ここ数年、いろんなお店で見かけるようになったクラフトジン。チャレンジしてみたいけど、何から手をつければ良いのか迷ってしまいますよね。
今回は、最大500銘柄以上を揃えるクラフトジンの専門店を運営するプロの方に、初心者にもわかりやすいクラフトジンの選び方や楽しみ方を聞いてきました!
三浦 武明
ジンフェスティバル東京 主宰
株式会社 フライングサーカス 代表
世界の料理と共に500種類以上のクラフトジンを愉しめるTOKYO FAMILY RESTAURANT(2006)など渋谷を中心に4店舗の飲食店を経営。2012年からジンのセミナーやワークショップを開催し、2018年からはジンフェスティバル東京を主宰、日本のジンカルチャーを牽引する。2020年6月にはジンラバーズ向けのアプリ「JUNIPER」をリリース予定、秋にはTOKYO FAMILY RESTAURANT内に蒸溜所の設立も。
Instagram:@takeaki.miura
そもそもジンって何?
三浦さん
ジンとは、ジュニパーベリーを中心に様々なスパイスやハーブを漬け込んで作る蒸留酒です。ここ最近のムーブメントで、もともと伝統的に使われている材料以外に、地域ならではの素材を閉じ込めたクラフトジンが増えてきました。
僕は勝手に「ご当地ジン」と呼んでいるんですが、それに伴って小さな蒸留所が増えたり、ワインやウイスキーを作っていた酒造がクラフトジンにチャレンジしたり、新たな試みが現在進行形で広がっています。
「クラフトジン 」の定義は?
三浦さん
規模や生産量、製法等の定義や規定があるわけではありません。ジュニパーベリーを季語に詠む俳句のようなイメージでしょうか。
逆に自由度が高いからこそ、今までになかった新しいお酒が生まれているといってもいいかもしれません。
定義にこだわらず、色んな銘柄を試してもらって「クラフトジン 」を知っていってもらうのが一番楽しいですし、魅力を感じやすいと思います。
クラフトジンを選ぶときのポイントは?
三浦さん
クラフトジンは、“直感的に選べるお酒”だと思います。大きく分けてこの3つが予備知識なしに選べるポイントですね。好きな素材が使われているジンを選ぶ・・・・・ブドウ、梨、はちみつなど使用される素材の味や香りがダイレクトに感じられる
好きな国や地方で作られているジンを選ぶ・・・・・スペインやイタリア、フランスなど、その土地の文化が感じられる
ボトルがかっこいいジン!ジャケ買いで選ぶ・・・・・味わいやコンセプトはボトルのイメージに反映されている
クラフトジンはボタニカル(草根木皮)といわれる素材そのものを漬け込んで作るので、直接的にその味わいや香りが楽しめます。だから好きな食べ物から選んでもいいし、スペイン料理が好きだなと思ったら、スペインのクラフトジンを飲んでみてください。いわゆる「ご当地ジン」は名産の素材を使っていたり、その食文化に根付いた味わいに設計されていることが多いですから。
ちょっと面白い話でいうと、フランスって香水が有名じゃないですか。だからこそ味わい(フレーバー)はもちろん香り(アロマ)の設計が素晴らしいジンが多くて。香水かと思うくらい秀逸な香りがするものもあるんです。
ジンって「飲む香水」とも呼ばれているように、トップノート、ミドルノート、ラストノートと造り手が香りを設計できるお酒なのですが、そこにも個性が現れるんですよね。
こんな感じで、自由度を持って選べるのもジンの魅力なんですよ!
初心者にオススメのクラフトジンって?
三浦さん
いきなり感覚的にチャレンジしていくのもいいのですが、もしかしたら味わいに幅がありすぎて途中で「クラフトジンとは?」って迷子になっちゃうかもしれません。まずは伝統的なジン”ロンドンドライジン”がどういう味わいかを知って、ベンチマークするのがわかりやすいと思います。ロンドンジンは穀物や糖蜜のニュートラルスピリッツをベースに、ジュニパーベリーをはじめとしたボタニカルを漬け込んだもの。
今でも世界に流通する7割は英国ジン、ジュニパーベリーを中心にブレンドされた繊細なアロマとクリアなボディ、そしてドライな飲み口。古くから飲まれていて、クリアな味わい。カクテルベースとして、プロのバーテンダーにも愛されています。
初心者にオススメのクラフトジン12選
三浦さん
伝統的なドライジンの味わいを確かめた後に、それぞれ個性のあるジンを試してみると、その幅広さに驚くはずです!今回は12本全て国の違うクラフトジンを選定しました。よりお国柄が出ていて、直感的にわかるクラフトジンを選んでいます。
初心者だけでなく、プロでも楽しめるラインナップになったんじゃないかな。どれも外せないスター選手揃いです。
世界最古のワイン商が作る伝統の味「No.3」
ロンドンにある最古のワイン商「BB&R」が作るロンドンドライジン。
ジュニパーベリー、オレンジピール、グレープフルーツ ピール、アンジェリカルート、コリアンダーシード、カルダモンの6つのボタニカルを使用。古くから伝わる定番の原料を使いながら、バランスが良くクリアな味わいを作り上げています。
