『風雲!たけし城とは?』
1986年から1989年にかけてTBS系列で放送されたアトラクションバラエティ番組。
一般応募者も含む「攻略軍」が数々の難関アトラクションを攻略し、ビートたけしが建築した「たけし城」を攻略する。
日本国内で社会現象となっただけでなく海外でも人気を博し、世界各国で放送され、
アトラクションバラエティとして後のエンタメコンテンツに与えた影響は大きい。
今年4月からは、Amazon Original番組『風雲!たけし城』が、Prime Videoで世界に向けて順次配信されている。
また、グローバル没入型プラットフォーム『Roblox』にて、本番組とコラボしたワールドが配信されており、
本番組に登場したアトラクションを再現したゲームをプレイし、実際にたけし城を攻略することができる。
Roblox
2006年にリリースされ、現在は6000万人を超えるデイリーアクティブユーザー数を誇る人気グローバル没入型プラットフォーム。
UGC(User Generated Contents:ユーザーにより生成されたコンテンツ)が主要コンテンツとなっており、NIKEをはじめとした多様なブランドや企業・IPとコラボしていることが特徴である。
「メタバース」の在り方の一つとして注目されており、近年特に注目されているオンラインサービスの一つである。
<ダウンロードURL>
Google Play版:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.roblox.client&hl=ja&gl=US
Apple Store版:https://apps.apple.com/jp/app/roblox/id431946152
PCブラウザ版:https://www.roblox.com/
『風雲!たけし城』の魅力を再現しつつ、誰でも楽しめる作品に
――本日はよろしくお願いします。
――Robloxでリリースされた『風雲!たけし城』(以下、『たけし城』)はどのようなゲームなのでしょうか。
田中「『たけし城』の魅力であるアスレチック性を反映したアクションゲームです。プレイヤーは全員でたけし城を攻略するべくゲームに挑戦します。」
田中「ゲームに失敗すると脱落となり、残ったプレイヤーで次のステージに挑戦することになります。最終的にラストステージをクリアすることで攻略完了となる形です。」
――『風雲!たけし城』の原作をそのまま再現したようなイメージでしょうか。
田中「基本的には原作に忠実に制作しておりますが、細かな部分で調整を加えています。オンラインゲームとして『たけし城』を再現する上で、よりユーザーが楽しめるように調整を行いました。」
田中「例えば本作では全員で同時にステージを攻略する形になっており、一人ずつ挑戦する原作番組とは異なっています。」
西川「こうした調整に関しては我々TBS側でも監修を行い、ゲームとしての楽しさを追求しつつ、『たけし城』ならではの魅力が損なわれないよう細心の注意を払って開発しています。」
――原作の魅力とゲームとしての面白さの両立を意識して作られているのだと感じました。
共通の敵に立ち向かうことで生まれる一体感
――開発をするにあたって力を入れた部分についてお伺いしたいです。
田中「具体例ではロビーの設計があります。ロビーでは迷路やアスレチックエリアが用意されており、制限時間等に捉われず自由に遊ぶことができます。」
西川「単純な遊びとしての魅力に加えて、公式として力を入れて取り組んでいるが故のビジュアル面でのクオリティも本作の明確な強みの一つだと認識しています。」
西川「またβ版を社内で共有した際も『すごく丁寧に作ってもらえてる』という意見を貰っています。」
――Roblox内で再現することを通じて、『たけし城』の魅力とはどのようなものだと感じましたか。
田中「一番は、『城を攻略する』という共通の目的があることで、同ジャンルの他のゲームにはない一体感がある点だと思います。」
田中「一般的に、レース系のゲームは自分が生き残ることが最重要の目的であり、他のプレイヤーは蹴落とすべきライバルとして認識されます。」
田中「ただ『たけし城』では自分が脱落しても仲間が最後まで頑張って攻略できればクリアとなる。相手を邪魔する必要は無く、負けてもある種ピュアな気持ちで相手を応援できるという点で、他プレイヤーとの綺麗な形で一体感が生まれると考えています。」
――確かに対戦ゲームだと互いに妨害し合って1位を目指す関係上、どうしても一定の距離感が生まれてしまいます。
西川「Roblox自体が、誰でも遊べる直感的な操作性が特徴なので、プレイヤーの実力差でゲーム体験が損なわれないという意味でもそうした一体感は生まれやすいと思います。」
西川「配信者の方が本作のプレイ動画を配信してくれたことがあったのですが、視聴者に呼び掛けて同じステージに挑戦ながら実況をしていました。皆でワイワイと遊べるゲームを目指していきたいと考えています。」
――対戦ゲームでありつつも操作が簡単で、対立しないゲームである、という事ですね。
世界規模のメタバースで日本発IPの魅力を伝える
――そもそも、「Robloxで『たけし城』のゲームを作ろう」という試みはどのような経緯で生まれたのでしょうか?
