薄型のモバイルバッテリーをお探し中だったりしませんか? どれを買おうかな〜とAmazon.co.jpをチェックしてみると……種類多すぎ! なので、とりあえず売れ筋の製品に絞ってガチ検証してみました。はたしてクチコミ評価どおりの性能なのでしょうか。おすすめ品を選んでみたので、お買い物のご参考にでもどうぞ m(_ _)m
今回はダークホース的な製品が見つかりましたよ。
検証したモバイルバッテリー
Amazon.co.jpで売れ筋のモバイルバッテリーをピックアップした。選定基準は「薄型」「評価が100件以上」という比較的人気の高いもの。薄型とは、バッテリーセルにリチウムポリマー型を採用しているものと考えてよい。参考価格は2016年11月2日時点のもの。
- ① Solove power bank-s1 ¥2,590
- ② MOCERO LAVO-5000 ¥1,699
- ③ TSUNEO 10000mAh ¥2,330
- ④ Thinny 8800 ¥1,980
- ⑤ cheero Power Plus version Plate ¥4,180
- ⑥ Lumsing Glory P1 mini ¥1,200
検証方法
検証方法についてはこちらを参照。
電流スコアについて
出力ポートへ保証した電流値と実測最大負荷(電源能力)との比率(%)。 例えば、2.0A供給のポートを備え、電源側の実測最大負荷が4.0Aの場合は 200(%)となる。スコア100を切ると公称値を満たしていないことになる。
容量スコアについて
実測容量と公称容量との比率(%)。例えば、公称値10,000mAhのバッテリーの実測が8,000mAhだった場合、スコアは80となる。実測容量にはDC-DC変換回路のロスも含まれているため、スコア100の製品はないと考えてよい。80前後が妥当、60を切る製品は相当に問題だ。
※本企画の検証結果はすべての商品で同様の結果を保証するものではありません。個体差等により結果が異なる可能性を踏まえたうえで、購入する際の一材料として参考にしていただければと思います。また分解等の検証は専門知識を持つ者が行なっております。真似しないようご注意ください。
検証結果まとめ
数値まとめ
放電グラフ
※今回チョイスした薄型モバイルバッテリーの中には普段の検証で行なっている2A放電に耐えられないモデルがあるため、放電試験の負荷電流は 1A(5Ω)で行った。したがって、放電時間の値は従来の2A試験の倍になっていることに注意。
電流・容量スコア
▲電流スコアは100を超えると優秀(公称値を満たす性能)、容量スコアは100に近いほど優秀(公称値に近い容量)。
以上の結果を踏まえると、ベストな薄型モバイルバッテリーは意外なダークホースに!?
結論が気になる方はいますぐこちらのページへ飛びましょう!
次ページからは製品ごとの検証結果となります。
【10000mAh】Solove power bank-s1
最大供給電流 1.72A
実測容量(3.7V換算) 7,797mAh
内蔵バッテリー
基板
仕様・検証データ
放電グラフ
負荷テスト結果
総評
2.0A属性にもかかわらず、最大供給電流が1.72Aほどで要求容量に満たないため、電流スコアは 81(★1)とした。 ただ、電流保護は3.7A弱まであるため、充電は途中で終わらず継続される可能性もある。気になるのはノイズが多い点。音楽再生に難があるかも知れない。
【5000mAh】MOCERO LAVO-5000
最大供給電流 1.05A
実測容量(3.7V換算) 4,456mAh
内蔵バッテリー
基板
仕様・検証データ
放電グラフ
負荷テスト結果
総評
エントリー中もっとも小型なモデル。線のかなり細い直付けmicroUSBケーブルと、おそらくMFi認証のないmicroUSB –Lightning変換コネクタを本体に収納できる仕様が特徴だ。short属性のため、Apple系デバイスへの急速充電はできない(当然、その供給性能もない)。ただ、コンパクトさは群を抜いており、スマホに重ねて使うのは良いかも。
MOCREO® 5000mAhモバイルバッテリー、薄型モバイルバッテリー LAVO-5000
【10000mAh】TSUNEO 10,000mAh
最大供給電流 2.12A
実測容量(3.7V換算) 5,391mAh
内蔵バッテリー
基板
仕様・検証データ
放電グラフ
負荷テスト結果
総評
1%単位の残量ゲージを搭載し、一見使い勝手は良さそうに見える。ただ、性能面を見ると、放電試験の結果が悪い。公称容量の60%を切ってしまっており、到底 10,000mAhに届かないため、容量スコアは0とした。電源回路には新興メーカー Injoinic Technology社のものが使われている。 このシリーズのチップは通信機能が付いており、マイコンを外付けすると残容量値の読み出しや細かな充電設定をすることが可能であるようだ。
【8800mAh】Thinny 8800
最大供給電流 1.36A
実測容量(3.7V換算) 6,800mAh
内蔵バッテリー
基板
仕様・検証データ
放電グラフ
負荷テスト結果
総評
本製品は1.0A / 2.1Aの記載があるが、充電属性は2ポートともにshort。ということはApple製品の充電では500mA扱いとなり、急速充電はできない。いまどきshort属性のみの大容量バッテリーというのはいただけない(そもそも2.1Aの記載は?)。最大供給電流は1.36Aで保護機能でスパッと電源断してしまうので、スペック的にも2.1A供給は満たしていない。放電試験のグラフは1世代前のモバイルバッテリーで見られたノイズの多いノコギリ状の波形となっている。せめてもの救いは、バッテリーの公称容量比が−20%台に収まっている点だろうか。
【4200mAh】cheero Power Plus version Plate
最大供給電流 2.14A
実測容量(3.7V換算) 3,387mAh
内蔵バッテリー
基板
仕様・検証データ
放電グラフ
負荷テスト結果
総評
やはり安定のcheero。電源回路は円筒型バッテリーの本気(?)モデルとほぼ同様の回路構成だ。バッテリーにある Panasonic刻印が神々しい。これを選べば間違いなしといったところだが、昨今の『ポケモンGO』の流行により、モバイルバッテリーの良品はプレミアム価格となっており、残念ながらコスパ的にあまりお得ではなくなってしまっている。
cheero Power Plus 4200mAh DANBOARD version plate 超薄型 モバイルバッテリー 急速充電
【8000mAh】Lumising Glory P1 mini
最大供給電流 2.65A
実測容量(3.7V換算) 7,467mAh
内蔵バッテリー
基板
仕様・検証データ
放電グラフ
負荷テスト結果
総評
基板部品のハンダ付けは不揃いで手作り感満載なものの、計測結果の成績がかなり良い。負荷試験の波形はフラット、放電試験では他の同容量帯のモデルを上を行き、公称容量の90%超えの好成績だった。価格はエントリー中、最安1,200円。コスパも最強だ。Lumsingという新興メーカーによる外見も平凡な製品だが、今回の注目製品と言えよう。電源チップは新興 Injoinic Technology社のもので、TSUNEOのバッテリーのようなデジタル表示のインジケーターを外付けする魔改造ができる可能性がある。
薄型モバイルバッテリーのベストは『Lumsing Glory P1 mini』!