カクテルベースとしても評価が高い。
三浦さん
惚れ惚れする味わい!トップノートでジュニパーベリーやコリアンダーの柑橘が香って、呑みくだした後にカルダモンがふわりと存在感を発揮します。
この洗練された味わいからジンを学び始めれば、それだけでエリートです。
スペインの風を感じる「ジン マーレ」
昨今のクラフトジンのムーブメントを牽引した国のひとつ、スペインのクラフトジン。バルセロナの南、小さな漁村で生産されています。
オリーブ、バジル、タイム、ローズマリーなど地中海の恵みをふんだんに使用した1本。
三浦さん
オリーブの香りがするジン!?原料を聞いてわかる通り、スペイン料理に抜群にマッチするクラフトジンです。オイリーで塩気があり、ロックで飲んでも、ジントニックにしても美味しい。オリーブオイルをたらすアレンジもなかなか面白いですよ。
高い技術が作り上げる華やかな香り「Monkey 47」
同じくクラフトジンのムーブメントを牽引している国のひとつ、南ドイツのクラフトジン。
フルーツブランデーの蒸留技術などで高く評価されるブラックフォレストという地域の蒸溜所で製造。ブラックフォレスト原産の素材を中心に47種類のボタニカルが使われています。
三浦さん
香水にしたい!優美なアロマ爽やかさと複雑さを持ち合わせ「香水にしたい香り」とも言われる逸品。クランベリーの香りと味わいが印象的でアロマから味わいに映る設計が美しいです。
実はこのクラフトジン、インド生まれの元英国空軍中佐が遺品に残したジンのレシピを再現したものなんです。じっくり味わうとブラックフォレストの豊かな自然に魅せられた気持ちが少しわかります。
香り豊かな白ブドウのジン「ジーヴァインジン フロレゾン」
フランスのコニャック地方原産の白ブドウのスピリッツで造られたクラフトジンです。繊細でフローラルな香りに「これもジンなの?」と、誰もが驚くはず!
三浦さん
ジントニックで追いブドウ!白ブドウの爽やかでフローラルな香りが広がります。これ、すっごく美味しいジントニックができます。さらにマスカットやブドウを加えるとスルスル飲める最高のカクテルが完成します。
少し白ワインっぽい味わいもあり、フランスのコニャック地方特有の良さを活かしたクラフトジンと言えますね。
インドとオランダの文化がミックス「ボビーズ」
ジュニパーベリーを使ったジン発祥の地とも言われるオランダのスキーダムで製造されているクラフトジン。
シトラスの爽やかさとスパイシーな風味が共存。味わいのクリアさも特徴です。
三浦さん
ストーリーを感じる秀作1950年代に祖父が自家生産していたレシピを孫が引き継ぎ、現代版にアレンジを加え完成したのが「ボビーズ」。要はボビーじいちゃんのお酒です。もうこれだけで、ストーリーを感じますよね。
一族はインドネシアからオランダに移り住んだ経験があり、父が作っていたインドネシア風のレシピのハイブリット担っています。だから、スパイス使いも素晴らしい。レモングラスなどがトップ・ミドル・ラストで美しく香ります。タイ料理やスパイス料理とジントニックのペアリングで飲みたくなる一本。
ベルギー生まれ、女性が作り上げた「クローバージン」
ベルギー出身の三姉妹が生み出したフレッシュなクラフトジンです。洗練されたボトルデザインに違わず、やわらかでみずみずしい味わい味わいが特徴的。
三浦さん
ベルギーの草原が浮かぶ女性的な一本ラベンダー、エルダーフラワーが香り、洋梨、カモミール、シロツメクサを感じるやさしい味わいが広がる。まさに草原やお花畑が頭に浮かぶ、体にしみ渡るような仕上がりです。「こんなハードリカーある?」っていうくらいスタイリッシュなボトルデザインで、女性へのプレゼントにもオススメです。
はちみつの名産地が贈る「バーヒル ジン」
アメリカのバーモント州の養蜂家が生産するクラフトジン 。名産としても知られるはちみつを、瓶詰めする前に生で加える独自製法を用いた1本。
三浦さん
フルーツを加えたジントニックも見た目にも薄黄色がかっていて、味わうと蜂蜜のコクが広がる。
ユニークな背景から生まれたクラフトジンで、そのまま飲むのははもちろん、フルーツをちょい足ししたジントニックを作るときに重宝します。
ジャパンメイドを強く感じる「季の美」
「季の美」は日本初のジンに特化した蒸溜所で製造。ライススピリッツをベースとして、柚子や山椒など和の要素をプラスした京都発信のクラフトジンです。イギリスで活躍していた職人を日本に呼び寄せて作り上げた、ロンドンドライジンとのハイブリット。
三浦さん
海外でも評価される国産クラフトジンロンドンドライジンのクリアな味わいや洗練されたバランスをうまく落とし込んだ、唯一無二の味わい。世界的な品評会でも高く評価され、日本のクラフトジンシーンを牽引する一本です。
オーストラリアのワインの銘醸地で作られた「フォーピラーズ レアドライジン」


