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イベントのキャッシュレス化、通信障害や猛暑にどう対応? 現場を支える運用の工夫



大型フェスや地域イベントにおいて、人手不足やインバウンド拡大を背景にキャッシュレス導入が加速している。しかし、単に決済端末を送り届けるだけではイベントDX(デジタルトランスフォーメーション)は成功しない。


通信障害や酷暑による端末停止、不慣れな出店者の混乱といった現場特有の壁が存在するためだ。


こうした課題に対し、決済代行を提供する株式会社エム・ピー・ソリューションと、北海道で大型イベントを手掛ける株式会社カンテがメディア向けラウンドテーブルにて、イベントDXの取り組みや現場での課題について説明した。




エム・ピー・ソリューションの鈴木直紀取締役は、2014年頃からの変遷を振り返り、大手決済企業が敬遠しがちな現場課題の解決こそ自社の活路だと語る。需要急増の一方で直面した最大の障壁が「通信逼迫」と「夏の酷暑」だ。





電波混雑に対しては現地調査を経て通信キャリアへ基地局増強を要請。直射日光と高温による端末停止には、風通しを考慮した特製「日よけBOX」を段ボールで制作し、出店者への注意喚起とともに物理的防御を図った。


現在の最適解として鈴木氏が提唱するのが、マルチ決済端末と静的MPM(利用者が提示されたQRコードを自身のスマートフォンで読み取って金額を入力する方式)「KAZAPi-QR」の2系統運用だ。端末通信と来場者回線に負荷を分散し、通信障害による決済停止のリスクを抑える狙いだ。契約や売上金精算を一本化できる点も主催者の大きな利点。




この決済インフラを現場で機能させるのが、カンテの渡邉隆一代表取締役が担う運用支援だ。「さっぽろ雪まつり」や240万人を超える来場者を集めた「さっぽろオータムフェスト」など、40年以上現場を率いてきた渡邉氏は、端末配布だけでは出店者が操作に追われ現場が混乱すると指摘する。




特に限られたスペースで調理と販売を行う出店者に分厚いマニュアルを読む余裕はない。そこでカンテは、電源投入から取消、日計(一日の売上集計)出力までをA4用紙1枚にまとめた説明シートを作成し、全店へ個別レクチャーを実施。さらに会期中は会場にスタッフが常駐し、直通電話を周知してトラブル時には1〜2分で駆けつける体制を整えた。これにより出店者の会計負担を極小化し、本来の接客や調理に集中できる環境を支えている。






主催者にとってキャッシュレス導入は、出店者ごとの正確な売上を可視化し、レジ締め作業を大幅に効率化できるメリットがある。さらに決済データからカード発行国などを識別できるBIN番号(カード番号の先頭部分)を分析すれば、海外発行カードの利用傾向や消費動向を把握でき、次回開催時のレイアウト設計に活かせる。こうした現場知見を反映した取り組みとして、エム・ピー・ソリューションは今年からクラウド集約型決済「MPAC(エムパック)」を始動させた。




鈴木氏によると、高級飲食店向けの薄型端末「S-Pitt Air」や、機動性に優れたモバイル型の「S-Pitt Mobile」など、用途に応じた決済端末のラインアップを拡充している。イベント現場の声を取り入れた「簡易UI(操作画面)」を搭載し、金額入力後にカードを通すだけで即座に決済が完了する設計で手数を極限まで削減。屋外での紙詰まり等を想定し、端末単体で日計レシートの再印刷や履歴確認が容易に行える仕組みも実装した。現場に寄り添った機材選定と手厚い運用サポートがあってこそ、持続可能なイベントDXが実現する。


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