近年、海外での「トコジラミ(別名:南京虫)」の大量発生が報じられることが多くなっている。日本国内でも、宿泊施設やレジャー施設、入浴施設などで、トコジラミの被害が増加。夏休みやお盆の旅行シーズンとなり、宿泊先でのトコジラミの発生を心配している人は多いようだ。株式会社ダスキンが展開するターミニックス事業(https://www.duskin.jp/special/tokojirami/)が、過去1年の間に宿泊施設に泊まったことがある全国20~60代の男女1,013名を対象に実施した「宿泊先での害虫対策」に関する調査。トコジラミの認知度や被害に遭った経験、対策についてどの程度認識できているかが明らかとなった。
<調査結果詳細>
宿泊先は「価格」の次に「清潔さ」を重視
宿泊先を選ぶ際に重視しているポイントを質問したところ、『価格(80.8%)』と回答した人が最も多く、次いで『清潔さ(64.5%)』『アクセスの良さ(48.9%)』と続いた。価格が一番ではあるものの、清潔さを重視する人も過半数の約6割と多いことから、単に安ければ良いというわけではないことが示された。
宿泊先で遭遇したくない害虫1位「ゴキブリ」2位「トコジラミ」
宿泊先に出て欲しくない害虫に関して質問したところ、『ゴキブリ(78.5%)』と回答した人が最も多く、次いで『トコジラミ(55.8%)』『ダニ(44.3%)』と続いた。ゴキブリは見かけるだけでも不快に感じるが、トコジラミは刺されることに対する不安感から上位に挙がったと考えられる。
また、虫が出ることで宿泊先に対してどのように感じるか質問したところ、『リラックスできない(66.3%)』と回答した人が最も多く、次いで『食事など衛生面に不安を感じる(60.4%)』『二度と利用したくなくなる(58.3%)』と続いた。宿泊先で害虫に遭遇すると、リラックスできないだけでなく、施設の衛生面に不安を感じるなど信用を損なう原因になり、その結果、施設の経済的な被害にも繋がる可能性が示唆される。
約8割がトコジラミを知っていると回答。そのうち、10人に1人が刺された経験があり
トコジラミという虫を知っているか質問したところ、約8割の人が『知っている(79.5%)』と回答。続いて、前述の質問で「知っている」と回答した人に、実際にトコジラミに刺されたことがあるか質問したところ、10人に1人が『ある(11.8%)』と回答した。トコジラミを知っている人の中で、実際に刺された経験がある人が無視できない割合を占めていた。
トコジラミを知っている人の約半数が宿泊施設に泊まる際にトコジラミの存在を意識しているものの、具体的な対策ができていない
トコジラミが隠れている場所についてどのくらい知っているか質問したところ、84.0%の人が隠れ場所を知っており、16.0%の人が知らないと回答した。知っている具体的な隠れ場所は『カーペットや床の隙間(65.7%)』と回答した人が最も多く、次いで『ベッドの隙間(51.8%)』『ソファの隙間(48.8%)』と続いた。一方で、『額・掛け軸(14.0%)』『押入れ(19.5%)』はトコジラミの隠れ場所として選んだ人はあまり多くなかったが、実はこのようなところもトコジラミが潜みやすい場所となる。
【トコジラミの習性・潜伏場所とは?】
トコジラミは、日中はカーペットや床の隙間、ベッドの隙間、ソファの隙間など部屋のあらゆる場所に潜んでいて、夜になると吸血のために出てくる習性がある。一般的にトコジラミが好む潜伏場所は狭くて暗く温かいところ。特に、人が長時間使用する場所の目につきにくい隙間に潜伏する傾向がある。具体的には、吸血しやすいベッドの周りや、ヘッドボードと壁の間、ベッドのマットレスの縫い目や布の重なり部分、和室であれば布団を敷く場所の周辺などだ。布団をしまう押入れは、設問で選んだ人が少なかったが、潜伏場所になりやすい場所。また、畳の裏、柱や天井と壁の隙間、カーテンの折り返し部分、壁に掛けられた額や鏡の裏側、壁紙の裏側や壁紙と幅木との間、カーペットの下、電化製品の内部、タンス類、引き出しの裏など、あらゆる場所が挙げられる。また、トコジラミは吸血した後、「血糞」と呼ばれる墨汁色の糞を排泄し、その糞が乾燥して壁や柱などに黒い点状に残るため、これらを見つけることによりトコジラミの存在や生息場所を発見することができる。
先程の質問に続いて、宿泊施設に泊まる際にトコジラミをどの程度意識しているかを質問したところ、『とても意識する(16.4%)』『少し意識する(36.4%)』『あまり意識しない(34.9%)』『全く意識しない(12.3%)』という結果になり、「意識する」人の合計は52.8%と、宿泊施設に泊まる際にトコジラミの存在を意識している人のほうがやや多い結果となった。
