カレンダーシェアアプリ「TimeTree」を運営する株式会社TimeTreeが2014年の創業から10周年を迎え、それを記念したメディア説明会が9月25日に東京都内で行われた。代表取締役社長の深川泰斗氏らが登壇した説明会では、10周年を機に刷新されたミッション・ビジョン・バリューが発表。そのほか、今後の事業方針なども語られ、カレンダーサービスの領域で新たな価値を創造する同社の未来が感じられる機会となった。
創業10周年でミッション、ビジョン、バリューを刷新
2015年にサービスを開始した「TimeTree」(以下、タイムツリー)は、共有とコミュニケーションを前提に、家族やパートナーなど複数人数でのスケジュールの共有を可能とするカレンダーシェアアプリだ。今年4月の時点で全世界のユーザー数は5500万人以上を越え、現在も一カ月に100万人のペースで新規ユーザーを獲得。ビジネス向けのグループウェアよりも気軽に使え、個人向けのスケジュールアプリよりもプライベートの予定共有に長けている点が評価され、最近では職場や学生の部活・サークルなどでも利用が広まっているという。
同社では、今後さらに大きな目標を達成するため、創業10周年を機にミッション・ビジョン・バリューを刷新。この日の説明会では、同社・代表取締役の深川泰斗氏からその中に込めた思いが語られた。
新たなミッション「『誘おう』をつくる」とビジョン「あの人と共に生きる未来へ誘おう」は、いずれも「誘う人」をキーワードになっている。これについて深川氏は、「毎日の忙しさを解消するために『予定を共有しよう』と社内に呼びかける人や週末のイベントに『一緒に行こう』と誘う人。そういう『誘う人』の思いやアクションに支えられてタイムツリーはここまで成長させてもらいました」とこの10年を振り返りつつ、「その上でタイムツリーは誰を応援すべきなのか、誰の方を押すべきかを社内で改めて議論した末、それはやはり『誘う人』であるという答えに行き着きました」と熱く述べた。
また、自社の行動規範を示すバリューには、「誘われるのを待たない」「手元の『目的』を忘れる勇気を持とう」「だれもためらわない環境を」という3つのワードを設定。この刷新に合わせて9月26日から公開される新たなブランドムービーも紹介された。
アイドルやクリエイターのファンにじわじわ広がる「公開カレンダー」
この日の説明会では、『カレンダービジネスの可能性」と題し、「(1)『覚えてもらえる』『動いてもらえる』顧客コミュニケーション」「(2)カレンダーの新たな展開領域としての『推し活』」「(3)予定データを活用した生活者インサイトの発掘」という3つの点を軸に、同社が動き出している新たな価値創造についても語られた。
このうちユーザーにもたらされるメリットとして、(1)と(2)では4月からサービスを開始している「公開カレンダー」に関する説明があった。
「公開カレンダー」は、企業やイベントの主催者等がカレンダー形式でイベント情報を公開できるサービス。ユーザーは公開されたカレンダーを自身のカレンダーリストの中に共有でき、関心のある企業や個人の予定を見逃さずに獲得することができる。例えばECサイトのセール情報や映像コンテンツの配信情報の発信に用いられ、既に楽天、ABEMA、TBS、集英社、ホリプロなどが活用をスタート。エンタメ領域だけでなく、新潟市のように地方自治体が活用を始めるケースも出ている。
(1)の話題で深川氏は、公開カレンダーをフォローしているユーザーの約8割がカレンダーをきっかけに「イベントやキャンペーンの実施を知り」、約6割が「イベント参加や商品購入に至り」、さらに約4割が「イベント参加や購入の頻度が増えた」とする同社のアンケート結果を紹介。その上で「カレンダーアプリには行動を想起する力があります」と、情報の発信側と利用側、双方の利点を述べた。
一方、(2)の話題では、芸能人やクリエイターに公開カレンダーの活用が広まっている例を紹介。「アイドルの方などがライブ日程やチケットの発売日、生配信の予定などを発信し、それを見たファンの方が自分の予定に反映するという“推し活”に活用されています」と解説した上で、『クリエイター本人だけではなく、ファンが自主的に作るカレンダーも増えています』と、より推し活らしい利用法も紹介された。
今後はこの推し活活用に力を入れ、11月には新たに「公開カレンダーヴィジェット」を公開予定であることも明かされた。これはスマホのホーム画面に自分の“推し”の情報が日めくりカレンダーのように表示されるサブスクリプションサービスで、クリエイターが販売収益を得られる仕組みを目指していくという。
来年春までに世界ユーザー1億人目指す
説明会の後半では、同社の共同代表である朴且鎮氏が、「文脈の時代におけるカレンダーシェアアプリの成長と展望」をキーワードに同社の将来展望について語った。
「3Gから4Gへ、さらに4Gから5Gへと、およそ10年に一度のペースで大きな転換期がやってくる中、メッセージ全盛時代といえる今の次には『スケジューリングの時代』がやってくると我々は考えています」とした同氏は、同社の長期的な成長戦略として生成AIを絡めたサービス開発に言及。Chat GPTが公開された2年前を「インフラ優位」、AIデバイスの普及が顕著になった現在を「デバイス優位」、さらに2年後を「アプリケーション優位」のタイミングと定義した上で、自社の大きな舞台は2年後に来ると見通しを語り、タイムツリーの中に導入されているOCR×Chat GPTの機能例などが紹介された。
刷新したミッション・ビジョン・バリューを掲げ、公開カレンダー、推し活、生成AIを新たな力に、まずは来年春までに世界ユーザー1億人を目指していくというタイムツリー。カレンダーシェアを通じて世界の暮らしを変えていく、同社のさらなる飛躍に期待だ。
【「TimeTree」公式ホームページ】
https://timetreeapp.com/intl/ja