ゲームに貢献したユーザーへインセンティブが手に入る仕組み
――本日はよろしくお願いいたします。
――今回お話を伺う『SOUL Fusers』は、ユーザー共創IPプロジェクトと銘打っておられます。
――まず、本プロジェクトが掲げる『ユーザー共創』とはどういった姿なのかお伺いしたいです。
櫟「前提として『SOUL Fusers』は、ユーザーと共に新規IPを創造することをテーマとしたプロジェクトです。例えば、Discord上でのコミュニティを中心に、ユーザーによるオリジナルモンスターのデザイン募集、名称決定などを実施しております。」
櫟「そして、ユーザーのアイディアがベースとなったキャラクターは、実際にNFTになって、今夏にリリースを予定しているゲームに登場します。」
櫟「オリジナルモンスターのデザインを投稿していただいた方など、IPの創造やゲームの開発に貢献していただいたユーザーにインセンティブを支払うことを計画しています。」
――キャラクターデザインなども含めて、IPの創造やゲーム開発に貢献してくれた方に対して、DEPという形でインセンティブを支払う仕組みを構想しているということですね。
櫟「はい。インセンティブの分配形式はレベニューシェアを考えております。」
櫟「つまり、ユーザーが関わっていただいたキャラクターのNFTが売れたら、その売り上げの一部を還元する仕組みです。」
櫟「また、支払いは当社が発行している『DEAPCoin(DEP)』という暗号資産で支払われます。」
――DEPは日本国内の取引所で日本円と交換できる暗号資産なので、間接的には日本円の収入に繋がるプロジェクトだと感じました。
――NFTやゲームの売上高に応じて、アイディアを出してくれたユーザーにレベニューシェアでインセンティブを払う。こういった『SOUL Fusers』の大枠が理解できました。
※ゲーム画面は開発中のものです
「ゲームで使えるNFT」の経済規模は大きい
――御社はPlayMiningというプラットフォームを持ち、ゲームで使えるNFTをプロの絵師様やデザイナー様に依頼してきた歴史があると思います。
櫟「はい。弊社の従来のスキームは、一般的なゲームと違い、制作料をお支払いして終わり。ではなく、当然最初のイラスト制作料もお支払いしつつ、そのイラストを使用したNFTが弊社からユーザー様へ販売された際には、その販売量に応じて制作者様にロイヤリティをお支払いしています。さらに、NFTがユーザー間売買により二次流通した場合にも、販売量に応じて製作者にインセンティブをお支払いする形をとっています。」
櫟「ユーザー間売買はずっと続いていくものですので、書いていただいたイラストに対してのロイヤリティを継続的にお支払いすることが出来ます。既に多くの絵師さまや漫画家様にイラストを描いていただいたNFTを発行しており、仕組みの新しさを評価していただいております。」
――となると、今回の『SOUL Fusers』のお取組みは、今までプロの皆様に対して展開していたスキームに近い部分があるのですね。
――アイディアやデザインを提供するユーザー目線では『どれくらいの経済規模なのか?』ということが気になります。
――御社の発行する『ゲームで使えるNFT』の規模感がわかる数字をお伺いしてもよろしいでしょうか?
櫟「直近(2023年5月合計)の数字ですと、1か月間で1.8億DEPの取引総量があります。」
――現在(2023年6月末)の1DEPの価格は約0.25円。そう考えると、1か月で4500万円の取引総量があるのですね。
――『ゲームで使える』という強烈なユーティリティが付いたNFTがもたらす経済的インパクトが非常によくわかります。
――プロではない一般ユーザーでも、御社のプラットフォームでNFTを出せるのは、1つの魅力だと感じます。
『Web3だからこそ実現しやすい』ユーザーへの報酬分配
――一方で、ユーザーが考えたデザインやアイディアに対してインセンティブを支払うということは、生成コンテンツ、いわゆるUGCの考え方に近いと感じました。
櫟「そうですね。今我々が取り組んでいるWeb3×エンターテイメントの領域と、UGCの相性は非常に良いと思います。」
――具体的には、Web3のどういったところがUGCと相性がいいと感じたのでしょうか?
