7月9日、一般社団法人ウェルネス総合研究所が「世界長寿サミット」の勉強会を開いた。6月に開催された「第一回世界長寿サミット」で発表された研究成果のうち、最新の老化研究や腸内環境、ビフィズス菌の可能性を紹介。京都府立医科大学大学院医学研究科教授の内藤裕二氏と、森永乳業株式会社 研究本部フェローの阿部文明氏が登壇し、講演を行った。

内藤氏は腸内環境と老化の関係性や、京丹後コホート研究の最新情報を説明。「第一回世界長寿サミット」では、Kizuna・Dietary fiber・Physical activity・Ikigaiの4つを宣言。絆や生きがい、植物性たんぱく質や食物繊維が豊富な食事摂取、運動習慣の大切さが示された。

老化の概念については、「老化は予防や対策が可能ではないかという考え方が広がりつつあります」と述べた。暦の年齢ではなく、生物としてどれくらい加齢が生じているかを判定してはどうか、特定の介入をすることで若返ることも可能ではないかという議論も生じている。
2017年から京丹後多目的コホート研究を開始。内藤氏は「京丹後は美食都市アワード2024を受賞しており、海、山、観光なども充実しています」と話す。京丹後市の高齢者の血管が若いことが分かっており、フレイル解析もしている。「食べ物と運動以外に長寿に関係する因子を知りたかった」と振り返り、「元気で幸せに生きることを意味する『持続的幸福度(フラーリッシュ)』が重要なのではないか」とコメント。

阿部氏は、高齢化の健康リスクや、ビフィズス菌による老化対策の可能性にも言及。加齢は一定には進まず、34歳、60歳、78歳で急激に起こることが発表された。「腸内菌叢の不均衡も老化指標と言われ、ビフィズス菌と加齢の関係が深いのでは」と解説。ビフィズス菌は70歳くらいから一気に下がり、様々な病気との関係性が考えられている。
ビフィズス菌は乳酸菌とは異なり、酢酸を産生することができる。酢酸は、腸の働きを活発にし、肥満予防や過剰な炎症を抑制する効果もある。「ビフィズス菌は100種類が確認されており、人に棲むものと動物に棲むものに大別されます。人に棲むビフィズス菌が含まれたものを食べてもらいたい」と阿部氏は説明した。