いまやPM2.5などの空気汚染物質による大気汚染は、実は世界的な問題のひとつ。そんな中、家庭への普及が進んでいるのが"空気清浄機"です。日本においても年々ラインナップが増え、消費者にうれしい反面、ただでさえ目に見えて効果がわかりにくい空気清浄機。何をポイントに選んでよいのかわからない、という声も多く聞かれます。
そこで、空気清浄機の基本的な仕組みとタイプについて紹介した前回に続き、今回は主にカタログ上に表記された項目から、選ぶ際に重視してほしいチェックポイントと注意点について解説します。
「適用床面積」とは
まずは「適用床面積」です。一般的には畳数または平米数で示されています。この数値は日本電機工業会で定められた基準に基づくもので、「5本のタバコを吸ったときに相当する空気の汚れを、30分できれいにできる広さ」を表します。数値が大きいほどに早く室内を浄化でき、つまり「適用床面積=清浄スピード」の目安とも言えます。
ゆえに、設置する部屋が8畳の場合、「適用床面積12畳の製品なら十分」ということではないのです。少しでも早く空気を浄化したいなら、この数字が大きいほど効果が高いということになり、使用する部屋の面積の2~3倍の適用床面積の製品を選ぶことをお勧めします。
「清浄時間」とは
その他、ほとんどの製品のカタログには「清浄時間」として"8畳の部屋が何分で清浄できるか"や、1分間あたりの最大風量が記載されています。これは、空気清浄や脱臭などの運転モードをすべて含めた中で最大の風量を示すもの。この値が大きくなるほど空気を早く循環させられるので、「風量=浄化された空気の供給量」というわけではありませんが、製品を比較する際には参考程度にチェックしておきましょう。なお、海外メーカーの製品には日本電機工業会の基準に則していない場合もあるため、その旨カタログに明記されているかも確認が必要です。
フィルター性能も見落とさないで
ファン式の空気清浄機では、フィルター性能も重要なスペックです。フィルターは空気清浄機の性能を比べる際に重要な部分。空気清浄機のフィルターは、一番手前にある「プレフィルター」があり、その奥に「集じんフィルター」を備えているという構造が一般的です。プレフィルターは、大まかなホコリを除去するためのもので、能力を左右するのは集じんフィルター。
最近は、工場などのクリーンルームなどで使用されているHEPA(ヘパ)フィルターが主流で、これはJIS規格(日本工業規格)で、タバコの煙(0.3μmの粒子)を試験粉塵としてフィルターを1回通過させたときの捕集率が99.97%以上の性能を持つ場合に記載できます。その他最近では、日本電機工業会による統一基準として、0.1~2.5μmの粒子を99%キャッチできるフィルターが「PM2.5対応」と謳うことができるよう定められています。
しかし、フィルターの性能は、各メーカーの提示している数値以外には参考となる目安はありません。また、除菌機能や脱臭機能、イオンの帯電機能、効果の再生機能などが付加された独自のフィルターの採用も多く、数値だけで一概に性能を比較することは難しくなっています。捕集率などの数値は参考程度にとどめておきましょう。さらに、フィルターは通常半年から1~2年程度に交換が必要で、放置して使い続ければ当然正しい効果が得られなくなってしまいます。その点、理解しておくことが重要です。
その他の大事なチェックポイントとしては、吸引方向や放出された空気の気流です。機種によって空気の吸込み口と放出口の場所や方向はさまざまなので、設置場所に合わせて空気が効率よく循環する組み合わせを検討しましょう。
センサーの有無も重要。空気清浄機が空気の汚れを検知して風量を調整し、自動制御を行うことで効率的かつ効果的に空気を浄化できます。最新モデルでは、Wi-Fi経由でスマホと接続し、センサーと連携して空気のモニタリングが行える機能を搭載した製品もあり、目に見えない空気が浄化されていくその効果が実感できます。
以上、空気清浄機を選ぶ際に知っておきたい基礎知識と外せないチェックポイントです。複数の要素の組み合わせで力を発揮する空気清浄機の性能や効果は、専門家でも評価や判断が難しいものです。ただし、カタログに記載されている設置空間の基準を満たしていることは最低限にして必須の条件。検討する際は必ず押さえておきましょう。