安がある場合
現在の保険に加入した後に健康上の不安が出てきた場合がこれにあたります。新たに保険に加入する時には健康上の診査があるので、健康に不安がある場合は新たな保険に加入できない可能性は否定できません。持病がある人でも加入できる保険はありますが、保険料は割高です。今の保険が更新できるタイプなら、そのまま更新することも検討してみましょう。
加入している保険の保障内容が充実している場合
通常、民間の保険は医療事情の変化に合わせて保障内容が充実していくものですが、中には逆の場合もあり得ます。例えば、レーシック手術。過去には手術給付金の支払い対象でしたが、これから加入する保険では対象外となります。レーシック手術を受ける人が増えたことも一因のようです。これは一例ですが、今後必要になるかもしれない保障内容がなくなってしまう場合には、見直さないほうが良い場合もあります。
ライフステージ別に解説 どんな部分の見直しが必要?
見直しのタイミングでは、いつでも保障を手厚くすればいいかというと、そうでもありません。ライフステージ別に「手厚くする部分」と「そうでない部分」を分けると次のようになります。
結婚
手厚くする部分: 専業主婦(夫)になる場合は仕事を続ける人の死亡保障を増やす検討を。
そうでない部分: 共働きを続けるのなら、夫婦ともに死亡保障は大きくなくても大丈夫。
妊活
手厚くする部分: 女性は妊娠中や出産前後のトラブルに備えて医療保障をしっかりと。
そうでない部分: 新パパ・新ママの死亡保障はまだ大きくしなくても大丈夫。
出産
手厚くする部分: 家計の担い手の死亡保障を増やすことを検討。その際は「遺族の生活費」と「先々必要となる教育費」を考えながら、遺族年金などの公的保障だけでは不足する分を保険でまかなうように。また、女性は妊娠中や出産前後のトラブルに備えてすでに加入している医療保障の確認を。
そうでない部分: パパが会社員なら医療保障は特別に大きくしなくても大丈夫。
マイホーム購入
手厚くする部分: ローン返済中に病気などで働けなくなるリスクを考えて、所得保障をしっかりと。
そうでない部分: ローン申込時に「団体信用生命保険(団信)」に加入していればもしもの死亡時にローンの残債は無くなり、ローン返済の必要はなくなります。なので、死亡保障を縮小しても大丈夫。
独立起業
手厚くする部分: 公的保障や企業保障が手薄くなる分、死亡保障・医療保障ともに手厚くしたいもの。病気などで働けなくなるリスクには所得保障も必要。
そうでない部分: 特になし
実はこんな制度も...…公的保障も知っておこう
「休業(補償)給付」
雇用保険の制度に「休業(補償)給付」があります。業務または通勤中が原因となった病気やケガの療養のために働けず、そのために賃金の支払いを受けていないときに、4日目から支払われるものです(連続して4日以上休まなくても、通算でOK)。業務が原因だと「休業補償給付」、通勤が原因だと「休業給付」と若干名称が異なります。支給金額は厳密には細かな計算を要しますが、大まかに言うと「給与を日額に換算した金額の80%×休業日数」分となります。
「傷病手当金」
対して、業務または通勤を原因としない病気やケガで働けない場合には、健康保険の制度に「傷病手当金」があります。雇用保険の休業(補償)給付同様、休んでいる間に賃金の支払いが受けられないときに4日目から支払われます。こちらも支給金額の算出には細かな計算がありますが、大まかに言うと「給与を日額に換算した金額の2/3×休業日数」分。最長1年6カ月分支払われます。
これら以外にも死亡時には遺族年金、医療費が高額になったときには高額療養費制度など、様々な公的保障制度もあります。保険見直しの際には自分の保障ニーズを確認することはもちろん、公的保障でカバーされるものを確認し、足りない部分を民間の保険への加入などで補うようにしてください。