Webアプリとは
Webアプリとは、Webの仕組みを利用したアプリケーションのことです。
主にWebサイトを作ることに利用されるHTML方式では、情報のやりとりがサイト作成者からの一方通行になります。これを双方へ矢印が向いたサービスを展開できるようにしたものがWebアプリです。
私たちの身の回りには様々なWebアプリが存在しています。具体的なサービスとして、YouTubeやAmazon、Instagram、Gmailなどが挙げられます。Webアプリは、Webブラウザで操作します。スマートフォンのアプリケーションとは異なり、Webを介してサービスが提供されているのが特徴です。(※下線部参照)
一方、端末にダウンロードするタイプのアプリケーションは、ネイティブアプリ(※)と呼びます。
Webアプリでは、そのサイト上においてユーザー間で情報発信を行うことができます。商品レビューを元に商品を購入したり、自身と同じ趣味嗜好のユーザーをフォローしたりと、ユーザー同士の繋がりが広がります。
これらにより、企業もユーザーのニーズや商品・サービスの改善点を模索することができるメリットがあります。
Webアプリの開発言語
Webアプリの開発には、「フロントエンド(クライアントサイド)エンジニア」と「バックエンド(サーバーサイド)エンジニア」の2つがあります。
フロントエンドエンジニアは、ユーザーがサービスを利用した際、実際に触れる部分を作ります。
対してバックエンドエンジニアは、ユーザーが送信した情報を適切に処理できるプログラムの作成、つまりユーザーには見えない部分を作ります。
同じWebアプリ開発といえども、両者では開発環境や開発言語が異なります。それぞれの主な開発言語は以下の通りです。
Webアプリの仕組み
Webアプリは、Webサーバとの通信を行う仕組みで構成されています。
従来のWebサイトでは、投稿者が作成した情報をユーザーのデバイスに情報提供するのみでしたが、Webアプリではユーザーの操作に応じてWebサーバーから表示される情報が変わります。
これは、Webサーバー側(バックエンド)で情報を処理し、適切な情報を適宜ユーザー側(フロントエンド)に反映させることができるためです。この仕組みにより、複雑な情報を処理・交換することが可能になります。
例えば、Instagramのある投稿のURLを開くとします。異なるタイミングでそのURLを開いたときに、コメントが追加されていたりいいね数が増えていた等、ユーザーのアクションによる変化があった場合、常に最新のものが表示されます。また、おすすめの投稿やリールがその時々によって更新されます。
このように、Webアプリでは同じURLでもユーザーの操作やリンクを開くタイミングに応じて表示が変化します。アクションがあった場合、リアルタイムに情報が更新されていくため、ユーザー同士の会話やより動きのあるコンテンツの提供が可能になります。
反対に、従来のWebサイトでは、管理者が再び情報を更新しない限り、一度作成された情報が常に同じ状態で表示されます。そのためユーザーができることは、情報を読み取ることのみに限定されます。
Webアプリの構造とシステム
Webアプリは、大きく分類すると3つの構造から成り立っています。
「ユーザーに情報を表示させるもの」「ユーザーからの命令実行・表示画面の作成をするもの」「データを保存・蓄積しておくもの」です。
これらを順に「プレゼンテーション層」「アプリケーション層」「データ層」と言います。
それぞれの主な役割は下記の通りです。
プレゼンテーション層
プレゼンテーション層は、「クライアントサイド」と「サーバーサイド」の2つに分けることができます。
クライアントサイドは、情報をWebブラウザに表示させる役割です。
クライアントサイドでは、HTMLやCSSを用いてテキストや画像でUIを表示させるだけではなく、JavaScriptなどを用いてWebサイトに動き(※)をつけることができます。
〈※:スライドショーや、ECサイト等の商品画像が拡大される動きなどのこと〉
サーバーサイドはWebサーバーが「アプリケーション層からの信号に基づいて「ユーザーへ情報の表示」また、「ユーザーへの情報表示内容の受付」の役割をします。
アプリケーション層
アプリケーション層では、アプリケーションサーバーで「ユーザーから行われた操作の実行、表示画面の作成」を行います。
アプリケーションサーバーには、Webサーバーから受けたリクエストを各プログラミング言語で処理し、動的な(動きのある)コンテンツを生成する役割があります。
アプリケーションサーバーは、基本的に単体では利用されません。Webサーバーから動的なコンテンツの作成が必要な場面で依頼が行われ、それに反応する形でアプリケーションサーバーが動作します。そのため規模によっては、アプリケーションサーバーはWebサーバーと一体化して運用されているケースもあります。
データ層
データ層は、データベースサーバーで「データの保管や更新、抽出」をおこないます。
データ層はWebアプリを構成する3つの構造の中で、一番ユーザーから遠くに位置します。
Webアプリのデータベース改修の際には、プレゼンテーション層やアプリケーション層に影響を与えること無く作業を実施できるため、改修コストを抑えることが出来ます。
Webアプリ開発の流れ
Webアプリを実際に開発するには、下記の工程を踏む必要があります。
Webアプリの仕組みや構造を知る
Webアプリ開発においても、その仕組みや構造の理解、そしてそれぞれのサーバーの役割を理解しておくことはとても重要です。
開発言語もフロントエンドとバックエンドで異なるため、自身がどちらに携わるのかをきちんと調べた上で制作に取り組みましょう。
プログラミング言語を選定する
Webアプリを作り始めるにあたり、使用するプログラミング言語の選定が必要です。
先述の通り、どのサイドに携わるかによって使用するプログラミング言語が異なるため、ご自身が携わるサイドの言語を選択し、学習を進めていきましょう。
加えて、プログラミング言語ごとに特徴や役割が異なります。総合的に判断し、どのプログラミング言語を使うかを選定するようにすると良いです。
フレームワーク、Webアプリケーション開発ツールを選定する
フレームワークとは、よく使われる汎用的な機能をまとめて提供してくれる「骨組み」です。
大まかな道筋を示してくれるので、より簡単かつ直感的にプログラムを組むことができるようになります。
Webアプリ開発においては、Webフレームワークというものが使われます。
また、開発を効率化する便利なツールもあります。
高機能エディタや、エディタ・コンパイラ・デバッガなどの必要な機能が一つに統合されたIDE(統合開発環境)、ソースコード管理ツール、さらにプログラミング不要で開発できるノーコードツールなど様々なものが挙げられます。
それぞれのフレームワークや開発ツールごとに特徴や機能が異なるので、適切なものを選択すると良いです。
まとめ
特に意識すべきは、WebサイトとWebアプリとでは大きく機能が異なるという点です。
①Webサイトの機能は「閲覧のみ」で一方通行
②Webアプリは、コメントの書き込みやユーザー同士の交流、フォロー、ECサイトのように商品購入ができる
この2つを抑えておきましょう。
Webサイトは、投稿者が情報を発信することと、閲覧者が情報を収集することが目的です。
反対にWebアプリは、提供する側とユーザーの双方向のコミュニケ―ションを可能にする動的なものであることが特徴です。
また、Webアプリは層に分けて構成されており、開発言語も異なります。
層が分かれているメリットとして、負荷分散と改修時の範囲の限定が挙げられます。
これからWebアプリを開発される方においては、どのような仕組みになっていて、ご自身が担当する分野ではどの開発言語が必要なのかをしっかりと下調べしておくことが必要です。
これに加えて、なぜこのような仕組みになっているかをロジカルに理解することも、運用する上で更なる品質向上と生産性向上に役立ちます。
この記事が、Webアプリに興味を持ってくださる皆様のお役に立ちましたら幸いです。