オーストラリアのワインの銘醸地、ヤラバレーで生まれたクラフトジン。オーストラリア産のペッパーベリー・リーフやレモンマートル、有機オレンジを使用したフレッシュな味わいです。
オーストラリア国内でも人気で世界のコンペディションでも高評価を得ています。


三浦さん
ロンドンドライジンに近い洗練された味わいオーストラリアの飲み物って、ワイン、コーヒーなど洗練された味わいのものが多いですよね。このジンは今回選んだ中で最もロンドンドライジンに近いバランスの取れた一本。柑橘類をプラスするなど、割とどんな飲み方をしても失敗することがありません。

フィンランドの奥地で作られる「テヌ ジン」
フィンランドの森、奥深くで修道士の手によって作られるクラフトジン。野薔薇やリンゴベリーなど森に原生する恵みを使用。独特の深い余韻が感じられる。
三浦さん
ボトルデザインの通り、美しく深い余韻有名ブランドに数々のデザインを提供するイラストレーター・デザイナーのクラウス・ハーバニエミ氏による美しいボトルデザイン。森で修道士が作っていると聞けば、物語がはじまりそうな黒鳥のラベルにも納得ですよね。ベリーっぽい味わいに妖艶なバラの余韻。「テヌ ジン」の世界観を体感して欲しいですね。
ジュニパーベリーとすみれが香る「ジン・アグリコロ ガダン」
北イタリア・ピエモンテの有名ワイナリーが作るクラフトジン。ブドウのスピリッツがベースで、ジュニパーベリーやすみれなど、全てピエモンテ産のボタニカルを使用したハーバルな味わい。