また、トコジラミの被害に遭わないために宿泊施設に泊まる際にどのような対策を取っているかを質問したところ、『特に意識はしていない(47.0%)』と回答した人が最も多く『マットレスの隙間、シーツの縫い目を確認する(23.7%)』『部屋の中にいないか確認する(21.7%)』と続いた。約8割の人がトコジラミという虫を知っていて、宿泊施設に泊まる際には過半数がトコジラミを意識すると回答しているものの、実際に自分で対策を取っている人は半数程度に留まった。また、具体的な対策の実施率は1~2割程度と低く、旅行先でトコジラミの被害に遭わないための対策の方法を知っておく必要があると考えられる。
【プロに聞いた!トコジラミの対策とは!?】
トコジラミは就寝中に体に取り付き15分間以上吸血し続ける場合もある。症状には個人差があるが、刺されると患部が赤く腫れあがり、数日後に猛烈なかゆみを伴うことも。まずはトコジラミの被害に遭わないために、生息場所や習性を知ることが大切となる。具体的には、宿泊施設に泊まる際には、トコジラミが潜んでいそうなベッド周辺や押入れ、布団を敷く場所の周辺に血糞の痕跡や虫がいないか調べることが大切。また、荷物にトコジラミが潜んでしまう可能性があるため、宿泊先では荷物を直に床に置かずに、大きなビニール袋などに入れることも有効な対策だ。
約9割が“トコジラミ対策”を実施している宿泊施設に泊まりたいと回答
もし宿泊施設でトコジラミの被害に遭った場合、どのような行動を取るか質問したところ、『宿泊施設にクレームを言う(63.5%)』と回答した人が最も多く、次いで『二度と利用しない(54.3%)』『宿泊施設のクチコミに書き込む(19.9%)』と続いた。
最後に、トコジラミ対策ができている宿泊施設に泊まりたいか質問したところ、約9割の人が『はい(90.7%)』と回答した。宿泊先でトコジラミの被害に遭うと旅行が台無しになってしまい、宿泊施設へのクレームに繋がることも。また、トコジラミに刺されると、かゆみや発疹に悩まされるだけでなく、荷物に付けて自宅に持ち帰り、被害が広がってしまう可能性もある。個人で予防したり駆除したりすることが難しいため、トコジラミ対策がしっかりとできている宿泊施設に泊まりたいと考えるのは当然だろう。そこで宿泊施設においては、宿泊者がトコジラミの被害に遭わないよう、日常的に点検し、速やかに発見できる仕組みを整えることが大切だ。例えば、ルームクリーニング作業の中でトコジラミの潜みやすい場所の点検も実施する仕組みにすれば、脱皮殻や血糞の痕跡などトコジラミの発生が疑われる状況を発見した時点で、すぐに駆除サービスを依頼することが可能になる。
プロによるトコジラミの駆除も視野に
今回の調査で、宿泊先で遭遇したくない害虫に、半数以上の人がトコジラミを挙げていた。トコジラミの認知度も高く、10人に1人は刺された経験があることもわかった。また、過半数は宿泊施設に泊まる際にトコジラミを意識していると回答したものの、具体的な対策の実施率はそれぞれ2割程度と低い結果だった。宿泊先を選ぶ際には、価格の次に清潔さを重視しており、約9割がトコジラミ対策のできている宿泊施設に泊まりたいと回答。宿泊者がトコジラミの被害に遭わないために、宿泊施設においてはトコジラミの日常的な点検や予防対策が欠かせないと言える。もしトコジラミが発生してしまったら速やかな駆除をプロの業者に依頼することも必要だ。
ダスキン ターミニックスによると、トコジラミは、不衛生な環境から発生するわけではなく、荷物などにくっついて移動するため、移動先で繁殖し被害が拡大するのだという。そのため、清潔にしておくだけでは予防効果はほとんどないのだとか。また、トコジラミは狭く暗い場所に生息し、夜間に活動するため、専門知識がないと発見が難しいようだ。刺されてからかゆみが発症するまでにタイムラグがあり、気づかない場合も多いそう。これらのことから、一般の人にとって、トコジラミの発見は非常に難しく、また、近年は市販されている駆除剤(ピレスロイド系)に抵抗性を持った「スーパートコジラミ」の存在も多く確認されているという。確実にトコジラミを駆除したい場合は、プロの害虫駆除業者に任せるべきだろう。
■調査概要
調査名:「宿泊先での害虫対策」に関する調査
調査期間:2024年6月20日(木)~2024年6月21日(金)
調査方法:リンクアンドパートナーズが提供するPRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
調査人数:1,013人
調査対象:調査回答時に過去1年の間で宿泊施設に泊まったことがあると回答した全国20~60代の男女
調査元:株式会社ダスキン ターミニックス(https://www.duskin.jp/terminix/)
モニター提供元:PRIZMAリサーチ
近年流行しているトコジラミ。宿泊施設にはしっかりと点検や予防などをしてもらいたいのはもちろん、利用者自身でもトコジラミが潜んでいそうな場所をチェックするなど対策を行うことが重要だ。また、旅行先から帰宅後にも荷物に潜むトコジラミを自宅に持ち込まないよう注意しよう。被害にあってから後悔しないためにも、しっかりと対策をして夏の旅行を楽しみたいものである。