櫟「1つめは、NFTです。ユーザーの皆さんが作ってくださったコンテンツを、普通のゲーム内デジタルデータではなく、NFTにすることで、その成果を作品として永久的に残すことができます。」
櫟「また、レベニューシェアの分配においてもWeb3の仕組みを使うことでメリットがあります。例えば、ユーザーが考えてくださったソウルがNFTとして販売されたときに、販売数量に応じて、レベニューシェアでインセンティブをお渡しすることが簡単にできます。」
櫟「ソウルを考えてくださった方や、名前をつけてくださった方、そういう方にインセンティブをお戻しできるような仕組みを取り入れています。」
――なるほど、いわゆる法定通貨でインセンティブをお渡ししようとすると、銀行口座を聞いていたり、それをチェックしたり、色々手間がかかる。
――Web3、ブロックチェーンでインセンティブを分配しようとしたら、インセンティブを支払うウォレットアドレスがあれば良いので、工数的にも実現可能なレベルになっているのですね。
櫟「はい。そういったユーザー共創とWeb3の相性が良いこともあって、このタイミングでこのユーザー共創IPプロジェクトを実施することを決めました。以上が『SOUL Fusers』誕生の経緯です。」
――ユーザーにとっても非常に良い形で進みそうです。
ユーザーとの距離の近さが何よりの武器
――Web3の仕組みを使い、新規IPを作ることに関してどんなメリットがありますか?
櫟「前提として、IPの世界に新規参入することは、非常に難易度が高いです。まず制作のための金銭的時間的コストも膨らみ続けており、折角制作しても、ユーザーに認知してもらうことにもコストがかかります。企業としてはリスクがかなり大きいです。」
櫟「だからこそ、Web3の仕組みを使うことで受けられるメリットを最大限に活かしながら、これまでとは別の切り口でIP市場にアプローチしていこうと考えております。」
――新しい切り口からIP市場にアプローチすることを考えてたどり着いた、一つの答えがWeb3だったのですね。
櫟「もう1つ大きいのは、運営とユーザーの関係の変化です。今まで、運営とユーザーの関係は、コンテンツを作る運営側と、コンテンツを遊んでいただくユーザー側という、一方通行な関係でした。」
――従来のゲームは、基本的には1度購入して遊んだらそれで終わりですもんね。
櫟「しかし、ユーザー共創IPにすると、コンテンツを作るところからユーザーを巻き込んでいくことができます。ユーザーにとっても先ほどのレベニューシェアも含めて、コンテンツが大きくなっていくことがメリットになります。」
――ユーザーも自分が出したアイディアが採用されると嬉しいですし、さらに還元もあるのであれば、コンテンツを共に成長させようという動きになるのもわかります。
櫟「そういう関係性が作れるので、新しいユーザーがただプロモーションの対象というわけではなくて、ユーザーと一緒にプロモーションをしていくことも可能です。」
櫟「今『SOUL Fusers』のコミュニティでユーザーと日々アイディアを出し合っているのですが、そういった『一緒にコンテンツを作っていける仲間』として巻き込んでいくことができるのが強みですね。」
――『ユーザー共創』が決してお題目ではなく、本当に『一緒にコンテンツを作る』という覚悟を御社が持っていらっしゃると感じました。
――話は少し戻りますが、ユーザーから出たアイディアは、どのようにゲームに反映させていくのでしょうか?
櫟「基本的にユーザーから出していただいたアイディアやデザインは、ゲームで反映するかどうかの議論の俎上に1度は必ず乗ります。」
――意見を出せば必ず検討はしていただけるということですね。
――現時点では、どのようなアイディアをユーザーから募集しているのでしょうか?
櫟「2つあります。1つはソウルのイラスト、もう1つはソウルの名前です。ユーザーが自分で考えたオリジナルの案を投稿し、その中から選ばれたものが実際にゲーム登場するという形です。」
――アイディアを出すのも、アイディアを選ぶのもユーザーなんですね。
櫟「今夏にリリース予定のゲームの中でも、相当数のソウルが、ユーザーの投稿から選ばれました。また、選出の方法についても様々な形を試しております。例えば先日プレスリリースでも発表させていただいたのですが、東南アジアの子供たちの支援を行っていらっしゃる『CHANGアジアの子供財団』様とのコラボレーションでは、ユーザーの皆さんに応募していただいた名前の中から、タイとラオスのお子さんたちに決定していただくという企画を実施致しました。さらに、名前を選んでいただいたソウルは、その子供達と一緒に遊んでいるイラストのコラボレーションNFTを発行する予定で、その売上の一部は『CHANGアジアの子供財団』様に寄付されます。」
――すごいですね。いろんな可能性が見えます。現状、イラストと名前以外にもアイディアを今後募集する予定はあるのでしょうか?
櫟「イラストや名前を考えたりすることは得意ではないけれども、ストーリーを考えるのは得意、という方もいると思います。様々な切り口で参加いただけるように、今後パターンをどんどん増やしていきたいです。」
――今まで限られた人しか関われなかったストーリーや、キャラクターの設定がユーザーに広く開放されているように感じました。今までできなかった新しいゲーム作りの形を見た気がします。
――ここまで、『SOUL Fusers』の枠組みや仕組みをお伺いしてきましたが、ユーザーの反応はどのような状況なのでしょうか?
