第164回直木三十五賞候補となった新鋭・坂上泉が放つ、クライムサスペンス『渚の螢火』(双葉文庫刊)。
「連続ドラマW 1972 渚の螢火」として、 WOWOWで映像化することが決定した。
坂上の作品が、映像化されるのは本作が初。
登場人物紹介
真栄田太一(まえだ・たいち)/高橋一⽣

琉球警察・刑事。
八重山諸島・石垣島出身。
東京の大学に進学した後、当時珍しかった大卒として琉球警察に入署したエリート。
警視庁の派遣の後、琉球警察に戻ってきたところ、特別捜査班の班長に任命される。
東京にいたことや、見た目から周りからは内地の人間と揶揄される。
自分が何者なのか、常にアイデンティティを問い続けてきた。
高橋一生コメント
・オファーがあった際の印象、脚本に関して
高橋:本作のお話を頂いたときに、実話ベースの物語でも娯楽作品として作り上げることはできるのではないかと感じました。
僕は、フィクションは徹底してエンタテイメントであるべきだと常々思っているのですが、ただ楽しめるということだけではなく、その物語が深く見ている人にしみ込んでいくということは可能なんじゃないかなと、望みを見出していました。
本作に描かれているのは、忘れてはいけないこと、残していかなければならない歴史的背景だと思います。
お芝居を通して、自分自身がこの歴史を学び直すきっかけになりました。
・視聴者へメッセージ
高橋:歴史的背景がわからないという方にも、クライムサスペンスとして楽しんでいただくことができる作品だと思います。
そして、自分がどこで⽣まれたかによってその人の人⽣が最初から決まってしまいかねないレールが存在している、ということにも着目していただきたいです。
それぞれのキャラクターが浮き立ってみえると思います。
僕は、本作に登場するキャラクターに悪人はおらず、社会に捻じ曲げられてしまった人々の物語として捉えています。
どの人物もそうなってしまった理由があり、純粋悪ではなく、風⼟、国の背景、出自の違いなどで、こんなにも変わってしまうのかということを本作は問いている。
そういった点も感じて頂ければと思います。

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