現代の生活において、なくてはならないのが加工食品です。仕事帰りにスーパーやコンビニで調理済みのものを買って、家に帰ったらすぐに食べられるというのは、実に便利。ただ、これらの加工食品の原料欄に書かれている添加物がよくわからなくて、なんとなく怖い…と思っている人もいるのでは?
そこで今回は、保存料として使われる添加物のなかでもよく見かける「ソルビン酸カリウム」「白子たん白抽出物」「グリシン」について解説しておきましょう。その正体を知った上で、あり・なしを判断しても遅くはありませんよ!
ソルビン酸、ソルビン酸カリウム
使用される食品の例:ハム、ソーセージなど
植物の「ナナカマド」の中に含まれるパラソルビン酸というポリマーが由来。ナナカマドが細菌汚染に非常に強いことから研究され、現在のソルビン酸が使われるようになりました。ちなみに、酸の状態では食品の味を変えてしまうので、カリウム塩として中和された上で使われています。
細菌は、乳酸などの有機酸と間違えてソルビン酸を取り込んでしまいます。その結果、細菌は代謝できず、それ以上増殖できなくなってしまうというのが、ソルビン酸の防腐剤たるゆえんです。一方、人間はソルビン酸で有害作用が出る臓器がないため、基本的に無毒と考えてOK。当然、腸内細菌の一部はソルビン酸を食べて具合が悪くなるでしょうが、総量から考えれば無視してよいレベルです。ちなみに、LD50は7.4~12.5g/kgと言われています。食塩のLD50は4g/kgなので、塩よりも安全です。
※LD50 … 動物に対して一度に投与した場合、半数が死に至る量のこと。
白子たん白抽出物
使用される食品の例:中華麺、魚肉ねり製品など
最近、地味に使用が増えている成分で、「核たん白」と書かれていることもあります。塩基性蛋白質のひとつで、その名の通り、魚の精子に含まれている成分です。なんで魚の精子に防腐剤が含まれているかというと、魚は体外受精をするから。
つまり、オスが精子を卵にぶっかけて受精させます。当然、精子は水や海水に触れるため、雑菌の汚染が速効で起きて使い物にならなくなるリスクがあるのです。そこで、精液自体に抗菌性の蛋白質が含まれることとなったというわけ。
しらこはサケなどの魚から無尽蔵に取れるので、そこから抽出加工して使われます。蛋白質なので、栄養とすることもでき、人間には完全に無毒。腸に届く前に分解されるので、常在菌にとっても無害です。
グリシン
使用される食品の例:おにぎり、惣菜など
非常に低分子のアミノ酸。静菌作用があり、夏場に1日お釜に放置しても変な匂いがしない程度には効果があります(ただし過信は禁物)。淡い甘みがあり、醤油やご飯に入れるとおいしくなるため、調味料としても使われています。グリシンはただの低分子アミノ酸なので、毒性はありません。LD50は7.9g/kgと、これまた塩より安全な数値です。ちなみに、最近は快眠サプリとしても売られています。が、快眠作用はかなり怪しいものです(笑)。
以上、保存料としてよく使われる「ソルビン酸カリウム」「白子たん白抽出物」「グリシン」についての解説でした。これらの添加物は、微生物の増殖を抑制し、食品の腐敗を防ぐ目的で入れられているのです。いかがですか? 実際に正体を知ってみると、想像していたほど怖くないと感じるのではないでしょうか。また機会があれば、他の添加物についても解説したいと思います!
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※本記事は書籍『悪魔が教える 願いが叶う毒と薬』から一部抜粋し、加筆修正を加えたものです。本書では薬とつきあっていく上で知っておくとグンと便利に使える知識にくわえ、世間一般ではあまり語られることのない「裏の使い道」も言及! あんなことやこんなこと…、ヨコシマな願いも叶える薬について、真面目な本では語られない隠れた効能を解説した書籍です。毒と薬の世界にようこそ!