櫟「ユーザーさんは協力的に関わってくださる方が多いです。イベントをする際も、コミュニティーマネージャーやその他の方も、皆さん運営側の人として関わってくれています。」
――コミュニティ全体で協力して作っていこう、という空気感で進められているのは、すごく素敵です。
――印象に残っているユーザーの声があればお伺いしたいです。
櫟「イラストを描いてくださっている方なんですが、こんなプロジェクトもあったのか、という反応を下さったり、娘と一緒に描いていています、というお声を下さったりする方がいました。」
櫟「あとは、リリース時点で実際に登場するソウルも、すでに清書版ができていて、そのイラストも公開しているので、『私の原案がここまで磨かれたのか!』という声を頂いたことが印象に残っています。」
――それは嬉しいですね!
櫟「はい、非常に嬉しかったです。あとは、自分で名付けたソウルをTwitterのアイコンにしてくださっていた方がいらっしゃって、それも嬉しかったです。」
――自分の生み出したアイディアが形になり、ゲームになっていく。これも一つの『体験価値』ですね。お金に代えられない経験を生んでいると感じます。
「白い紙とえんぴつ」で参加できる敷居の低さ
櫟「ユーザー共創はWeb3だからできることだと思っていて、ユーザーとの距離感が従来のゲームに比べて遥かに近いです。従来はゲームメーカー側から情報を発信するだけだったのが、Discordを使用し、ユーザーと会話としてやり取りできる形に大きく変わりました。この環境でしかできないものがあるはずです。」
――自分がアイディアを出したものが、他のユーザーの支持を受けて、NFTになって、実際にゲームの中に実装されて、しかもお金にも繋がるというのは、類を見ないプロジェクトだと思います。
櫟「今後、この流れをもっとユーザー寄りに重心を移していきたいと考えています。具体的に言いいますと、今までは、最初に企画があって、デザインがあって、順番に進んでいくものでした。」
櫟「ユーザーの皆さんに全部丸投げして、IPとして盛り上がるかというとそうではないと思っているので、例えばオリジナルソウルの投稿にしても、ユーザーに書いていただいたものを、我々の方で清書しています。」
櫟「そういうふうに真ん中の部分を我々がしっかりと行って、責任を持ってユーザーのアイディアをしっかりと形にしていくことを行っています。」
櫟「そういう仕組みにより、柱の部分は我々で担いつつ、これまでもよりも様々な部分で皆さんのアイディアを自由に広げていただき、皆さんと一緒に作っていく形にしたいと思っています。」
櫟「これからは、アイディアやクリエイティブに関係する部分だけではなく、プロジェクトが発展するためのアイディアを出してくれた人に対しても、いろんな還元をしていきたいです。」
櫟「そして、サイドストーリーとか、ソウルごとのストーリーを考えてくださいというアプローチなど、様々な入り口を準備させていただく方ユーザーさんも入ってきていただきやすいと考えています。」
――たしかに真ん中を固めていただいた方が、それを元に自分だったらこういうストーリーにしたい、という案が出しやすそうです。
櫟「ユーザーの皆さんには、そんな特別な技術などなくてもアイディアだけで参加いただけるように設計していきたいと思っています。」
櫟「白い紙に字だけや、鉛筆で描いた絵でも大丈夫です。ハードルはできるだけ下げますので、多くの人が関わるプロジェクトに育てていきたいと考えています。今後にもご注目いただけましたら幸いです。」
――本日はありがとうございました。『SOUL Fusers』のリリースを楽しみにしております。
『SOUL Fusers』の最新情報
今後『SOUL Fusers』の最新情報は下記よりご確認いただけます
・公式サイト: https://soulfusers.playmining.com/
・Twitter: https://twitter.com/SoulFusers
・Discord: https://discord.gg/D7nsY5CNxC
Digital Entertainment Asset Pte.Ltd.
2018年8月に設立されたシンガポールを拠点とするグローバルなWeb3エンターテインメント企業です。
DEAはPlay to Earnゲームの開発会社であり、GameFiプラットフォーム「PlayMining」 、NFTマーケットプレイス「PlayMining NFT」、メタバースプロジェクト「PlayMining Verse」、自社発行の暗号資産「DEAPcoin(DEP)」の運営を行っています。
公式カンパニーサイト:https://dea.sg/jp/
PlayMining 公式サイト:
https://playmining.com/ja/
PlayMining Chief Game Officer|櫟 聡志 様
バンダイナムコエンターテインメントにて、海外渉外、ゲームプロデューサーとして勤務ののち、パッケージ業界に転職しSales & Marketing Managerとしてタイへ赴任。
その後大手ゲーム会社にて海外ビジネスや海外子会社のマーケティングチームマネージメント等を担当した後、 当社へ参画。
大阪大学外国語学部卒業。日本語、タイ語、英語のトリリンガル。