田中「そもそも『たけし城』は、世界各国で放送されているグローバルなコンテンツです。一方でRoblox内では『たけし城』に近い、障害物競争系のゲームジャンルが比較的多い。」
田中「そういった背景があるため、ユーザーが『たけし城』を受け入れる土壌が整っていると考えたのが発端です。」
――Roblox自体も、Robloxのユーザーも『たけし城』と親和性が高いということですね。
西川「TBSでは元々メタバース事業への参入を検討していました。様々なメタバースプラットフォームの中で、Robloxは特に空間開発やマネタイズの自由度が高く、また日本国内のIPがRoblox内でゲームをリリースした際に、1億回以上プレイされた事例もありました。」
西川「『たけし城』はゲーム性の高いIPであり、我々の手掛けてきたコンテンツの中ではもっともゲーム化しやすいものの一つです。Robloxと『たけし城』は親和性が高い、という先ほどのお話を含めて、Roblox内でコンテンツを作ることは大きな可能性があると考え、実施に至りました。」
――ゲーム事業とメタバース事業を区別して考えるのではなく、メタバースに取り組む上での一つの結論としてゲーム開発があった、ということですね。
西川「そうですね。ゲームは様々なエンターテインメントの中でも世界的に成長している市場で、キャラクターやストーリーが新しく生まれる可能性を秘めていると思っています。」
西川「そして、TBSは様々な番組IPを保有しており、ゲームとの親和性が高い番組も複数あると考えています。実際に、いくつかの番組タイトルをゲーム化してきた実績もあります。」
――IP活用という大きな枠組みの中で、多様な視点でゲーム事業を分析しているのですね。
Roblox|高い自由度であらゆる領域のメタバース進出を支える
――今回の事例を通して、ゲーム開発におけるRobloxの強みや魅力はどのような部分にあると感じましたか?
田中「やはり、ユーザー数が多いことは大きな魅力の一つです。デイリーアクティブユーザー数が6000万人を超えており、他のメタバースサービスと比較しても多いです。」
田中「日本でメタバース事業に挑戦する場合、2万人ユーザーがいたら大成功だとされています。一方で、Robloxはアクティブユーザーの1%だけでもその基準を大幅に超えることができるほどのユーザーを持っています。ここは明らかな優位性ですね。」
――ユーザーの導線という意味でも、既にプラットフォーム内のサービスを楽しんでいるユーザーがいるということは非常に大きいと感じます。
田中「ユーザーでいえば、RobloxはほとんどのコンテンツがUGCであることも大きな強みです。Robloxはプラットフォームであり、例えるなら大きな『箱』で、その中にあるゲームもコンテンツも、全てユーザー様が作っています。」
田中「Robloxが主導して開発しているコンテンツが無いということは、ユーザー側の自由度が高いということです。IPや企業が、メタバース上でコンテンツを制作する上で、こうした自由度の高さが果たす役割は非常に大きいと思います。」
田中「例えば目的意識の有無です。RPGを土台としたメタバースサービスの場合、ユーザーはRPG要素を主目的として、ついでにユーザー様が作ったコンテンツをプレイすることになります。」
田中「一方で、Robloxではそうしたユーザーが共通して持つ目的意識は存在せず、『何をやるか』をピュアに決めることができるんです。」
田中「だからこそ企業やIPはプラットフォームの制約を受けずに独自の世界観を作れますし、楽しみ方や体験という点で個性を出しやすいと思います。」
――コンテンツの色を出しやすい、ということですね。
田中「そうですね。ただもちろん、リリースするサービスがユーザーにとって魅力的である必要があります。『たけし城』は前述したようにRobloxと相性が非常に良かったので、ユーザーに受け入れてもらえたのだと考えています。」
西川「Robloxは自由度の高さが保証されているからこそ『たけし城』と似たテーマのゲームが多く生まれています。」
西川「だからこそ自分たちで公式に『たけし城』をゲーム化し、他のゲームに無い『たけし城』独自の面白さを反映したゲームを作ることが大きなチャンスになるかもしれない、と考えました。」
『たけし城』をグローバルに
――Roblox内でのコンテンツ展開は、『たけし城』という日本発の歴史のあるIPをグローバルに展開することが目的なのでしょうか?