Lumsingという聞きなれないメーカーの製品だが(米国のようだ)、『Lumsing Glory P1 mini』は検証した性能すべてで高評価だった。まさにダークホース。ちゃんとApple製品の急速充電に対応し(最大供給電流2.65A)、実測容量は3.7V換算で7,467mAh、公称値の約93%程度と本検証における基準を大幅にクリアしている。なお、放電時間は5時間30分23秒だが、これは1.0A負荷時のもの。急速充電(2.0A負荷)時は約半分の2時間45分ほどを目安にしてよいだろう。
本製品に関してさらに特筆すべきは1,200円という低価格。ガワの素材は特別なものではなく、デザインも平凡だが、この価格は魅力的である。1Ahあたり160.7円と群を抜いた高コスパも注目ポイントだろう。当サイト的には今後の注目株かもしれない。⇒『Lumsing Glory P1 mini』の検証詳細はこちら
検証結果まとめ
▲電流スコアは100を超えると優秀(公称値を満たす性能)、容量スコアは100に近いほど優秀(公称値に近い容量)。なお、「MOCERO LAVO-5000」はスコアは高いが、Apple系急速充電には対応していないため(最大電流1.05A)、公称値は満たしていても、今回検証したモデルの中では推奨できない。
* * *
次点はガチ検証では優良ブランドとしておなじみcheeroの『cheero Power Plus version Plate』。ただ、1Ahあたり1,234.1円とコスパがかなり悪いので、いまは買い時ではなさそうだ。せめて2,000円台に価格が下がるのを待ちたい。
【総評】アマゾン売れ筋の薄型モバイルバッテリーについて
今回のガチ検証は、薄型のリチウムポリマーセルを採用したモバイルバッテリーを検証した。結果として、バッテリー性能は円筒型セル(特に18φx65mm)のほうが効率が良いようだ。電源回路においても、コイル部品は適度な大きさが必要なのだが、薄型化するため小さめのコイルが採用されているものが多い。
薄型を選ぶ以上、製品のチョイス基準は携帯性になるだろう。しかし、充放電性能で選ぼうというのであれば、薄型は諦めて、円筒型バッテリーセルを採用したタイプのほうがオススメだ。どちらにするか、このあたりは各自の使用場面を考えて選択してほしい。
検証① 持続時間(4.5V終始時間)
バッテリーに5.0V/1.0Aの負荷をかけ続け、終止電圧(バッテリー充電1回分の寿命となる目安の電圧、モバイルバッテリーの場合は4.5V)に下がるまでの時間。1回の充電でもっとも長く使えるモバイルバッテリーの指標となる。
▲電子負荷回路にシグナルジェネレータで生成した負荷制御電圧を入力、実電流と充電電圧をデータロガーで収集。
検証② 開始60分経過時点の電圧
モバイルバッテリーが余力を残している60分経過時点において、高電圧を維持できているかを確認。高電圧を示す製品は内部抵抗が低く、高電流を継続して流せる=長時間パワーを維持しているモデル、ということになる。
検証③ 最大供給電流
どれだけの電流(A)を流せるのか。流せる電流容量が大きいほどよいが、無駄に大きすぎても充電へ使われる電流には上限があり、バッテリーも不必要に大きなものが必要となる。最大供給電流は、充電デバイスの充電容量の合計値以上は欲しいところ。1.0Aと2.0Aポートがある場合は合計3.0A以上必要ということだ。
検証④ バッテリー容量の実測値
終止電圧4.5Vになるまでの電流記録の合計を、1時間(3,600秒)と抵抗値5Ω(1.0A放電の抵抗値)で割って算出した。この計算によって各製品の実測容量を「1時間に流すことのできる電流の値」で示している。mAh(ミリアンペアアワー)の値に換算したと考えてもらってよい。組み込まれているDC-DCコンバーターの効率によっても変わってくる。
検証④ 分解テスト
内部構造、部品を検証する。ひ弱な部品の使用の有無、充電池の接続配列のほか、microUSBコネクタの固定強度もチェックした(同コネクタは小さく、挿入方向が決まっており、
充電器の識別の仕組み
USB信号線D+、D−に印可する電圧によって充電電流が決定される。