三浦さん
イタリアらしい厚みのあるハーブの香りイタリアのクラフトジンは大きく分けて、リモンチェッロのような爽やかなジンとハーバルなジンの2種類があります。こちらは後者。ジュニパーベリーやすみれが華やかに香ります。
元星付きレストランのシェフが手がける「サザンクロス・ジン」
近年、ワインでも注目を集める南アフリカ共和国のワイナリーが造るクラフトジンです。南アフリカ原産のブドウ、ピノタージュを原料とし、アフリカカモミール、 ブルーマウンテン・ セージなどのローカルボタニカルを使用。元星付きレストランのシェフがプロデュースしたひとひねり効いた味わい。

三浦さん
ミネラルを感じる、癖になる味わいシェフが手がけるだけあり、味の設計が完成されていますね。ハーバルでスパイシー。アルコール度数を調節するときに海水を加えていて、ミネラルっぽい味わいが加わっているのも特徴です。
【PR】杉が香る!ジャパニーズクラフトジン『赤鳥居』
『赤鳥居』は、佐賀県の光武酒造場が販売するジャパニーズクラフトジン。
ジャパニーズクラフトジンに、細かい定義はありませんが、その多くが柚子や山椒、茶葉や檜など、日本らしい素材を使用し、香りと味わいに和を感じられます。
この『赤鳥居』で使用されているのは、ジュニパーベリーのほか、レモンピール、オレンジピール、杉の木、日本茶という5種類の素材。また黒いラベルの『赤鳥居プレミアム』では、これらの成分に加えて海苔、牡蠣殻、山椒、ワサビの葉、バニラビーンズ、シナモンと11種類の素材が使われています。
最も特徴的なのは、柑橘系の香りとともに感じることができる爽やかな“杉の香り”。海外のジンでは感じることのできない、日本らしいボタニカルをぜひ感じてみてください。
赤鳥居の詳細はコチラ
オススメの飲み方は?

三浦さん
初心者の方なら、やはりジントニックで飲むのがオススメです。トニックウォーターは甘み、苦味、酸味がパーフェクトなバランスで入った飲み物です。今すごく進化していて、素材にこだわったものもあるんですよ。最終的にはジン1:トニック3〜4のジントニックを作るイメージで、この手順で飲んでみましょう。
香りや甘みの変化がじっくり味わえるはずです。
①グラスにジンと氷を一つ入れる。
②氷を溶かしながら香りと味わいをひらき、ロックで飲んでみる。
③味わいを確認しながら、徐々にトニックを足していく(最終的にジンに対して3倍前後のトニックウォーターを加えるくらいが目安)
④ジントニックとして、香りと味わいを楽しむ。
ジントニックのワンステップアレンジ

フォーピラーズ レアドライジン+オレンジ
三浦さん
ジントニックって少しアレンジを加えるだけで、味わいがまた変わって面白いですよ。やはり原料と同じ素材をプラスするのが、手軽でやりやすいですし間違いなく美味しいですよね!こうやって、輪切りにした柑橘をプラスするだけで見た目も華やかですし。

テヌ ジン+ドライフルーツ
三浦さん
ベリー系の香りが強いクラフトジンに、ベリー系のドライフルーツを入れてみるのもアリ。じんわりピンク色になって可愛いでしょ?三浦さん
紹介させてもらった生ハチミツ入のジンは幅広い果物と合わせやすい。例えば、実家から送られてきたフルーツとかを入れるだけで十分美味しいんですよ!
色々試しながら、自由度の高い発想でクラフトジンを楽しんでみてください。
クラフトジンは気ままな宅飲みにぴったりのお酒だった
クラフトジンというと、ハードルが高く思えていたけどこれならば自分好みのクラフトジンが見つけられそうです。いや、少し足を踏み入れたら最後、もう戻ってこられないかも!?
手軽にアレンジもでき、宅飲みにもぴったり。いつものチューハイに飽きる前に、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
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