西川「それもありますが、今年4月からは、Amazon Original番組『風雲!たけし城』が、Prime Videoで世界に向けて順次配信されており、こちらとの相乗効果も見込んでいます。ゲームを通じて認知度を上げることで、番組の方もより多くのユーザーに楽しんでもらえると考えています。」
田中「『たけし城』というIPをより広く多くの方に届ける取り組みの一貫としてのゲーム、という見方もできると思います。」
――「届ける」という観点で考えると、Robloxのユーザーの年齢層が『たけし城』の視聴者層と大きく異なるように思われますが、こちらに関してはどのように考えておりますでしょうか?
田中「Robloxのメインのユーザー層と『たけし城』の番組視聴者層が重ならない部分があるは、双方にとってメリットになりうると考えておりまして、『たけし城』を過去視聴していた方々もこの機会にRobloxに触れてもらいたいと考えています。」
西川「TBSの本業であるテレビ放送では、視聴者の平均年齢が高くなっているという現状があります。そのため、TBSとしても若い方へ新しい手法でアプローチしたいと考えていました。『たけし城』をはじめとしたTBSのコンテンツを世界中の若者に楽しんでもらいたいと考えています。」
西川「『たけし城』は当時リアルタイムで楽しんでいた人が懐かしさを感じながら楽しめるようゲームにしつつ、『知らないと楽しめない』形にしないことも意識しました。」
西川「ゲーム自体を楽しんでもらいつつ、元々の番組に興味を持っていただき、視聴に繋がれば嬉しいです。」
――本日はお時間いただき、まことにありがとうございました。
『風雲!たけし城』の利用方法
●スマートフォン、タブレットの場合
①「Roblox」アプリケーションをインストールし、アカウントを登録。(初回のみ)
iOS:App Store https://apps.apple.com/jp/app/roblox/id431946152
Android:Google Play https://play.google.com/store/apps/details?id=com.roblox.client
②「Roblox」アプリケーション上で「風雲!たけし城」を検索し、表示された「風雲!たけし城」のアイコンをタップ。さらにプレイボタンをタップし、ロビーエリアに入場。
③ロビーエリア内で「Play(プレイ)」ボタンをタップして一定時間が経過するとエクスペリエンスが開始。
●PCの場合
①「Roblox」公式ウェブサイト(https://www.roblox.com/)にアクセスし、アカウントを登録。(初回のみ)
②公式ウェブサイト上で「風雲!たけし城」を検索し、表示された「風雲!たけし城」のアイコンをクリック。さらにプレイボタンをクリックし、ロビーエリアに入場。
③ロビーエリア内で「Play(プレイ)」ボタンをクリックして一定時間が経過するとゲームが開始。
[URL]「風雲!たけし城」 https://www.roblox.com/games/12566669965
[公式Discord]https://discord.gg/9jy8aQx8B8
TBS GAMES 様
2023年7月に発表されたTBSグループによるゲーム事業。
「まだ見ぬ最高の"時"をゲームで」をコンセプトに、TBSグループの最大の武器であるコンテンツ創造の力を活かして、コンシューマー、モバイル、PC、アーケード、カード、ボードゲームなどの展開を行うゲーム事業を積極的に推進すると発表している。
心や生活を豊かにするゲームを作り、有名ゲームキャラクターのように、世界中で親しまれる「オリジナルIP」の創造を目指すとしている。
https://www.tbs.co.jp/tbs-games