妊娠・出産は幸せなことですが、出費が増えるもの。国や健康保険からもらえる補助金や助成金を活用したいところです。とはいえ、申請しなくてはもらえないものもあるため、これからママになる女性はぜひ知っておきたいもの。今回は妊娠や出産に関連する5つのお金の制度についてお伝えします。
妊娠・出産にまつわる補助金のうち、日本国内であれば自治体に限らず申請できるものが下記の5つになります。
1: 出産育児一時金
健康保険に加入していることで、出産した時にもらえるのが「出産育児一時金」です。
出産育児一時金は、生まれた子ども1人につき42万円もらえます(双子が誕生した場合は42万円×2で84万円に)。出産にかかる費用(分娩費用や入院代など)は42万円以上かかるケースがほとんどです。そんな場合も、出産前に保険組合に申請して「直接支払制度」や「受取代理制度」を利用することで、出産した時に病院には42万円を超えた金額だけ支払えばOKになり、多くの病院でこの制度が採用されています。
また、出産育児一時金は妊娠4カ月(妊娠85日)以上の流産や死産、人口中絶も対象となります。
2: 出産手当金
出産前後の産休中に、勤務先から給料が支払われない場合に利用することができます。手続きは勤務先の総務や経理担当者が行ってくれることがほとんどです。
「出産手当金」は、健康保険に加入していることで出産予定日以前42日間と出産の翌日から56日間分受け取ることができます。予定日より出産が遅れた場合は、遅れた日数分追加で支給されます。
気になる支給額は、支給開始日以前の継続した12カ月間の標準報酬月額を平均した額を30日で割った金額の3分の2となります。
3: 育児休業給付金
「育児休業給付金」は雇用保険に1年以上加入していることで、原則子どもが1歳になるまで育児休業をとった場合にもらえます。パパとママが2人とも育児休業をとった場合は子どもが1歳2カ月まで延長されます。また、2017年10月1日からは、仕事に復帰したくても保育園が見つからない場合に限り、手続きをすることで子どもが2歳になるまで延長されるようになりました。
給付金の額や詳しい条件は下記の解説記事を見てくださいね。
育児休業給付金、受給条件や金額、申請法は? 育休延長、副業の場合も解説
4: 児童手当
「児童手当」は、国と地方自治体が協力して子育て世帯に支給している手当です。0歳から15歳になった年度の3月まで毎月もらえます。手続きは住んでいる自治体の窓口で申請します。
金額は、生まれた順番や年齢によって違っていて、0~3歳未満が1万5,000円、3歳~小学校終了までが第1子と第2子は1万円、第3子以降は1万5,000円、中学生は1万円となっています。また、児童手当には所得制限があります。制限を超える家庭は児童手当は受給できませんが、「特別給付」として子ども1人あたり毎月5,000円を受け取ることができます。
児童手当を全額貯金すると、中学を卒業する時に198万円貯めることができます。これは、国公立大学の4年間の学費に相当する額です。児童手当をコツコツ積み立てておくことでムリなく教育資金が準備できますよ。
5: 特定不妊治療助成金
不妊治療は、どの程度の時間がかかるのかはっきり分からないだけに、必要な額もわからないのが現実です。そのために国の助成金制度があります。
国の助成金の対象となるのは「特定不妊治療」と呼ばれる治療で、体外受精か顕微授精が該当します。特定不妊治療は健康保険が利用できず、治療費が高額になることが多いため、申請すれば費用の一部を助成してもらえます。
支給の条件は、まずは妻の年齢が治療日の初日に43歳未満である法律上の夫婦であること。次に、夫婦の合算した前年の所得額が730万円未満であること。ちなみに、所得というのは年収から所得控除や社会保険料などを差し引いた金額のことをいいます。また国が指定する医療機関での治療に限られます。
助成金は、
- 初回の治療に限り30万円まで(産卵を伴わない凍結胚移植等は除く)。
- 1回の治療につき15万円(産卵を伴わない凍結胚移植等は7万5,000円)まで。
- 指定する手術を行った場合1回15万円まで。
また、妻の年齢によって通算助成回数が違ってきます。初めて助成を受けた際の治療機関の初診日に、妻の年齢が40歳未満の場合は6回、40歳以上の場合は3回です。
これからの時代は、出産しても仕事に復帰するママが増えてくることでしょう。ぜひ、このような制度を上手に利用して、妊娠、出産、育児に役立ててください。